テレマン:ファゴットと通奏低音のためのソナタ ヘ短調

ファゴットはあまりなじみのない楽器だが、オーケストラでは低音部を担当し、チェロとほぼ同じ音域を持つ。「ファゴット(Fagotto)」はイタリア語で「薪の束」を意味し、ドイツでもファゴット、フランスではバッソン、イギリスではバスーンと呼ばれる。

現代のコンサート・ファゴットは、長い二本の菅の底部をU字管で接続したもので、長い方の管には上向きのベルがあり、短い方の管にはS字形の金属管(ボーカル)が差し込まれ、その先に葦でできたリードが付けられている。ファゴットのリードはクラリネットやサキソフォンとちがって二枚のリードを重ね合わせたダブルリードである。初期のダブルリード楽器には13世紀のショームがあり、主に戸外での演奏に用いられていたが、16世紀になると室内演奏用に様々なダブルリード楽器が作られた。このうち、リードを保護するリードキャップを付けたものの一つがクルムホルンで、本日の演奏会にもソプラノ、アルト、バスのクルムホルンが登場する。ファゴットは17世紀ごろにクルタールという楽器から発展したといわれ、初期には六つの音孔と二つのキーしかなかったが、19世紀にドイツで改良されて今日の形になった。

バロック期には室内楽、通奏低音に多用され、ヴィヴァルディは数多くのファゴット協奏曲を残している。テレマンのソナタは、近年リコーダーで演奏されることが多いが、本日はファゴットで演奏する。

(西倫世)


[前のページへ]

2002/01/20 10:48