第12戦 ドイツGP
前評判どおりウィリアムズ、シューマッハ弟の圧勝。今季ここまでのマシン特性を考えれば、何もなければこうなることは誰もが予想できたでしょうね。レースのほうは、スタート直後にギアボックストラブルで速度の上がらないシューマッハ兄にプロストGPのブルティが突っ込んで赤旗中断。2度目のスタートは無事に切られたものの、首位独走のモントーヤをはじめ、マクラーレンの2台、シューマッハ兄と次々にマシントラブルに見舞われ、結局完走10台のサバイバルレース。その結果、ビルニューヴは今季2度目の3位表彰台に。また、ここまでミナルディがライバルになっていたベネトンが4、5位とダブル入賞といつもと違うメンバーがポイントゲットとなった。
実はここまであまり雑誌等では騒がれていない(目にしていないだけかも)事だが、このレースでも給油機のトラブルが発生していた。しかも、中継に映っただけでも2度も。1度目はウィリアムズのモントーヤで、2度目はフェラーリのバリチェッロ。どちらもハードウェアの問題ではなくソフトウェアの問題らしい。この給油機、FIAが管理していて各チームに与えられているもの。当然チーム側では内部への手出しは無用。しかし、この給油機が元で順位を落としたならチームはやるせない気分になるんじゃないだろうか。今回のレースでは、モントーヤはリタイア、バリチェッロは下位とのタイム差が大きかったこともあってレース自体への影響は少なかったが、現に第3戦のブラジルGPではアレジが6位入賞のチャンスが消えたといっているし、あまりほってはおけない話題だと思うのだが。F1に給油が導入されて何年か経っているが、個人的にはないほうがいいと思う。ガソリンの搭載量が増えてラップタイムは下がるし、エンジンサプライヤーも馬力だけではなく燃費についても考えなくてはならなくなるし、結構面白いと思うんだけど。
最後に、アレジは今回も粘りの走りで6位入賞(今季4ポイント)。いや、ほんとに恐れ入ります。連続完走記録も更新中。ぜひとも全戦完走して欲しい。頑張れ!
第11戦 イギリスGP
いやー、やっと戻って来ました、速いハッキネンが。予選2位からスタートして序盤にシューマッハ兄をパスしてからは全く危なげなく走りきり、今季待望の1勝目。とはいえ、スペインGPのこともあるだけにチェッカーまで気は抜けなかっただろう。
第10戦 フランスGP
予選では、当日誕生日だったシューマッハ弟がP.Pを取ったものの、決勝ではシューマッハ兄が余裕のレース運びで優勝。もうチャンピオン争いは半分決まっちゃったようなもんだろう。三つ巴という状態なら面白くなるんだが、クルサードは前半の勢いが無いしとシューマッハ弟はマシンの信頼性がまだまだという感じだし...。
さて、母国GPとなるプロストGPのアレジだったが、今季前半の状態に逆戻りした感じのいい所なく12位完走。連続完走記録はまた1つ伸ばしたものの、チーム名とのブルティにさえ予選、決勝とも負けたくらいだから本当にダメだったんだろう。
第9戦 ヨーロッパGP
アレジは今回もポイント圏外ながら、アグレッシブなドライビングを見せていた。ザウバーの新人ライコネンを追いまわし、ラスト2周のヘアピンで果敢にインを突くもオーバースピードでスピンアウト。これで今季続いていた連続チェッカー記録が途切れてしまったものの、完走扱いなので連続完走記録は継続中。実は今季の通算周回数では堂々のトップだったりする(2位はカナダGPで連続入賞記録が途絶えたクルサード)。パワステも付いてないマシンでこれだけの周回をこなすとは。
第8戦 カナダGP
ウィリアムズBMWのシューマッハ弟の完璧なレース運びで今季2勝目。序盤はシューマッハ兄の出方をじっくり観察し、ピットインした直後から猛烈にプッシュ。ファーステストを連発してマージンを稼ぎ、自らのピットアウトでは立場を逆転するという、兄のお株を奪う戦略はお見事。こういう戦いがいつも出来るようになれば、クルサードに代わってチャンピオン争いに名乗り出るだろう。
今回も、アレジは大活躍。前戦モナコはドライバーの腕がモノをいうコースで6位入賞だったが、このカナダではそれよりも1つポジションアップして5位入賞。はっきりいって今年はモナコ以外でのポイントゲットは無理と思っていたが、ここでもポイントを取るとは。ようやくマシンの戦闘力もアップしてきた証拠か。これで今季は最下位脱出は間違いないだろう。
第7戦 モナコGP
