最近、別の予定で大型書店へ寄った折り、数学書コーナーにも立ち寄ってみた。それで気づいた点をメモしておきます。
数の秘密、とかいう感じの数学娯楽書が目立ってきたように感じます。前から興味のある分野で、何冊かは読んでいたのですが、ヒットした本があったのでしょうか。種類、在庫冊数とも増えていて、愛好家としては喜ばしい。ぜひ、人生これから、の人に数学の楽しみを知ってもらいたいと思います。
このジャンルで、私のおすすめは、『数学の冒険』イアン・スチュウアート著、雨宮一郎訳。幅広いジャンルで、数学の本質に迫ることの面白さが良くわかる本です。
最近増えた、数学娯楽書は、ジャンルが偏っていて、定番のジャンルが多いことがちょっと不満です。またこの内容か、みたいにすぐ飽きられてしまわないかと。よくあるジャンルは、「無限について(カントールとかゲーデルとか)」「微分積分」など。
けっこう平積されていた本が、「これで単位もバッチリ!!」「予備校人気講師がわかりやすく解説」の大学数学の参考書でした。大学の数学の授業なんて、黒板しか見てない講師が延々と数式を書き連ねて、教科書といえば、ε-δ論法のような基礎の証明が延々とあって、というやつを思い出すが、時代は変ったなー。
それで単位が取れればいいかもしれないけど、大学の一般教養過程の数学は、本当の数学に初めて触れる場でもあるので、ちょっとした「硬さ」があっても良いのではないかと思う。ま、授業がわかりにくいのは確かで、そこに商機があるのですけれども。
組版システムの、TeX というのをご存じでしょうか?
しかし、TeX の第一の特徴は、組版結果の美しさにあります。字体は細身で優雅さをもっていて、数式と本文の調和に優れていて、あらゆる空白や文字の大きさがデザインをもって配置されています。隣に、一般の組版文書を並べてみるとより違いが際立ちます。
本なんて、内容がよければ良い、というだけでなく、できれば、美しい組版で作って欲しいものです。雑に組まれた本ばっかり見ていると、美しい本があるという事自体が知られないことになってしまいます。しかし、隣に並べて比べれば、どちらが良いかすぐにわかります。
特に、比較的、高価になることが多い数学書や工学書は、見た目も美しい TeX による組版を多いに希望する次第であります。
私自身、長い論文を書く機会がなくなりましたが、長くて、かつ、論理構造を持った文章は、やっぱり TeX のマクロ機能がないと大変に思います。編集を考えると、章立てやスタイル、図の配置などを手動で設定するのは耐えられない。
また、長文だと読み疲れしないことが重要だが、市販ワープロで設定を工夫するよりもTeXのデフォルトの方がずっと読みやすいスタイルだ。図の配置やスペースの取り方など、長年の組版職人のノウハウが盛り込まれている。