KAMEでもわかる科学の話、他(ヨタ談)>アイボ入院
(2002/06/30)

アイボ入院

とあるルートで、わが家に AIBO が入院してきました。べつに、うちは、動物病院でも、町の何でも屋でもないのですが、来てしまったものはしょうがない。ネタにさせていただきます。

症状

首がすわらない。頭を持ち上げようとすると、「ウィ〜ン」という大きなモータの動作音が出ます。
この症状から推測するに、首を上下させるモータの軸と出力のギアが圧入になっていて、そこが滑っている。モータをいくら回転させても、出力の首が上がらないので、エンコーダも回らない。モータの回転と首の動きが合っていないので、モータはますます首を上げようと全力回転するのだ。

分解

ところで、アイボってあるところまでは簡単に分解できるってご存じでした? こちらのページに詳しいのですが、金尺一本で、頭、尾、前右、前左、後右、後左、本体、と分解できます。

ちょうど、ビデオのバッテリーパックのような、かみ合いがあって、内部のロックを金尺で外すのです。この機構とそのコンセプトを考えた人はすごいなー、って思いました。他に競うものがない、AIBOという商品で、ここまで練り込まれた構造とコンセプトに、すなおに関心しました。もっとも、ロボットペットを20万円で商品化しようという時点で、そうとうのこだわりがあったからこそ、ここまで詰めたことができるのでしょう。

こうやって分解した頭部ユニットをさらに分解します。問診より、首を持ち上げるモータがおかしいので、まず、首から頭蓋骨を外して、肩のカバーを取って、、、、とやって、問題のモータの部分が次の写真です。写真の白いギアと、その中を通っているシャフトの間が滑っているような感じでした。よって処置としては、その隙間にアロンアルファを垂らしてみました。

それから最組み立てです。次の写真の順番ですね。

首ユニットに、首上下モータを差し込みます。写真でいうと、下の水平円柱の右に白いギアが見えています。これが問題としていたギアです。写真で上向きに立っている首の上に頭蓋骨を付けます。
頭蓋骨をつけた状態がこれです。後頭部から眺めてみました。
同じ状態を横から眺めて見ました。
そのあと、脳基板をつけて、
頭蓋骨の上半分をかぶせると、ほぼ再組み立て完了です。

治ったかな?

再組み立てしてみて、動作チェックです。ところで、6枚に下ろされたAIBO君なんですが、頭とか腕のユニットを組み立てないで電源を入れると、起動時のセルフチェックで失敗して、「チャララ〜〜チャラララララ〜ラ〜〜」という「鼻から牛乳(ホントはトッカータとフーガ by Bach のトッカータって言うんだよ。知ってた?)」の音楽が流れて、四肢バラバラ状態では起動しないのです。

そういうわけなので、頭部のチェックをするにも、全部組み立てないとだめなのです。動くかな?

ところが、首のモータは滑ったままで、相変わらず、「ウィーン」といっています。それどころか、起動時のセルフチェックで、「ウィーン」って言い過ぎて、過負荷で、起動時に落ちてしまいます。

これは困った、ってことで、再度分解してチェック。こんどは、首から頭蓋骨を外した状態で(配線は全部しておく)、首上下モータに首が負荷にならないように、頭は手で持った状態で、動作させてみました。こんどは成功。

これはどういうことかというと、接着した白いギアヘッドではなく、その内側の、モータとギアヘッドの中間にある、減速機の部分の内部で、軸とギアが滑ってる。いくら見えるところを接着しても、出力軸に出力が出てこない状態です。

診断結果

大病院への転院、移植手術が必要です。

メーカの修理センターに送って、少なく都も次のどちらかをする必要があります。

モータと減速機はしっかりと組み付いていて分解できないので、ギヤ部のみ交換というのはできないでしょう。

依頼者の方へ。お力になれずすみませんでした。



近藤靖浩