指揮者のつぶやき… 〜指揮者の寺子屋〜


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・・・・・・・・そして白く、はならなかった
TAKAちゃん

2002/02/19 09:52

 褐色から緑色、黄色、赤色、茶色、そして白一色へ。
 この色の並びから、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。

 これは、ボクがこの1年、車窓から眺めた山の色の移り変わりである。ボクは、昨年4月から高梁市にある姉妹校のK国際大学に非常勤講師としてほぼ毎週通った。岡山の自宅から片道約50km、車で1時間と15〜30分の道のりである。4月に初めて行った頃は、山の木々はまだ葉を落としており、多くは茶色に見えていた。それがだんだんと美しい緑色に変わり、やがて秋には黄色に紅葉し、12月には再び葉を落として茶色に変わった。ボクは、雪が積もるのを心配していたのだが、幸いにして少し舞った程度で積もることはなかった。暖かい地方に住むものの通例として、雪道のドライブは苦手だ。雪が積もったら電車で行かなければと覚悟していたのだが、そうはならなかった。

 皆さんは新緑と紅葉とどちらがお好きだろうか。紅葉も誠に美しいものであり、岡山でも豪渓大山など名所はたくさんある。閑谷学校のそれぞれ黄色と赤色に紅葉する二本の櫂の木も有名である。しかし、ボクは紅葉よりも新緑の方が好きだ。かすかに芽が顔を出しはじめた最初の、やや恥ずかしそうな土色の中のかすかな緑に始まって、一斉に芽を吹いた様々な色合いの萌えるような明るい緑色、そして葉を繁らせた落ち着いた堂々とした深い緑色へと、刻々と色調を変えていく。そこには、本当に数え切れないほどのニュアンスの違った緑色がある。きっと、辞書で調べてはいないが、日本語には緑色を表わす色の表現が一番多いのではないかとボクは思っている。緑と青をあまり区別しない習慣がありそうなので、青も含めるともっと豊かな色彩表現があると思う。日本人の感性の細やかさは、きっとこれらの色彩の多彩さに由来するものではないかとボクは思っている。因みに、ボクは深緑が好きで、今あるチェンバロも、以前に作ったクラヴィコードも深緑色に塗った。

 さて、新緑は一様ではなく、様々なニュアンスの緑色が混ざっているところが、ことのほか美しい。この色調の違いは樹木の違いによるものだが、決して完全なばらばらではなくある程度まとまって同じ色合いが見える。植林による人工林ならばともかく、自然の雑木林でありながら何故そのようなまとまりがあるのだろうか。ボクは、地質・岩石の違い、特に土の違いが大きいと思っている。今年は、その辺を調べてみようと考えている。オッと、申し訳ないことに仕事の話が混ざってしまった。

 ところで、大学の講義は定期試験を含めて年間30週となっている。ボクのK国際大学での担当は3コマであるが、2コマは内容的にほとんど同じで対象学科が違うだけだから、実質的に講義準備は2コマ分と言うことになる。ボクは毎時間小テストと質問事項を書かせるシートを提出させているので、この大学分だけで年間60種類の小テスト問題の採点を質問への回答をしていたことになる。本務の大学の分も合わせてこの1年間、この仕事に追われてしまった。でも、年間60種類というと、バッハが書いたカンタータ1年分にほぼ相当する。とんでもないところで、バッハの忙しさを体感した1年でもあった。


2002/02/19 09:52