access logger
KAMEでもわかる科学の話、他(ヨタ談) KAMEでもわかる光物理

KAMEでもわかる光物理

2003/09/10

Modified: 2004/07/19

Modified: 2004/09/09(誤字修正)

このページは、KAMEでもわかるように、やさしく、興味を持続できるように書いた、物理のお話です。わかりやすさを重視したため、正確さを欠く部分があります。間違いを発見した場合、記述がわかりにくい場合はご連絡ください。

話の発端は、ベッドサイドにおいてあるフットランプです。人の動きに反応して点灯するのですが、光源に白色LEDをもちいてあって、電池の持ちが良いのです。「電池の持ちがいいねー」から始まって、LEDの発光原理を説明することになりました。

目次

  1. 光とは
  2. 発光の種類
  3. エネルギー
  4. 発光ダイオード
  5. 太陽電池
  6. 抵抗と白熱電球
  7. 蛍光灯
  8. ブラックライトと殺菌灯
  9. ネオンサイン
  10. 蛍光
  11. 蛍光の利用例
  12. レーザー

光とは

光は電波の仲間です。電波の周波数(ラジオで80.2MHzとかいっているやつ)がラジオの周波数よりもずっと高くて、ラジオではなく、人間の目で感じることのできるもの、および、その近傍が光です。

どの周波数の光が、どれぐらい混じっているかを、スペクトルといいます。光をプリズムにとおして、周波数ごとに分解して、スペクトルを見ることができます。

色と周波数の関係は、虹の色の順番と同じです。「赤橙黄緑青藍紫」の順に周波数が高くなってゆきます。赤より周波数が低いのが赤外線、紫より高いのが紫外線です。

スペクトルで重要なことは、周波数が高い、つまり、赤より青のほうがエネルギーが高いということです。ただし、光の周波数に関係するエネルギーです。赤の光が強くなって、エネルギーが増えても、周波数の関係するエネルギーは青の光にかないません。

発光の種類

光を発する原理には大きくわけて、2種類あります。

熱による発光の代表的なものは、白熱灯、炎の光、太陽光、などです。熱による発光は、連続スペクトルを示すことが大きな特徴です。連続スペクトルの形、つまり光の色合いは、温度によって決まります(ボルツマンの法則)。温度が高いほど、エネルギーの高い青い光が増えて、青白い光になります。

白色光の色合いは、「色温度」というように、温度で代表することができます。単位は絶対温度のKになり、温度が高いほど青っぽく、低いほど赤っぽくなります。パソコンのディスプレイの調整で、色温度標記のものがあります。

太陽光は5500Kと言われています。曇り空の下ではもうすこし高く、6500Kぐらいで、それを白い光として感じることが多いようです。ということは太陽の光はそれよりも黄色っぽいです。電球なんかはフィラメントの温度が3000K ぐらいで、光の色温度もそれぐらいです。つまりオレンジ色。

原子内部のエネルギー差による光の代表的なものは、LED(発光ダイオード)です。スペクトルは、エネルギー差に応じた線スペクトルになります。線スペクトルとは、光の周波数が一つの光、または、その混合物です。一方の連続スペクトルは全ての周波数の光が連続して混合しています。

エネルギー

物質はエネルギーをもっています。

このなかで、これからの光の話に関係するのは、3つ目の電子のエネルギーです。

発光ダイオード

電圧が高い状態がエネルギーの高い状態で、図の上にくるように書くと次のようになります。電流は、矢印のように流れています。隣は回路図です。

発光ダイオードの部分は、ちょうど、滝のようになっていて、電圧の落差があります。この落差は物質固有のものです。

さっき、原子核からの電子の距離がエネルギーとなる、と書きました。ダイオードは、2つの半導体の結晶を接合したものです。接合された、2つの物質のエネルギーの差が、この図でいう落差になります。電子が落差を落ちるとき、その落差エネルギーに比例した周波数の光を出します。

半導体は、pとnの2つの状態をとります。その2つのエネルギー差が、図の落差になります。この落差は、半導体の種類ごとに決まっていて、緑色の光に相当する落差を持つ半導体は、ガリウムと砒素の化合物にリンを加えたもの、赤色の光に相当する落差をもつ半導体はインジウムとリンの化合物です。

最近、発明されて話題になった、青色発光ダイオードは、窒素とガリウムの化合物です。これまで、安定した結晶を作れなかったのを、工夫して、結晶を作れるようにしたことが、発明者の中村さんの功績です。

太陽電池

電気が落差を落ちるとその落差の光が発生します。逆に、落差をもった結晶に、落差よりも大きい光を照射すると、電子が落差を飛び越えてあがります。つまり、電圧を発生します。これが太陽電池です。大きい光と言っても、強い光ではありません。光の粒一つあたりのエネルギーが大きい、つまり波長の短い光です。一粒あたりのエネルギーが落差よりも小さい、つまり波長の長い光を、どれだけ数多く当てても、太陽電池は発電しません。

太陽電池の構造は、発光ダイオードとそっくりです。ただし、それぞれ、発光と発電が効率よくできるように工夫されているので、見た目は違うし、逆の仕事は不得意です。

抵抗と白熱電球

ダイオードと直列に繋がっている斜面は抵抗をあらわします。抵抗の電流が流れると発熱します。たくさん発熱させる光ます。これが白熱電球です。熱はランダム運動がもとになっているため、白熱電球の光は連続スペクトルになります。

抵抗は斜面であって、エネルギーの段差ではないので、光をあてても、発電することはできません。

蛍光灯

もうひとつ代表的な灯の蛍光灯はどのような原理で光っているのでしょうか。

蛍光灯の中は。水銀の蒸気が入っていて、そのなかで放電させます。放電のエネルギーは、水銀の原子核のまわりをまわる電子のエネルギー状態を上昇させます(このことを励起といいます)。エネルギーが高い状態の電子がもとの状態に戻るとき、その戻る落差に応じた光をだします。

