演奏会拝聴 その七
otonosama
2006/05/28 08:56
『J.S.バッハ ヨハネ受難曲(オペラ形式)
大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
2006年4月29日
いずみホール』
くどいようですが、またしてもヨハネでございます。
「ねーねーtaka−c、いずみホールでヨハネがあるの。一緒に行かない?」
(心の声:taka−cが一緒なら何も考えなくても会場まで連れてってくれるさっ)
taka−c「テレジアの演奏会の一週間前だから無理かな〜」
・・・・・・・・あう(__)
「ねーねーBOSS、大阪でヨハネがあるの。H.シュッツ合唱団て、ほらいつだったか倉敷市民会館に来てたじゃん?聴きに行かない?」
(心の声:BOSSが一緒なら少々あっちこっちうろついても、迷わずに会場に戻ってこれるさっ)
BOSS「同窓会の前の日だから無理かな〜」
・・・・・・・・あううぅ〜(ToT)
kurikoにメールするも音沙汰無し。最後の悪あがきでOBKVのHP管理人Fくんに半分冗談で「開演は18時だからね」などとメールしたりもしましたが、そんな急に来られるはずも無く、今回は初めての単独行動が決定〜。・・・・・・オイ、コラ。これまでの数々のおバカ極まりないナビゲートには目を瞑ろうじゃないか。今回は君だけが頼りだ。しっかり頼むぞ、ストラーダ君っ!なんつってミゼ君に搭載のナビゲーションにプレッシャーを与えつつ昼前に倉敷を出発しました。
途中で寄り道するつもりだったので、出発時刻は午前10時。てれてれと下道を走りつつ信号待ちでtaka−cにお尋ねメール。「下道で倉敷からいずみホールまでどのくらい?」「6時間はみておいたほうが。第二神明→阪神高速が安価なルートだけど混むよ」・・・ふーむ。連休初日だしなぁ。車が増えたらとっとと高速に乗ってしまおう。ETCも付けたしなっ。
結局、神戸に入ってほどなくあっちゃこっちゃで渋滞に巻き込まれ、予定していた寄り道はできぬまま、いずみホールへたどり着きました。駐車場空いてるかなぁ?と思いつつ地下へ潜って行きますと、駐車券を発券する機械の所で警備員のおっちゃんに呼び止められました。「うわー、何やコレ?珍しい車やなぁ〜」いやー、これよ、このノリ。やっぱ大阪っ。「岡山じゃ結構走ってるんですよ」「(ナンバーを見ながら)あらホンマや。岡山から来はったん?よっしゃ、ここに停めてええよ」と枠も何も引いてない入ってすぐの通路の端を指差すおっちゃん。「え?いいんですか?こんなトコ停めて」「ええねんええねん。わしらずっと中でウロウロしとるさかいに。文句なんかゆうヤツおれへんし」ありがたい事です。ビバ!大阪!
開場まで少し時間がありますので、本屋かなんか無いかな?と思いつつ、再びtaka−cにお尋ねメール。「いずみホール界隈はホテルオークラとオフィスなので、買い物ができるところではないのよ」・・・うーむ。確かにお店らしいお店は見当たりません。あまり歩き回ると例によって迷子になってしまいますので、数分歩いた所にあったミスドで腹ごしらえ。開場時間が近づいて来たのでホール入口に引き返しました。離れたトコから誰か知ってる人が来てないかな〜なんて思いながら探してみましたが、やっぱ誰もおらんわな、そりゃ。
今回も全席指定なので、のんびりとホールへ入ります。まず目に入ったのが正面のでっかいパイプオルガン。それと天井に吊られている豪華なシャンデリア。こーゆーシャンデリアとか見ると「落ちたらどうなるんだろう?」と思ってしまうのは私だけでしょうか?オペラ形式とのことなので、できればバルコニーか極力後ろの席が取りたかったのですが、今回は前から3列目の左端から2番目という何とも中途半端な席。首が疲れそうだなぁ。800強の客席はほぼ満席。右隣の席に若いねーちゃん、左隣の席に上品そうなおばちゃんが座りました。うむ、静かに聴けそうやね。と思ったら、ねーちゃんの方は一部の終わり近くで寝息を立ててました。突っついて起こしてやろうかとも思ったのですが、地元じゃないホールで不審者扱いされるのは避けたかったので自粛。ほどなく自らお目覚めになりやがりましたけどね。
黒装束に身を包んだオケがステージ中央から下手側にかけて、白装束に身を包んだ合唱メンバーがこれまた下手側の一番奥のすみっこに整列。上手側に山台が数個、平に置いてあり、中央よりやや下手側にも山台が立ててあります。このあたりで芝居が繰り広げられるワケだな・・・。なんて考えていると、照明が客席も舞台上も完全にブラックアウト。その間に指揮者が出てきた気配がして、ほどなく舞台上に控えめな照明が当たり、演奏が始まります。上手側と客席の通路から金装束に身を包んだ群集登場。一曲目と終曲と最後のコラールは全員で歌ってましたが、その他は白装束がコラール、金装束がキャラクターコーラスを担当してました。白装束の方々は楽譜を持ってましたが、途中座る事も楽譜を閉じて下に下ろす事も無く、ずーーーーっと同じ姿勢のまま。何人かが途中抜け出して芝居側に加わったりしてましたが、そうでない人はステージ上で一番しんどかったと思います。どうせなら白装束も暗譜しちゃって楽譜を持たなければ少しは楽だったのでは?
