ルネサンス期の世俗音楽
ルネサンス期にはミサ曲やモテットなどで代表される宗教音楽が数多く作曲され、カトリック教会を中心に演奏されていた。しかし、その一方で世俗音楽も数多く残されており、宮廷や貴族・富豪の邸宅を中心とする雅な舞曲などの宮廷音楽、さらには吟遊詩人などが街角や農村での素朴な音楽、などが盛んに演奏されていた。ほとんどの宗教曲が無伴奏の合唱曲であるのに対して、世俗曲は、もちろん歌を伴うものもあるが、笛、太鼓、リュート、ハープ等、極めて多彩な楽器で演奏されるのが特徴である。
ダウランドは主としてイギリスで活躍した作曲家である。ルネサンス期のイギリスの世俗曲は、我が国の琵琶に似た撥弦楽器であるリュートの伴奏を伴った曲が多いのが特徴である。ダウランドはその代表的な作曲家であり、「流れよわが涙」は、そのメランコリックな曲想から当時のヨーロッパで好んで演奏されるとともに、多くの編曲が残されている。本日は原曲であるリュート歌曲と、リコーダー合奏に編曲されたものを演奏する。
「天の高きより降り」と「マリアは歩みぬ」は賛美歌(前者は第110番、後者は第2編124番)にも取り入れられている曲である。賛美歌はプロテスタントの教会で会衆により歌われる曲であり、親しみやすい旋律に宗教的内容を持つ歌詞を付けたもので、多くは当時流行していた世俗曲から転用されたものである。「天の高き所より降り」はルターがキリストの降誕を子供達に語り聞かせようとして作曲した、最も初期のコラールの一つであり、本日はクルムホルン4本で演奏する。
「アルメイン」と「ブランル」はともに舞曲であり、当時は宮廷を中心に数多くの舞曲が盛んに踊らていた。特にイギリスのエリザベス1世の踊り好きは有名であり、朝のジョギング代わりに舞曲を毎朝7曲も踊っていたと言われている。
2002/01/20 10:44