アマチュアはしろうとか、はたまた趣味人か
TAKAちゃん
2002/05/09 13:30
OPEはアマチュアと呼ばれる範疇の音楽団体である、と少なくとも私は思っている。もちろんプロではない、かといって、単なるしろうとの集団でもない。では、そもそもプロフェッショナルとアマチュアとは、どう違うのであろうか。
そこで、辞書と辞典を引っ張り出してみた。おそらく英語であろうから、まずはランダムハウスの英和辞典を見てみよう。amateur:1.(専門家、くろうとに対して)アマチュア、しろうと、2. アマチュア選手(運動家)、3. 未熟者、未経験者、生かじりの人、4. 愛好家
professional:1. 職業人、(特に)知的職業人、専門職従事者、専門家、プロ、2.(しろうと(アマチュア)が娯楽として行なうものを職業とする)くろうと、本職、本職芸術家、職業選手、3.(クラブ・会社などの雇われ、ゴルフ・テニスなどの技術を教えたり、相談相手になったりする)コーチ、専門家、プロ。<形容詞の意味
としては最初に、生計手段として(利得のために)職業に従事する、本職の、くろうとのとある>また、少し古いが学研国語大辞典によると
アマチュア:(そのことを職業とせず)趣味や余技としてする人、しろうと、アマ
プロ:専門家、くろうと
プロフェッショナル:それを職業として行うようす、職業的、専門的とある。一般にはアマチュアはしろうと、未経験者、プロは専門家、職業人と考えられているように思うが、上記の辞書や辞典の記述を見ると少し違うような気がする。一番の違いは、そのことによって生活の糧を得ているかどうかにありそうである。技術の巧拙による区別ではないようである。
ここでは、話を主として音楽関係、それもOPEの活動範囲である合唱と器楽アンサンブル程度に限ることとしよう。ボクは決してプロの音楽家ではない、音楽愛好家というのがもっとも合っているように思っている。上に述べたように、アマチュアとプロの違いは、音楽活動によって生活の糧を得ているかどうかであると思っている。金銭を得ているかどうかとはちょっと違うように思う。ボクでさえ、ある合唱団からは演奏会終了時に謝礼をもらっているし(何か申し訳ないような気はしながら)、勤務する学園の関連校の校歌を作曲して作曲料をもらったこともある。だからといって、プロだとなんか思ってはいない。あくまでも、生活費は大学教員としての給与である。音楽活動で生活しているわけではない。因みに、臨時収入はすぐに羽が生えて飛んでいってしまう。では、音楽の方は余暇だと思って適当にやっているかと言うと、決してそんなことはない。音楽活動にも、鉱物学の研究・教育と同じか、あるいはそれ以上の情熱と努力を傾けているつもりである。もっとも、両方が重なって二者択一になったときには、ほとんどの場合は非常に悩みながら給与をもらっている方を取ることになる。しかし、個人的な用事だったら、間違いなく音楽活動の方を取る。カミさんと話したことがあるが、多分親の葬式よりも演奏会を優先するだろうと思う。それくらいに責任は感じて音楽をやっているつもりである。自分の葬式だったら仕方がないかも知れないが、それも出来るだけ?演奏会と重ならないようにしたいと思っている!
アマチュアだから下手でも良いのだろうか。そんなに苦しんでまで練習しなくても良いのだろうか。ボクは、決してそうは思わない。アマチュアだって、演奏会をして、チケットを買ってもらって、忙しい時間を割いて聴きに来てもらう。だから、それに応える義務がある。満足して帰ってもらわなくてはならない。入場料の高低は問題にならない。アマチュアの演奏会は入場料が低額だからそれなりの演奏で良いとは思わない。アマチュアの演奏会の入場料が安いのは、単にそれが演奏会の経費を賄うのに必要な金額だからである。残念ながら、一般にアマチュアの方が演奏技術は劣ることが多い。だからこそ、アマチュアだって、技術向上のために苦しみながら努力を重ねる。時に、放り出したくなることがあっても、辛いことやいやなことがあっても、たった一回の演奏会のために半年も、一年も掛けて練習を重ねるのである。その熱意たるや、プロを上回っている。だからこそ、こと合唱に関しては、アマチュアの方が素晴らしく感動的な演奏を聴かせることが良くあるのである。演奏会を聴いてもらって、聴衆に感動を与える。来て良かったと思ってもらう。何かしら、幸せになった気分で家路についてもらう。これは、プロでもアマチュアでも、同じように演奏家に与えられた使命であろう。これに応えられているアマチュア団体は、全てとは言わないがいくつもある。そして、これに応えられていないプロも、残念ながら少なからずいるのである。
技術の巧拙や知識の多少がアマチュアとプロを分けるものではない。ボクがプロだと自覚している鉱物学の世界にもアマチュアの鉱物マニアが沢山いる。そして、鉱物の肉眼鑑定や産地に関する知識、収集している鉱物の種類の多さでは、彼らの方がずっと上回っている。でも、彼らはプロではなく、アマチュアである。それは何故か、彼らは、採集した鉱物を生活のために売買していないからである。音楽だって同じで、巧いか下手か、努力をするかしないかで、プロとアマチュアが決まるのではない。努力と苦労を惜しみ、ただ自分が歌うことだけを楽しみたい者は、アマチュアを名乗る資格はない。もちろんそういう人がいても構わないが、文化教室やカラオケで満足していただきたいものだと思う。自分の好きなことに真摯に取り組み、良い音楽を目指す、聴く者に感動を与える演奏を目指すという目標に向かって、苦しみながらも弛まない努力と修練を重ねていく、それが真のアマチュアではないだろうか。
2002/05/09 13:30