ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENTFOREIGN
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ジェームス・イハ  

「俺も一緒に唄いたい!」
 Pantetsu

バンドのメンバーが出すソロアルバムなんてロクな物は無い。ましてやギターリストが作るソロアルバムは特別多いが特別につまらない確率も高い。どうやっても現存するバンド以上の作品を作る事が出来ないらしい。今まで何度となく駄作を掴まされて来たので最近はソロアルバムには殆ど興味が湧かなくなった。だいたいギターリストなんてーのはヴォーカル等のメインに喰われながらも「本当の音を作っているのは俺だ!」って感じで力入りすぎて「俺にだって出来る」勘違いから未熟なエゴで作品を発表してしまう悲しいヤツが多い。だからバンドなのである。

しかし、自分を弁えながらもバンドとは別の音で傑作を作れる能力を持つ者も居るのだ。スマッシング・パンプキンズのギターリストである「ジェームス・イハ」のソロアルバムはそんなアルバムである。私はスマッシング・パンプキンズには全く興味も知識も無いが、このアルバムを聴く限りジェームス・イハは良いヤツだと勝手に思ってしまう。善人が作った音楽は結果として音に反映するのだ。素晴らしく完成されたメロディーに無駄の無いギターが絡み、時に叙情的に鳴る鍵盤楽器の数々には、溜め込み練りこまれた世界が完璧に広がっている。とにかく音の質感が最高に良いアルバムだ。

ロックとは使命感の中で苦悩し戦う事が重要な要素であるが、役を離れた音の心地よさは別物として評価に値する素晴らしい作品を産むことも実感する。決して束縛から離れた自由な姿では無く、力が抜けたわけでもなく、単純にギターを抱いて唄う事の快感を聴き手に感じさせる。ギターてのは本当に良い楽器だと今更ながらに痛感するのだ。そして私にとってジェームス・イハのアルバムは春なのだ。温度に気を使う事も無く普通の姿で過ごせる圧倒的に暖かい音楽なのである。そして善人なのである。

James Iha 「Let It Come Down 」 ジェームス・イハ 「レット・イット・カム・ダウン」
James Iha 「Let It Come Down 」
VJCP-25373
スマッシング・パンプキンズのギターリストである「ジェームス・イハ」のソロアルバムである。しかし、そんな事はどーでも良い。一人のソロアーティストとして最高に暖かいアルバムだ。スマパンなんて興味も無いし嫌いな人でもPOP好きなら納得の一枚であろう。バンドに在籍するミュージシャンのソロなんてロクな物は無いが、このアルバムは全く別物に良い。春風の様に心地よいギターと歌声に和む事間違いないく、嬉しくなるほどに清涼感溢れた稀に見る傑作である。素晴らしく爽やか!俺も一緒に唄いたい。



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