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ダブルクラッチ講座

Team椿のスタッフ中西さん(黄106オーナー)が原稿を書いてくださいました。
(ありがとうございます!! ビバ!マニュアル車!!)

※以下、原文のまま掲載させていただきます。


ダブルクラッチ講座(笑)

予備知識

 ダブルクラッチの目的を説明する前に、トランスミッションの構造を説明しておきます。

 まず、以下の図はトランスミッションの機能を説明するための概略図です。 ここで横の線は回転する軸、縦の線はギアやリング、ディスクなどの回転する物体です。(かなりアバウトです)

 Aはエンジンからの入力軸です。 エンジンのクランクシャフトに繋がります。 Bはクラッチです。 2つの円盤がバネの力によって押し合わされ、エンジン回転を伝えます。 Cはカウンターギアと呼ばれ、クラッチとシンクロナイザを結びます。 Dはシンクロナイザです。 回転差から生じる摩擦力によって、回転差をなくします。 Eは出力軸です。 ディファレンシャルギア(デフ)、(アクスル、)駆動輪へと繋がります。

 分かりやすくするために、Cは太い線で書いてあります。 リバースはCとDの間にもう1枚ギアが入り、回転方向を反転させます。 CとDはギア比の異なる組み合わせが(5速なら)5通りあります。 シフトレバーでその組み合わせの中から1つを選んでDを噛み合わせます。(それ以外は 繋がらないので回転も伝わらない)

 簡単に説明するためにFRのように一直線に並んでいますが、FFではトランスミッション(あるいはクラッチ)の前後にさらにギアが入って、回転軸の向きや配置を変えています。

目的

 ダブルクラッチの目的を一言で説明すると、Cの回転数をDのE側に合わせるためです。

 車速(=Eの回転数)一定でシフトチェンジをしようとした時、ギア比が異なるのでCの回転数(エンジンの回転数)は変わります。 シフトアップでは回転数は下がり、シフトダウンでは上がります。

 Dは一種のクラッチみたいなもので(構造の詳しい説明は省きますが)、回転数の異なる2つの回転体を押し付けると回転の差から摩擦力が生まれ、その摩擦力によって回転数の差をなくし、最後にはギアのような爪によって完全に結合します。(シフトレバーを縦に動かすことで押し付ける)

 元々、Cはどこにも繋がない状態で惰性で回していると、回転部分の摩擦(フリクション)によって次第に回転数は下がります。 つまり、シフトアップの場合はDを働かせても時間をかけずに回転数を合わせることができます。

 しかし、シフトダウンの場合は回転数を下げようとする摩擦に打ち勝ち、さらに回転数を上げなければならないのでDの仕事はかなりきついものになります。 特に低速ギアに変える時ほど回転数の差が大きいので、Dの負担も大きくなります。

 そこで、Dには頼らず、エンジンの力でCの回転数を上げて、素早く、スムースに目的のギアに繋ごうとするのがダブルクラッチです。

方法

 まず、クラッチを切り、ギアをニュートラルに入れます。 ギアをニュートラルのままクラッチを繋ぎ、アクセルを踏んでエンジン回転を上げます。この時、目的のギアに入れた時のエンジン回転まで上げます。

 もう一度クラッチを切り、ギアを目的のポジションに入れます。 ここで抵抗を感じることなくスッと入れば、回転合わせが成功している証拠です。エンジン回転が落ちないうちにクラッチを繋げばシフトチェンジ完了です。

 これでは今一つやり方が分からないでしょう。 もう少し、具体的に書くと、まずクラッチは切って繋ぐを2回繰り返します。(ダブルクラッチの所以ですね) タイミングとしては、1秒間に2回とも終わらせるくらいですが、これは最終目標ですので最初はあわてずにゆっくりで構いません。

 このクラッチを切っている間に、ギアをニュートラルと目的のポジションに入れます。 左足と手は連動します。

 アクセルは最初にクラッチを切る瞬間から踏み始め、目的のエンジン回転まで上がったところで放します。 コツとしては、アクセルを踏む量は一定にして、踏んでいる時間でエンジン回転を調節することです。

 最後にクラッチを繋ぐ時にアクセルをどのくらい踏むかは、加速中か、減速中か、定速走行中かで変わります。

アドバイス

 まずは、停まっているクルマの中で、ペダルとシフトレバーをどう操作 するのか確認(練習)してから走り始めましょう。

 初めは、車速一定で、4速と3速の間を行ったり来たりする練習から始め るといいでしょう。 シフトレバーの動きは一直線だし、エンジン回転の 差も少ないからです。

 シフトチェンジする前後のギア比から、エンジン回転がどれくらい変化 するのか割合をあらかじめ覚えておくと目標になるでしょう。 例えば、 2速から3速にシフトアップする際に、2/3のエンジン回転になったの なら、3速から2速にシフトダウンする場合は3/2になります。 これは カタログのギア比から計算できます。

 余談ですが、この計算の仕方は各ギアのギア比同士の比を求めます。 例えば、(プジョージャポンのサイトから)N5 XSi の2速と3速のギア比 は 1.870 と 1.360 となっていますが、2速から3速へシフトアップした 場合は 1.360 ÷ 1.870 = 0.727272... ということになり、約72%の回転 数になります。 逆に3速から2速へシフトダウンした場合はその逆数の 1.375 倍の回転数になります。(3速 4000回転で走っていたら、2速 5500回転ということになる)

 これは任意のギア同士でも同じです。(例えば、2速と4速だったら 1.870 と 1.051 で計算します)

 初めはエンジン回転を合わせるのにタコメータを見ながらで構いませんが、 最終的には音だけで合わせられるようにしましょう。

 減速中のシフトダウンでは、シフトダウンの最中も車速が落ちるので、 目標のエンジン回転を気持ち低めにしましょう。