さてさて、演奏の方ですが、一定のレベルは充分クリアしてますが、ちょっと荒いかな〜?という感じ。特に元気一杯なテノールから時折飛び出す平べったい「エ」の母音は、かなり気になりました。私の耳にはまだ《BWV2001》のヨハネがこれでもかってくらい残っちゃってるんで、余計に荒く感じたのかもしれません。ただ、内容が盛りだくさん過ぎてうまくまとめられませんが、この演奏会で『ビジュアル』というものが持つ凄まじい力を改めて実感しました。ヨハネ受難曲の話の流れは一通り記憶しているつもりです。この演奏会でもステージの左右に電光掲示板による訳が表示されてました。しかし「殴られる」「耳を切り落とされる」「罵倒される」「ムチで打たれる」「苦悩する」「十字架に磔にされる」などなど・・・。言葉の上では理解していたつもりでも、実際の出来事として明確に理解していたわけではない事がよく分かりました。またそれらを観客に訴えようというステージ上に渦巻く情熱に、心底感心させられました。言うまでも無い事ですが、普通に演奏する数倍のパワーを団として持っていなければ、こんなステージを繰り広げるのは到底不可能ですから。
この団体、倉敷で公演した時もそうでしたが、ホール全体、客席の通路もステージの一部にしてしまうのです。イエスもパイプオルガンの右側バルコニーで十字架に磔にされた後、群集に抱えられ、通路を通ってホール後方の出入り口から運び出されて行きました。ああ、あっちゃこっちゃ観なきゃならんから首が疲れる。やっぱ後ろの方の席を取ればよかった・・・。終曲ではほんの2mばかり離れた左端通路に金装束のアルトが立って、最初の方だけでしたが歌ったりしたんで、ついつい一緒に歌ったりして。左隣のおばちゃん、ちょっと驚いてました。ごめんなさいねえ〜
一部の終わりもラストも、演奏が終わった途端、間髪入れずに照明を全て落とすという演出。最後は暗闇の中、割れんばかりの拍手です。照明が復活してからのカーテンコールも実に大阪的。外国人が数人、スタンディングオベーションしてました。東京の団体がこういうステージをやるとしたら、多分こんな大胆な演出はよーやらんでしょうな。実に素晴らしいパフォーマンスでした。このオペラ形式、もっともっと熟成させて、それこそマルチアングルのDVDでも出してもらいたいもんです。
終演後、地下駐車場に下りて行きますと「お疲れさんどしたなぁ〜」と再びさっきのおっちゃんに話し掛けられました。しばらくミゼット談義に花咲かせたりして。おっちゃんも仕事そっちのけで「これ二人乗り?後ろはどうなってんの?」とかゆっちゃってノリノリ。「また来ます。次は多分九月に」「ああ、ホンマに?またええトコ停めさしたるさかい、覚えてたらゆうてや〜」うーむ、ミゼ君効果、満喫っ。
さーて、帰るか。つっても、ETCの深夜割引の恩恵を受けるためには0時を過ぎてからインターを通過しなければならない。もうtaka−cとモカプーは六甲北の電脳戦隊秘密基地に帰還している頃であろう。「もし体力が尽きて岡山へ帰れそうに無かったら転がりこむかも」と以前モカプーに言ってあったんで、ちょっと寄って時間潰しさせてもらおう。てなわけで、阪神高速と中国道を通って西宮北へ。何度かメールするも返事が返ってきません。おかしいな?ま、いーや。ごはんでも食べよ。と目に入ったファミレスへ。「今、近くのファミレスでごはん食べてるよ〜」・・・メールするもやはり返答無し。おかしい・・・もしかして敵襲っ?全滅っ?食事を終え、秘密基地(←taka−c宅ね)の前まで行きました。窓からは明かりが漏れる事も無く、物音一つせず、気配すら無い。・・・まさか・・・これは・・・・・・どうやらもう寝てるみたいね(^^;)
既に九時半を過ぎてたんで、パーキングで休憩してゆっくりめに帰れば、倉敷インター降りる頃には日付も変わってらあ。案の定、翌朝モカプーから「ごめんー!」とメールが来ました。どうやら「転がりこむかも」を5月6日(コルス・テレジアの演奏会を録音しに西宮へ行きました)の話だと思ってたらしい。はっはっは、いいってことよ。オイラってばウエストだけぢゃなくて心も広いからさ〜・・・・・・ちょっとだけさみしかったケド・・・
2006/05/28 08:56