原子核のまわりの電子がとることのできるエネルギーはきまっているので、放電による発光は線スペクトルになります。水銀の線スペクトルはいくつもありますが、紫外線が主です。

蛍光灯の管の内側には蛍光体が塗ってあります。蛍光体は、水銀からの紫外線を吸収すると可視光で光ます。この光が、私達の目にする蛍光灯の光です。蛍光体の調合によって、色合いは自由に変えることができます。

電気→放電→水銀が励起→紫外線の線スペクトル発光→蛍光体で可視光に変換。という順序で蛍光灯は光ます。

ブラックライトと殺菌灯

蛍光灯の蛍光塗料を塗らずに、水銀の可視光スペクトルをカットするフィルタをつけたものがブラックライトです。可視光がほとんどないのに紫外線で光っています。あとで述べる、蛍光塗料を光らせる励起源として使われます。

一方、可視光の有無にはこだわらず、紫外線の最大強度を得るために工夫されているのが殺菌灯です。ガラス管部の材料に、紫外線の吸収の少ない石英ガラスを用いています。紫外線はその強いエネルギーのために殺菌作用や日焼作用があり、その目的で殺菌灯はつかわれます。

ネオンサイン

蛍光灯の管の中に水銀蒸気ではなくネオンガスを入れて放電させると、紫外線ではなく、赤色の線スペクトルで発光します。これがネオンランプです。物質によって、持っているギャップが違うので、異なった光を発します。青色のランプは、ネオンではなく、他のガスが入っているか、水銀蒸気と青色の蛍光塗料の組み合わせでしょう。

蛍光

ところで、蛍光とはなにでしょう。一言でいえば、「蛍光とは、吸収したのとは違う光が放出すされること、またはその光」です。

蛍光灯のところで、放電によって励起され、紫外線を放出する話をしました。それと同様に、光によって励起され、光を放出するのが蛍光です。

物質はとびとびのエネルギーを取ることができ、通常は、エネルギーが一番低い状態(基底状態)にあります。励起されて基底状態よりも高いエネルギーをもつ物質が、もとの状態に戻るとき、エネルギーの差を光として放出します。エネルギー状態はとびとびなので、放出される光のスペクトルは線スペクトルとなります。

蛍光は、光によって励起され、自発的に放出します。励起する光は、エネルギーギャップよりも大きいエネルギーをもっていますいる必要があります。つまり、放出される光よりも周波数が高い(波長が短い)必要があります。

蛍光の光は励起されたエネルギーの自発的な放出ですが、通常の蛍光体よりもゆっくり放出するものを畜光といいます。時計やですが、電灯のスイッチに使われていますね。昔の時計には発光塗料が使われていました。トリチウムなどの放射性物質を含有していて、放射線によって励起され、光るという塗料です。今は使われていません。

蛍光の利用例

ブラックライトで色々なものを照らしてみると、蛍光が使われていることを知ることができます。

白い衣料。
白い綿のシャツをブラックライトで照らしてみると青白く光ることがあります。これは、蛍光染料で染められています。一方、化繊の白シャツは蛍光が入っていることは少ないです。どうしてでしょうか?

綿や毛は、漂白して無着色の状態だと、黄色味を帯た、「きなり」の色合いをもっています。これを白く見せるために、青色に光る蛍光染料で染てあるのです。そうすると、紫外線を含む光があたった時に蛍光染料が青く光って、きなりの黄色っぽさを打ち消して白に見えます。化繊は材料の色が透明で、繊維にすると外来光を吸収せず、全て乱反射するので、白に見えます。特に蛍光剤を加える必要はありません。

白の染料は無いの? 染料は、白色光の特定の色の光を吸収する分子です。反射能力は染られる母材の働きです。母材の反射の一部を吸収するのが染料です。母材が吸収する色の光を反射することはできません。

顔料は、自分自身が特定の色を反射するかなり大きな粒です。黒地の上に白の顔料を塗重ねたらちゃんと白に見えます。

ただし、下地の色が濃い場合は、白などの淡い色の顔料に、蛍光剤をまぜて、より白く見せ、裏写りをさけることがあります。黒地の白文字のTシャツを、ブラックライトで照らして見てみましょう。

海の中では、赤い光が吸収されて、青一色の世界になることはよくしられています。青い光しか存在しないので、赤い物体は、なにも反射することができず、黒く見えます。赤い魚も黒く見えます。ところが、蛍光ピンクのもの(マスクやフィンなど、最近はカラフルです)は青い光を吸収して、ピンクに蛍光を発するので、青い光しかない水中でも、ピンクに見えます。気付かないと見過してしまいそうですが、奇妙な現象です。

レーザー

蛍光は、励起されたエネルギーが自発的に放出されることでした。レーザーは、誘導放出させます。

誘導放出とは、励起された物質が放出した光が刺激となって、連鎖反応的に放出が起る現象です。ここで、重要なのは、誘導放出では、光の波が揃っているということです。波長だけではなく、波の場所も揃っているので、とても性質の良い波になります。(あまりうまく説明できない)

レーザの良い性質は、次のような実利的特徴を示します。


この話は、KAME にしている話を、通勤途中の電車の中で Linux Zaurusによって Web ページに仕上げたものです。お絵書きには FreeNoteQt、文章書きには ZEditor、タグを含む日本語入力には QPOBoxを使いました。

ぜひ、ご感想をフィードバック下さい。関連ページとして、ランプ雑学もご覧いただけると幸いです。



近藤靖浩