SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
FOREIGN SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION
Foetus / フィータス 「Hole」
Thirsty Ear
和久井伸晃 |
この大学に寄せられた数多くの優れたロックミュージシャン達にたいする文章のように、この時期のジム・フィータスに関するおもしろおかしい『ロックな』エピソードを紹介することができないのが残念であるが、 おそらく、というより確実に、数多くの名盤が産まれたときのように、クスリをアホみたいにボンボンと打ち、リディア・ランチあたりとでも腰をガンガン振りながら作られたアルバムなのは間違いないだろう。
しかし、このアルバムはそんなことをまったく感じさせない集中力を持って、そんなことしか感じさせない卑猥な雰囲気をまとめあげている。
アンダーグラウンドレベルではそこそこの知名度を持つジム・フィータスだが、やっぱり誰もこのアルバムを聴いてはいないだろう。 ソニック・ユースがどうこう、NIN が云々、Pig が、ファウストが、マーク・アーモンドが、THE THE が、なんて言っても誰もフィータスを聴いてはくれない。 そして僕は、そんな恵まれないジム・フィータスと、耳の悪いバカどもに一抹の不信と、信頼を感じるのである。
アイツも、あの子も、あのバカ面さげたガキもが知った顔して喜べるようなロックなどくだらないのだ。
いや、そんなものはそもそもロックですらない。 ロックってのはクズの音楽だからな。
ヤク中や、小悪党や、キチガイや、引き篭もりなんて人間失格のどうしようもない中途半端のクズどもが、そこらのタクシードライバーが贔屓の野球チームを応援するように、
身勝手な信頼や、期待を寄せて、イチローや松井を尻目に誰も知らないようなマイナー選手を得意げに応援する。
ロックってのはそんなもんだ。
くだらない、まったくもってくだらないが、クズはクズなりに、それがそれほど捨てたもんでもないことを知っているのだ。
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