個人的には、シューマッハの勝利よりもマクラーレンのラウンチコントロールトラブル(クルサード)よりも、アレジの6位入賞がこのレースのトップニュースだった。去年はマシンに引っ張られドライバーズランキングでは最下位。今年も開幕前のテストでは調子がよかったもののシーズンが始まってみれば、常に15〜20番位の予選順位で決勝は10位前後フィニッシュと0ポイントのまま。この1ポイントは、チームにとっても本当に大きな1ポイントになるだろう。これを機にチームが上昇ムードになってくれればと思うのだが。
アレジもすでにF1ドライバーの中では最年長。引退説も囁かれているが、まだまだ勝てるドライバーだと思う。セナとのバトルで注目を浴びたティレル時代のあとは、内部のゴタゴタでまったく走らないフェラーリ、シューマッハ仕様を引き継いだ乗りにくいベネトンルノー、マシン開発の進まないザウバーペトロナス、シャーシとエンジンの足の引っ張り合いをするプロストプジョーと本人の選んだ道とはいえ、本当にツいてないドライバーだと思う。このままだと記録に残らないが記憶に残るドライバーとなってしまうが、あと3年くらいは何としてもがんばって欲しい。
第6戦 オーストリアGP
ラウンチコントロール(スタート補助装置)のトラブルで4台がエンジンストールするスタート。さすがに4台もマーシャルは対処できないだろうから、赤旗中断かと思われたがセーフティカーだけでそのままレースは続行。4台のうちの1台はハッキネン。またもマクラーレンはスタート時のトラブル発生。このシステム、現在物にしているのはウィリアムズBMWだけといってもいいようだ。ただ、スタートで1−2体制を築くも、今回は2台ともエンジントラブルでリタイア。展開はバリチェッロ、クルサード、シューマッハ兄の順で進むも、2回目のピットストップでクルサードが逆転し、そのままチェッカー。フェラーリはそのままチェッカーを受けると思ったが、最終ラップの最終コーナーでシューマッハ兄が2位に。まだ6戦目なのに、早くもチームオーダーというのはちょっとどうかと思う。レース後のインタビューではバリチェッロに笑顔はなし。なんとなくフェラーリ内部に亀裂が入らないかとちょっと期待してみたり。
今回もアレジは10位完走。とはいえ、エンジンストールしいきなり周回遅れになったハイドフェルドにも最後は抜かれる始末。プロストのニューマシンって何時出てくるのだろう。
第5戦 スペインGP
TCS(トラクションコントロールシステム)をはじめとする、ドライバー補助装置が解禁となった初のグランプリ。順位に大きな変化があるかと期待されたが、予選、決勝とも大化けするチームは見られなかった。それぞれがそれなりのシステムを開発できたのか、すでにそれなりのシステムが導入されていたのか。まぁ、前者であるのだろうけれど...。注目のスタートでは、ほぼ全車がホイールスピンしないスタート。これからはレース後のコメントで『いやぁ、回転数上げすぎちゃってホイールスピンしちゃったよ。』なんて聞けなくなるんだろう。スタートできるか、ストールするかの2つに1つ。波乱の幕開けってなくなるんだろうなぁ。
レース序盤から中盤はシューマッハ兄とハッキネンとの一騎打ち。3位以下を引き離しながら、3秒以内のせめぎあい。終盤にさしかかるところで2回目の給油を遅らせ、渾身のアタックをかけたハッキネンがついに首位に。シューマッハ兄はこの前後でマシントラブルが出たためついていけず、このままハッキネンの今シーズン初勝利かと思われたファイナルラップで、今度はハッキネンにエンジントラブルが発生しそのままリタイア(9位完走扱い)。だましだまし走っていたシューマッハ兄が大逆転の今シーズン3勝目。こんなレースを見ると、今季もフェラーリ(というかシューマッハ兄)なのかなぁと思ってしまう。本当にツキがありすぎ。逆にマクラーレンにとっては、あまりにも痛すぎるレース。クルサードはダミーグリッドを離れられず、最下位からのスタートでなんとか5位入賞。
中段勢ではBARホンダが3位表彰台。ホンダは復帰後初の表彰台。ただし、レース展開が向いていたという感じ。実力はまだまだ上位と差があるようだ。
下位では、ミナルディのアロンソがいいレースをしてたと思う。地元ということもあって国際映像がよく追いかけてくれてた中、ベネトンのフィジケラを追いまわしていた。逆にいえば、今のベネトンはこの程度ということ。ドライバーがかわいそう。
第4戦 サンマリノGP
予選3番手からスタートダッシュを決めてウィリアムズのシューマッハ弟が逃げ切り、F1出走70戦目にしての初勝利。マクラーレンとフェラーリ以外から優勝者が出たのは23戦ぶりだとか。
