SUPERIOR ROCK ALBUM DEPARTMENT
JAPANESE SUPERIOR ROCK ALBUM SECTION
SION 「Sion-Yaon 2002 With The Mogami」 Pantetsu
TOCT-24895-96
2001年のSION野音は降っていた小雨が上がったところに「通報されるくらいに」の「あわてんなよ、雨が上がったからってー」のフレーズが状況ズバリで、公演が終了して客席の電灯が点いたにもかかわらず大勢のファンは場を離れようとせず、退場を促すアナウンスが繰り返される中、靄がかかった野音のステージには何度となくSIONは現れ、終了から30分以上もファンはSIONを呼びつづけ、SIONもそれに応えた。私は何だかその状況に興奮しSION以上にSIONファンに感動し、久しぶりに一体感をもつROCKを感じたのである。
今回CD化された2002野音も同様に興奮させるものだった。やはり、そこには「物分りの良いファン」ばかりではなく、席を離れ、警備の制しを振り切り、柵を乗り越えて少しでもSIONに近づき、全身でSIONを感じようと力一杯に手を伸ばすファン。それは私のようなオヤジにしてみれば頼もしい若者と映り、リアルなファンの姿に嬉しくて涙が込み上げるほどで、私もガマンできずに柵を乗り越え暴走した。
だいたい最近のROCKファンは、大福なのにブランディーケーキと勘違いして喰ってる輩とか、寿司をフォークとナイフで上品に喰うみたいな輩とか、頑なに手づかみで汚く喰う事を美徳としている輩とか・・・そんなふうに何か健全な感じを受けないのだが、SIONのファンは「幸せの黄色いハンカチ」で見せた「高倉健」の真っ向からカツ丼に向かっていく様な心構えがあり、いたって健康的なエネルギーと真の欲求と信仰心を放出しており、共にLIVEを作り上げていく健全なROCK的姿勢が見て取れ、なにゆえ私は全てに満足し、あらゆる意味で最高のROCKを感じさせるLIVEなのであった。
CDの中でもSIONが「MOGAMI」を強調している通り、バンドが前面に押し出されている。「COMES」以来、レコーディングもステージもほぼ本ライブ盤のメンバーと同じであり、何も変っている訳ではない。それでも今回SIONは「MOGAMI」を執拗に表現しようとしている。
しかし、ファンは言われなくても解っている。SIONはメンバーを必要としているし、メンバーはSIONを必要としている。たんなるバック・バンドで無い事なんて何年も前からファンは理解しているし認知しているし歓迎していたし、SIONって活字が個人名以上に音をイメージさせ始めている事を感じているのだ。
インチキなLIVE盤がまかり通る昨今、これは本当のLIVE盤であることは間違いない。そして本物の声とROCKを体感させる事が出来る数少ないバンドの、この上なくリアルな音源である。
出来る限り大きな音量で、全身に立つ鳥肌の快感に浸りながら聴くべし!
そしてLIVEに足を運ぶ事を約束するのだ。
SION-YAON 2002 with THE MOGAMI / SION
2002.11.20 TOCT-24895-96 \3619(税抜)
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