SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
FOREIGN SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION


イン・ザ・フラット・フィールド / バウハウス                   
In The Flat Field / Bauhaus

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCB-70469

ごりまつ    

                              
いつかは語ろう、いつかは語ろうと思いながら語らず仕舞いでいたバンド。そんなバンドが三つあるんだ。 
「Bauhaus」、「Joy Division」、「The Cure」。

何故か昔から自分勝手にロックを色に置き換えてしまうクセがある俺だが、もちろん上に挙げたバンドにも、色を付けている。 「Bauhaus」は「黒」。「Joy Division」は「灰」。「The Cure」は「赤」。
今回は「黒」のイメージを抱いている「Bauhaus」を紹介させてくれ。

バウハウス・・そう・・バウハウス・・。チンチン・プラプラ宙返り・・チンチン・プラプラ宙返り・・チンチン・プラプラ宙返りで長いラッパを吹く素っ裸のアフロ。そんな白黒のジャケットがとても印象的だったなぁ。

特にピーター・マーフィーという爬虫類のような顔をした男が搾り出すノコギリのような歌声が良かった。ノコギリと言っても、横山ホットブラザースのノコギリのように、「ぽぉ(お)ふぁ(ま)ふぇ(え)ふぁ(は)ふぁ(ア)ふぉ(ホ)ふぁん(か)♪」といったフニャフニャしたものではなく、ギザギザの刃を皮膚にギリギリと擦り付けられている感じの緊張感に満ちた声の事を言っているのだ。

ダニエル・アッシュというエラの張ったギタリストも良かった。三角にビシッと剃られた眉を持つこの男の勝手気ままなギターの音は、テクニックのない落ちこぼれギタリスト達の憧れだったろう。それほど自由奔放な演奏を聴かせてくれるのだ。

そして後の二人。ジェイとハスキンスのデビッド兄弟。ロック・バンドの宿命ともいえる目立たない縁の下の力持ちなのだが、遠いニッポンの田舎町から俺はエールを送っていたよ。
 
そんな奴らに対してのイメージが何故「黒」なのかと言うと、それは簡単だ。
奴ら全員、黒い服を着てたのさ。

どうも今日は頭のキレが悪い。

本当はもっと「黒」をイメージした文章で奴らを語りたいのだが、どうも思うようにいかない。だからもう、文頭に書いた「黒」のイメージの事は忘れてくれ。

おっと、急に思い出してしまった。奴ら、映画に出てたんだ。それも、あの有名なオードリー・ヘップバーンの映画にだ。「ハンガー」だったかな。デビッド・ボウイが吸血鬼役をやってる映画なんだが、そのワンシーンで奴らが演奏してたんだ。それはもうカッコイイのなんのって、映画の内容は思い出せないのに、檻の中で演奏する奴らの事と歯をむき出したサルの事が今も頭から離れない。

そんなカッコイイ奴らなのに、レンタルビデオ屋で借りたビデオの中ではスカートをはいたピーターが、タンバリン片手に踊ってやがって、目が点になっちまった。だけどそれもグラム・ロックの影響を受けているであろう演出方法なんだろう。アルバムの中でも、ボウイ、マーク・ボランなんかのカバーを歌ってるもんなぁ。

とにかく聴いてみてくれ。それも4ADレーベル時代のファースト・アルバム「In The Flat Field 」だ。奴ら、ベガーズ・バンケットに移籍してから、何か感じが変わってしまったんだもの。でもまぁ、いい。他のアルバムだってそれはそれで良いんだから。何て言ったらいいか、色んなアイデアがたくさん詰まってるから面白いんだ。その証拠にヴェルベッドのジョン・ケイルだってニコだって一目置いてたんだぜ。

あっ、忘れてくれって言ったけど、やっぱり奴ら「黒」だ。カラスの黒、葬式の黒、真っ暗闇の黒・・あぁ、やっぱり今日は頭のキレが悪い。

まっ、どうでもいい!
黒の「Bauhaus」を聴いてくれ。


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