第1ステージ:独奏を中心として

オムブラマイフ
 この曲は、歌劇「セルセ」の第1幕冒頭、プラタナスの木陰にくつろいだセルセ王によって歌われるアリアで、この旋律はヘンデルのラルゴとして有名である。
 歌詞大意:緑の木陰 なつかしく嬉しき陰は ほのかなる匂いを放つ

トッカータ ホ短調 BWV914
 トッカータとは、16世紀末頃に鍵盤楽器の即興演奏から発生した鍵盤楽曲のことで、分厚い和音と急速なパッセージを持ち、即興につきものの自由奔放さを特徴としている。バッハの音楽には宗教曲が多く、この作品の持つ気分も、極めて受難曲に近い。荘重なプロローグ、弟子達の問いのように聞こえる第1のフーガ、レチタティーヴォとして構成されている福音史家の語り、どよめく群衆の多数の声が響く狂おしいフーガ、の4つの部分からなっている。

アルト・リコーダーと通奏低音のためのソナタ ニ短調 Op.2−8
 Benedetto Marcello(1686−1739)は、バッハとほぼ同じ時代にイタリアで活躍した作曲家である。14世紀から多くの政治家を輩出してきたベネツィアの名門貴族の末っ子として生まれた彼は、当主である長兄のアレッサンドロとともに、貴族のたしなみとして音楽に親しみ、多くの優れた器楽曲を残している。アレッサンドロが生涯貴族・政治家としての生活を守ったのに対して、ベネデットは晩年は左遷されて不遇な生活を送った。今回演奏するのは作品IIのソナタ集に含まれるアルト・リコーダーと通奏低音のためのソナタであるが、ヴァイオリンやフルートで演奏されることもある。

ワトキンのエール
 16〜17世紀頃流行していた舞曲で、「エール」はビールの一種。「ワトキン醸造所謹製 麦酒」とでも訳せよう。

窓から出でよ
 1600年頃流行していた民謡。「窓から出て行ってね、愛しい人。」と語りかける恋歌。

ケンプのジグ
 ケンプという人の名が付けられたジグ。「大道芸人ケンプ」のテーマソングであったかもしれない。

ソナタ ホ短調より カンタービレ・アレグロ
 このソナタは、1700年頃に作曲された「音楽の練習帳(エゼルチーツィ・ムジチ)」の中の一曲で、もともとはヴィオラ・ダ・ガンバ独奏用であった。「音楽の練習帳」は12の独奏曲と12のトリオからなり、ヴァイオリン、フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、オーボエ、チェンバロの6つの楽器が均等に用いられている。本日は、ヴィオラ・ダ・ガンバのパートをファゴットで演奏するが、弦楽器と管楽器という楽器の特性の違いにより、技術的に困難な部分がどうしても生じてくるのでその部分はチェンバロの助けを借りていることをお断りしておく。


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2002/01/20 10:48