SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
FOREIGN SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION


Yoko Ono / Plastic Ono Band               Pantetsu
ライコ  VACK-5370


                                
Yoko Ono / Plastic Ono Band無理解な人間は必ず批判的な意味で「そんなのオナニーじゃん」なんて言う。

だが性的な意味でのマスターベーションに関して「俺のオナニーはお前のオナニーよりも何倍も気持ちが良い」なんて偉そうに言わないし考えもしないだろう。

それは自分が快楽を知っている事で、他人の快楽など理解できないと言うよりは、他人の快楽も自分の快楽とそうは変わらない物だろうと思っているからであり、快楽の事実として他人の行為を批判したりはしないと同時に他人の行為も理解しているのだと思うが、他人の創作活動の快楽に対しては、その創作や創作物の快楽を知らぬ限り、オナニーを批判的な言葉として用いてしまうのは不思議な事で、快楽を知らぬ為に物事に批判的になるヤツは悲しい。

今から27.8年以上も前のことだが、FMレコパルと言う雑誌の中に、黒鉄ヒロシ氏によるビートルズ物語的なマンガが掲載されていた。その中でオノ・ヨーコを説明するフレーズとして「デヴィ夫人と共に日本が世界に誇る・・・・」と書かれているのを見ながら「オノ・ヨーコの引き合いに出されるようなデヴィ夫人ってーのは、どれだけ凄い人なんだろーか?」と想像しながらも、ヨーコ・オノに付いてくる”前衛”とか”アバンギャルド”って言葉はいったい何だろうと辞書を引きながら考えていた。

ビートルズを解散させた張本人として、オノ・ヨーコを絶対悪と信じ込んでいた子供の頃。それでもジョン・レノンが惚れた女であるし、ビートルズのアルバムに自分の作品を入れさせてしまうほどの女性である。ましてや日本人なのである。人々の言う”気持ちの悪い悪女”のイメージに洗脳されながらも密かに興味を持った。確かに自ら好んで”Revolution 9”を聴いた事は無いのだが、特別に拒否反応が無かった事も又、確かである。

それから何年か後になって現代音楽や前衛芸術なんて物に私の興味は集中し、わけの解らないレコードを聴きながらも、その中には必ずやメッセージが隠されているものと信じ込み、必死に理解を試み、意味の有無を模索した。それは決して人と違う物を嗜好する事に優越感を感じたいとか、自分の感性を過大評価して満足していた訳でもなく、自分では少し恥ずかしい嗜好と思いながらも、何故かひたすら欲してた。しかし結局は何も見出す事は出来ず「全てはインチキだ」との結論に至った。それは、自分が理解できないものは「全てがNO」だと言う余りにも無知無理解で幼稚な結論であった。しかし、意義は解らずしても快楽は知る事が出来、その感覚は残った。

芸術の中に意味を見出そうとしない事は、芸術を鑑賞するに当たって身構える事も無く、極めて気楽なものだ。よーするにタダ見れば良い。タダ聴けば良い。考えなくて良い。そして、これは真に正しい姿勢だと思い込んだが、ある日とある現代美術館で畳四枚ほどの大きさのキャンバスが青く塗られてあり、その真中に白い線が一本書いてある作品を見た。完成までに7年を費やしたと解説されている。作品のタイトルは「相対的青色における直線から見たヒューマニズム」と書かれていた。私はタイトルを読んだ瞬間に蹴り倒したくなった。やっぱりインチキだ(笑)そして、やはり私には現代芸術を感じる感性は無いと安心すると同時に、即興、ハプニング、インスピレーションに芸術は存在すると、またもや思い込んだ。即興には快楽がある。

そして十分社会的には大人になった頃、何年かぶりに日本で行われたオノ・ヨーコの個展を見に草月会館に出かけた。そこにはジョン・レノンとのエピソードで有名な"Ceiling Painting (YES Painting)"や"Painting to Hammer a Nail, "なんて作品も並んでいたのだが、そんな事よりも会場に漂っている言葉で表現できない雰囲気とBGMに、想像以上の迫力を感じた。それは確かに衝撃的で、本物の存在を認めざる得ない出来事だった。具体的に何がどうだとか、冷静に説明できる事は何も無く、ただ、空間に圧倒された。「ア〜、何だか良く解らないけど、確かに本物ってーのか本気ってーのは有るんだな〜」とだけ思ったのだ。

自分の感性を基準として芸術に優劣をつけたり芸術家の存在を問う事は、余りにもクダラナクて悲しい事なのは当然だが、他人の感性を理解しようとする事も無駄な事で、芸術は目の前に存在している事だけでも意味が有るって事と、創り出す事の快楽って事で最近は納得している。そして、ここ数年はオノ・ヨーコの顔がとても綺麗に見えてきて、無性に魅力的な女性と感じている自分が、なんだかジョン・レノンの感性に近づいたようで、なんてくだらない自己満足に浸っているが、いぜんとしてオノ・ヨーコのCDはホコリも被らないほどに棚の定位置でひっそりと動かない。

本作はJohn Lennon/Plastic Ono Bandとジャケットが似ているが、全くの別物。

Yoko Ono / Fly Yoko Ono
FLY
(1971)
ジョン・レノンは当然だが、ジム・ケルトナー、エリック・クラプトン、リンゴ・スターなんて、とっても豪華ミュージシャンで作られており、確かに音楽です。ん?
Unfinished Music, No. 1: Two Virgins John Lennon & Yoko Ono
Unfinished Music, No. 1: Two Virgins
(1968)
ジョン・レノンと2人だけで創られた極めてプライベートな作品。全世界に向けて全裸ジャケットとは恐れ入るが、内容も恐れ入る。とにかく、全裸って事なんだよ。
Live Peace in Toronto, 1969 Plastic Ono Band
Live Peace in Toronto, 1969
ジョン・レノンの唄と、E・クラプトンのギターをことごとく妨害する奇声。こんな行為が許されるのは小野洋子以外に存在しない。このタイトルは映像も発売されており、小野洋子のライブ・パフォーマンスを見る事も出来る。



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