SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
FOREIGN SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION


Jason Becker 「Perspective」     Takeo
Warner Bros 46951



                                
Jason Becker「Perspective」速すぎて解らない!でもそれだけじゃ・・・

多少ギター経験がある者なら1度は速く弾いてみたい!
目の前を突き抜けて行くF1マシンの様に指を動かしてみたいと思ったりして。早弾き肯定派も否定派もまるで関係無く一瞬のナルシズムのが身体に走るのを感じていただろう。

エディ(VAN HALEN)の登場でギタースタイルに革命が起こり更にそれさえも古典化しつつある今。このままどこ迄いくのやらと思いつつもクラシカルな楽器の歴史からみれば、まだまだ産声をあげたに過ぎないエレキギターの存在。出尽くしたと思われるテクやフレーズも、実はまだプレリュ−ドなのかもしれない。

天才と呼ばれる人物はとかく英才教育が施されているケースが多い。このジェイソン・ベッカーも英才教育という名の環境に恵まれていた様だ。人を感動させるのに決して速弾きは必要ないが自己満足の為には必要だ。先に書いた様に。人を感銘させるのに絶対速弾きは必要ないが一つの言葉を表現する為に究極的なスピードが要求される場合もある。速すぎてプレイとして解らなくても美しさやスリリングさ、そして情緒がの表現が音楽本来のリスナーの感受性をくすぐるのだ。

彼、ジェイソンは幼い頃からクラシックの教育を受け理論的スタイルも徹底的に身についていた様だ。クラシカルなフレ-ズだけでなくブルージーでいて暖かい音、トリッキーなプレーまでギタースタイルの幅広さと音楽性の大きさは素晴らしい。

このアルバム”Perspective”から感じる壮大な彼の音楽感。そしてこのアルバムはリアルタイムで彼がプレイした実質上の最後のアルバムとなるだろう。ALSという病気の存在はご存知だろうか?筋肉が動かなくなる難病で、未だに治療法は見つからないらしい。病気が進行しつつあり既に立ってプレーが出来ない状態でのレコーディングだが、なんて美しく優しく力強いアルバムだろうと聞くたびに思う。現在彼は身体を動かす事も、言葉も発する事も出来ないが、先日ビデオでみた彼の瞳は輝いて見えた。色褪せず存在感が涌き出て、何らかのオーラを感じたのは僕だけだろうか。



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