テレマン:二本のアルトリコーダーのためのソナタ ヘ長調

バロックの時代、一曲のソナタを演奏する場合、通奏低音を伴うことが普通であり、最低3人の奏者が必要とされた。チェンバロ等の鍵盤楽器奏者一人とヴィオラ・ダ・ガンバ等の低音部を補う奏者一人の二人が通奏低音の部分を演奏し、その伴奏にのってリコーダーやヴァイオリン等が旋律を演奏するのである。古典派以降のピアノ奏者一人でヴァイオリンやチェロの伴奏を受け持つのとは、少々異なっていたわけである。

バロック時代、通奏低音を受け持つ奏者と、いつも一緒に練習することは、一般の音楽家にとってなかなか大変なことであった(それは、今日でもあまり変わらないが)。通奏低音なしでソナタを演奏したい、そういう曲を作曲してほしい、という要求は当然ながらあったわけで、その要求をすべて満たしてくれた作曲家がテレマンその人なのである。

本日演奏する「二本のアルトリコーダーのためのソナタ」も、そういう一般音楽愛好家からの要求で作曲された作品で、カノン形式による6つのソナタの中の一曲である。曲は、緩急緩急の4つの楽章から成る教会ソナタで、バロック時代の典型的なソナタの形式をとっている。

(岩谷幹雄)


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2002/01/20 10:48