SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
FOREIGN SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION


ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ 
Hedwig And The Angry Inch
             Pantetsu

「Hedwig And The Angry Inch」ロックバンドやロックシンガーを題材にした映画は多く、時には、とてつもなく素晴らしく、このまま現存して欲しいと願う事さえある。

映画「ローズ」でのベッドミドラーが、私にとっては良い例だが「この姿のベッドミドラーで、もう一枚アルバムを作ってくれー」と切に願うのである。それほどに「ローズ」のサントラが好きだ。当然にその他のベッドミドラーはロックでは無く、アルバムを揃えては見たが、やはり私が欲しているのは役としてのローズの歌なのである。とかく映画の中のバンドは良い。しかし、映画と共に活動も終るのであり継続は無いのである。

「ヘドウィグ アンド アングリー インチ」これはバンド名であり映画のタイトルでも有る。私は何気なく試写会に足を運び、帰りには涙でビショビショに成ってしまったのである。前評判としては「デビッドボウイがOO賞をスッポかして試写会に行った」とか「マドンナが楽曲の版権を・・・」とか、確かに悪くは無かった。

私がこの映画で泣いてしまう理由は、映画の物語に感動したわけでは無い。ただ自分がロック人としてロックを信じてきた事がムショウに嬉しく、ロックの素晴らしさが身に沁みて再確認でき確信したからである。とにかく、この映画は音楽とはもとより映画自体がロックなのである。暴力もSEXも無い、完璧なロック映画なのだ。

このバンドの楽曲に「The Origin Of Love」と言う曲があるが、私は今まで、こんな曲を聴いた事が無い、衝撃的な楽曲で自然と涙が出た。ただ余りの素晴らしさに涙が出た。こんな曲を書いた人間の素晴らしさに、ロックの素晴らしさに涙が出た。詩の内容は直訳通り「愛情の起源」だ。邦題は「愛の起源」・・・愛について書かれた歌は数多くある、しかし私は愛の起源を知ったのは初めてであり、とにかく愛の起源を考えようとする事、それ事態に深く感心し感動し、その発想にロックを感じるのである。私は今まで愛の起源など考えた事も無く、疑問を持つことも無かったわけだが、当然、愛情などの感情にも起源があってしかるべき事であると、無理やりに理解した。しかし、ここで語られるのは難しい哲学では無く、神話としてであり、この視点で物語として出来上がった詩は余りにも素晴らしいのである。

人間は本来「四本の腕と四本の足」を持つ生き物だった。しかし、ある時半分になってしまう、今の姿になってしまう。人間の人生はその半分、片割れを捜す事。この題材を映像と音で完璧に表現している。

バンドのスタイルは「デビッドボウイ」「イギーポップ」「ルーリード」などのグラムとかパンクのイメージから出来上がっている。とにかく全編通して楽曲が素晴らしく、当然キャラクターも突き抜けており、バンド名の由来は、体制から自由に向かっての挑戦の残りカスとでも言おうか・・・これからビデオやDVDで観る人の為に多くは書かないが・・・

このサントラ盤はバンドの1stアルバムと考えて良いだろう。私はこのバンドが映画や劇場から抜け出してバンドとして存在し、定期的にアルバムを発表し、活動してくれる事を切に願う。

映画は物語り以上に根底にあるテーマが素晴らしいので是非お勧めする。   ちなみに作品はオフブロードウェイから映画化されたものである。 何とか日本でも舞台を観てみたいが、「劇団四季」なんかに日本語化されたりしたら最悪だし悲しい、それだけは勘弁して欲しいものだ。ヘドウィク役は誰でもいいから舞台の来日を願う。




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「Hedwig And The Angry Inch」 - Soundtrack」 CTCR-14195

「Hedwig And The Angry Inch - DVD」 OPSD-S080

これは単なる映画のサントラ盤ではない。
れっきとした「Hedwig And The Angry Inch」のバンドとしてのアルバムとして十分に聴く事が出来る。映画の基本的テーマとも成る「愛の起源」は感動を通り越して衝撃的に涙腺を刺激する。
こんな楽曲が存在する事が素晴らしく嬉しくて泣けてくる。絶対的に名曲。



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