ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENTFOREIGN
FOREIGN ROCK ARTISTS SECTION



マイ・ブラディ・バレンタイン 

「禁断の甘味」
       Pantetsu

出先で甘い物を勧められると断ってしまう。男とはハイハイと喜んで甘い物など喰わない。甘い物を男が断っても角は立たないし全然普通の事なのだ。私はケーキを食っている人の前で、いかにも自分とは無縁であるかのように装い、タバコを吸いながら実は恨めしそうにケーキを眺めるのである。私は本当は甘味が大好きだ。特にゼリーやプリンなんて物は大好物として私の中で君臨しているが、表立って食うことは中々できない。店のメニューに「チョコレートパフェ」なんて文字を見た瞬間に女になりたくなるし、どうしても堂々とパフェを頼む男には成れない。十代ならいざ知れず、この歳になって一人でパフェ食っていたら変態と思われると恐怖に縛られてしまうのだ。

そんな、くだらない見栄もあり日々夢見ているパフェは歳を取るごとに遠ざかって行き食事の最後のデザートだって絶対に断る、それは習慣として断るのだ。無欲ではなく習慣だ。当然に家の冷蔵庫にはゼりーやプリンが常備されているが、おそらく人が持つ私のイメージとは程遠くなるであろう為、公表した事は無い。

そして音楽でも甘い系は大好きなのであり、甘味と同じで、疲れたときなど無性に甘い音が欲しくなる。特別疲れているとか気分がマイナーな時などは合成着色料が大量な物を摂取したく、天然素材とかの作りの良いものよりも、ケミカル感が強く体に悪そうなものが良い。そんな時の定番は「マイ・ブラディ・バレンタイン」の「愛なき世界」だ。

このアルバムを爆音で鳴らすと私はグニャグニャになるのだ。体中に原色の合成甘味を塗りたくって全身から出る甘い香りに酔い、糸を引くように浮遊し、ほとんど何にも抵抗する事が出来なり、狂おしい快感に身を任せるのである。気が狂う事は如何なる苦痛も感じない世界なのか・・いっそひと時でも完全に脳のシワを取り去ってみたい。何もかも無くして全ての身を預けてみたい。私にとって「愛なき世界」はヒーリングミュージックだ。

My Bloody Valentine 「 Loveless 」 マイ・ブラディ・バレンタイン「愛なき世界」
My Bloody Valentine 「 Loveless 」
COCY-9243
轟音ギター甘美メロの定番。現存する多くのノイズ系バンドの指標となった事は間違いない。私はソニックユースには馴染めないがマイブラは生活の中で定番と化す程に重要なバンドである。
遠く溢れるデイストーションは時にピッチを変え脳を揺さぶる。そして美しく甘いメロデイーは身を浮かせ包み込み首の後辺りを静に刺激する。リラックス間違い無の傑作タイトルである。


Back

Top