今回のシューマッハ弟は、横綱相撲といった感じ。序盤からファステストを連発して徐々に2位クルサードを離していくという展開。ここまでの3戦は不運なアクシデントに見舞われてなかなか結果を残せなかったが、この1勝はチームにとっても大きな1勝になるだろう。いよいよ3強時代突入か。
BMW、ミシュランにとってもこれが復帰後の初勝利。ホンダはBMWと同時期に復帰してきたのに、これで大きく水をあけられた感じ。やはり、2チーム供給は裏目だったのではないかと思えてしまう。
地元フェラーリはパッとしなかった。バリチェッロが3位に入るも、シューマッハ兄はマシントラブルでリタイア。ここまで、1-1-2-Rと徐々に成績が悪くなっているのが気になるところ。ドライバーズポイントでもクルサードに並ばれて当初の独走ムードはここにきてまったく無くなった。
最後にアレジ。
粘りの走りで9位完走。とはいえ、途中はBARのパニスやジャガーのブルチに引き離されていた。
完走率は100%だけど、戦闘力なさすぎ。今季最後まで切れずに走れるかとても不安。
さて、次のスペインからはいよいよトラクションコントロールシステムが解禁になる。これによって、勢力分布に変化がみられるのか興味がある。反面、ドライバーの腕の見せどころがなくなるような気がして少々さびしい気がする。
第3戦 ブラジルGP
やっとシューマッハ以外のウィナーが出て、ほっと一息といった感じ。バリチェッロはまたしても他車と接触。これだけのことをやっているのにいまだに処分なしというのが腑に落ちない。今回の一番の見所はやっぱりモントーヤのパッシング。少々後半が強引気味だったが久しぶりにアグレッシブなパッシングシーンを見させてもらった。では、今回もチームごとにいくつか感想を。
- フェラーリ
- シューマッハ兄のウェットでのコースアウトはらしくなかった。それでも、クラッシュやサンドトラップにつかまらないあたりはまだまだ運を味方にしているということか。
- マクラーレン
- クルサードが優勝し、ハッキネンはスタートできずリタイアと一喜一憂。前回のマレーシアから回復ぶりは、今後期待できる内容だった。
- ウィリアムズ
- あとちょっとの運があれば、という内容。シューマッハ弟、モントーヤとも後ろから当てられレースをフイにした。これだけ、マシン、ドライバーとも好調なのになかなか結果が出せていないのが今後のことを考えると逆に心配。
- ベネトン
- 終わってみれば、フィジケラが6位入賞。この1ポイントは現状を考えるととても大きな1ポイントかも。
- ザウバー
- ハイドフェルドが自身最高の3位表彰台。昨年の成績が成績だけに、いまいち評価されていなかった感があるが、これでまた評価が上がるだろう。ライコネンも暑いブラジルを50周以上こなしたのは評価に値するのでは。スーパーライセンスの正式発給は間違いないだろう。
- プロスト
- アレジは、雨による混乱で終盤6位を走るも結果は8位。1ポイントが非常に遠い。レース後のニュースを見ると給油トラブルで15秒ほどのタイムロスがあり、これがなければ6位入賞もありえたとか。
第2戦 マレーシアGP
赤旗再スタートや、レース中の突然のスコールによるウェットレースなどの波乱があったが、終わってみれば、フェラーリの1−2フィニッシュ。シューマッハ兄は、6戦連続のポールtoウィンということでこれは史上初だとか。では、今回もチームごとにいくつか感想を。
- フェラーリ
- 本当にマレーシアとは相性がいいみたい。突然のスコールで、2台とも同じコーナーで連続してコースアウトしたものの、無事に戻ってこれるあたりは運も味方にしたようだ。
- マクラーレン
- まったくもっていい所なし。このグランプリに関しては完全に第2集団に飲み込まれていた。コーナー立ち上がりの加速がウィリアムズやジョーダンあたりと比べると本当に悪すぎ。2台そろってポイントが取れた(ハッキネン6位、クルサード3位)のはせめてもの救いか。
- ウィリアムズ
- シューマッハ弟は予選ポールかと思わせるすばらしい走りを披露。スタート直後のバリチェッロとの接触は本当に残念。ラスト数週はファーステスト連発で追いかけるハッキネンを押さえ込んで5位入賞。この辺のテクニックは流石といった感じ。モントーヤは雨の餌食に。もうちょっと見てみないとね。実力はこんなものではないはず。
- ジョーダン
- トゥルーリは雨による混乱でトップに立つもスピンアウト。なんか前からこういうの多いように思うのは気のせい?
