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不思議な懐かしさ
oni

2007/08/17 18:43

 今年のGWのある日にNHKが「今日は一日○○三昧シリーズ」の一環で「合唱コンクール三昧」という朝から夕方までFMの番組をやってくれた。天気が良い日だったので外で何かやりたいと思っていた私は,「外で」に加えて「ラジオを聴けるシチュエーションで」という条件を付け加えて過ごさなければならなかった。結局,車のラジオをつけっぱなしで車を洗い,拭き取り,そのあと,新緑の美しい辺り(ただし車が少なくFMの受信状態の良いところというこれまた条件付き)をドライブし写真を撮ったり,スケッチしたり,昼寝をしたりという贅沢な時間を過ごしてしまった。

 で,番組の方は旧姓が黒田さんという女性アナウンサー(失礼,今のお名前が出てこない)が結構軽いノリで司会をやってくれて,ゲストに前半は錦織健氏,後半は桂文珍師匠という大物NコンOBを迎えていた。とくに後半は,さすがに文珍師匠,先ほどのアナウンサー氏と漫才に近いノリで,爆笑モンでした。

 それもよかったのですが,何と言っても,ゲストの話やリスナーからのメールやファクスのお便りが,あくまでもその人個人のNコンに関わる思い出話に過ぎないはずなのに,とてつもなく懐かしいかおりがするのです。たとえその人が,私が生まれる前の大会に出られた方でも,ごく最近の大会の若い方でも。

 文珍師匠がおっしゃっていました,「練習の時の風景はもちろん,部室の臭いまでしてくる」と。そう,そうなんです。みんなちがう時間と空間にいたのに,まるで知らない人たちなのに「コンクール」という共通項で結ばれていると,ひどく同じ体験をしたように思えてしまう。不思議な連帯感を覚えてしまう。「ああ,あなたもそうやったん?」と声をかけたくなったりしてしまった。

 合唱のようなメジャーでない領域をいくら自分のところが主催するコンクールの宣伝とはいえ,これだけの時間かけて(ある意味だらだらと)番組組めるのは,採算や視聴率を度外視できるこの局だからこその企画で,公共性からするとどうかと思うが,それもまた有りかな,ありがたいなと思ってしまった。(ついでに甲子園ボウルの完全中継,復活させて。こちらは合唱以上にマイナーですから)

 軽妙なやりとりで笑わせてもらいながら懐かしさにいつの間にか泣けてしまったり,ああこんな人もNコン出てたんだと驚かされたり,お気に入りだったいくつかの課題曲に聴き入ったり,学生時代をコンクールにうち込んだことのある合唱ファンにとっては宝物のようなひとときでした。

 でも,ふと考えてみると・・・あ,そういえば私,Nコン出てませんでした。高校時代にNコンではない方のコンクールにもっぱら出ていたが,ある事情でNコンの課題曲を歌ったことがあった。それがきっかけで,Nコンに興味を持ちだし,今にいたっている。だから,仲間に入れてください。


2007/08/17 18:43