- ベネトン
- フィジケラさぁ、新人じゃないんだからちゃんとスターティンググリッドにつこうよ。カッコわりぃー。
- ザウバー
- メインスポンサー、ペトロナスの地元なのに、2台ともリタイア。ライコネンの猛暑での走りを見てみたかったけど、これはおあづけ。
- アロウズ
- 「直線番長」フェルスタッペンは途中表彰台も狙えるポジションにつけ、7位完走。これからも高速コースは要注目かも。
- プロスト
- マシントラブルはないんだけどね。昨年のチャンピオンエンジンも全然速さが感じられない。序盤がポイントゲットのチャンスだとか言ってたような気が...。
第1戦 オーストラリアGP
やはり、フェラーリとマクラーレンが一歩も二歩も先を行ってるなという感じだった。以下は気になったチームについていくつか。
- フェラーリ
- 予選1−2、決勝は1−3と順調にスタートを切れた感じ。
- マクラーレン
- クルサードが2位に入ったものの、ハッキネンのクラッシュが痛かった。フェラーリに対してはやや置いていかれてる感があった。
- ウィリアムズ
- シューマッハ弟が予選5位とミシュランユーザの中で一人気を吐いていたが、決勝ではシューマッハ弟がクラッシュ、モントーヤはエンジントラブルとポイントゲットならず。
- ジョーダン
- 予想以上にいい感じ。フィレンツェンは予選4位、決勝もバリチェッロとの接触によるスピンがあったにもかかわらず5位入賞。
- BAR
- パニスが無難にまとめ、今年も4位入賞と思いきや、黄旗追い越しによるペナルティで7位となりポイントを逃した模様。同じホンダエンジンのジョーダンに比べると、ちょっとインパクトが無かった感じ。
- ベネトン
- 予想通りの出来というところか。序盤は中段を走っていたものの、徐々にマシンの調子が悪くなったのか、最後は走るシケイン状態。データ取りのために走っているという感じだった。やはり、110度V10エンジンはまだまだ発展途上なのだろう。
- ザウバー
- ライコネンはパニスのおかげでデビュー戦で6位入賞となりポイントゲット。1時間を超えるレースは初めてなので肉体的にどうかと見ていたが、気温がそれほど上がらなかったのも良かったのだろう。
- プロスト
- ちょっと期待外れ。マッツァカーネはともかく(笑)、アレジは予選でベスト10に入ると思っていたのに。決勝でも見どころがほとんど無く国際映像でもぜんぜん追ってくれていなかった。ただ、マシンについては去年のようなつまらないトラブルは出そうに無いので、最下位脱出は確実だろう。
今回のレースでは去年のイタリアGPでの教訓を生かし、マシンについての安全基準を高めたはずだが、このオーストラリアGPでも再びマーシャルの死亡事故が発生してしまった。去年はF1、一昨年はCARTと、このところモータースポーツ界では毎年1件は死亡事故が発生している。つい2週間前にもNASCARで死亡事故が発生したばかりなのに。モータースポーツ界全体が呪われてでもいるのだろうか。
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