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マイクオールドフィールド Mike Oldfield

「音浴」
 Pantetsu

全身で浴びる音楽である。日光浴とか森林浴とか、自然の力に身を任せリラックスすることで言い知れぬパワーを吸収するみたいな・・・そんな精神世界を感じずにはいられない音楽である。

ストレス過多の現代において、癒し系ヒーリングミュージックとしても注目を集めているケルトミュージックだが、ここで紹介するマイクオールドフィールドの作品には、聴き手が求めるのなら映像までも体感させるほど、脳の奥深くに確実に作用する力を持っている。いわゆる70年代初頭のカウンターカルチャーによって産み出されたドラッグミュージックであり、今でもインド、ネパールを旅するジャンキー達の定番的なアルバムであるが、当然、創り手はソレを目的として製作しているわけでは無く、ただ時代の受け入れ方の結果であって、この日本では非合法とされている体験を伴わずしても、十分に精神世界を感じさせてくれる作品群である。

その作品とはマイクオールドフィールド初期の3部作。ここでは私的に「チューブラベルズ」「オマドーン」の2作品を推薦したい。

「チューブラベルズ」は映画「エクソシスト」のテーマ音楽として知られ、最近では携帯電話の着メロやTV番組の神秘的な場面等で使われる機会の多い、あの硝子玉を転がした様な有名なフレーズから始まる作品である。繰り返し重なりながら流れるように変化していくメロディ、その重なりは次第に大きな塊と成り圧倒的な音圧となり一部のフイナーレを飾る。そして二部では静寂を取り戻しながら新たにドラマは進展してして行き、最後はまるで映画の本編終了後の字幕を見ているようにアップテンポで愉快なメロディが物語の終わりを告げる。

又、特筆するべき事は、構想は別としても、僅か三ヶ月ほどでこの作品が製作された事、そして全てのパートを彼自身が一人で演奏している点であり、この作品の成功によって英国のカリスマ「リチャード・ブランソン」がヴァージン帝国を築き上げる足がかりに成った事も有名な話だ。

セールスとは無縁に、自由な環境で完成させた「チューブラベルズ」が思わぬ大成功を収めてしまった事で、マイクオールドフィールドは世間からの期待に押しつぶされ次作では若干精彩を欠くことと成る。そして三部作の完結編として「オマドーン」が発表される。この「オマドーン」は俗に「チューブラベルズ」続編として語られることが多いが、私も同意見であり、この二枚は切り離す事はできない。以後の作品は様々な方法論が試みられていくので、「チューブラベルズ」とほぼ同じ方法論で展開される「オマドーン」は確かに継続編と言っても良いだろう。

この「オマドーン」は「チューブラベルズ」の様に衝撃的フレーズや荒削りな緊張感は無いが、より放牧的に温かみを増し土着感溢れ、精神的にもゆとりに満ち、大宇宙の中に自らの民族意識と宗教観を目覚めさせるような傑作となっている。特に終盤での古典的なフォークソング部分では「人・自然・宇宙」の呼吸が三位一体と成る感覚を体感する事が出来る間違い無く傑作と言える作品だ。

James Redfieldの「聖なる予言」を読んだ後なんかに聴いたひには何が現実なんだかサッパリ解らなくなって、妙に宗教に惹かれたり宗教に否定的に成ったり、自然を神と信仰した古典的な日本人に感心したり何だか全く訳が解らなくなって・・・・やっぱり自然は大切にしなくてはと考えながらもフィクションとして納得したりして、全てに必然性を関連付けて運命を待ち受けながらも積極性を無くしたりして、やっぱり何だか解らないので、とりあえず良い音楽として理解し、気を浴びる感覚で聴くのだが、あーやっぱりそんな事考えてもしょうがない。結局何も考えずに音を浴びる事に専念しても、又それが自分を何処かに連れて行ってしまって、だからどーにも説明できないのだ。

楽しみ方は多々有るが完全に「チューブラベルズ」の旋律を完全に覚えたら、「チューブラベルズ2」は、かなり嬉しい。「2」と言っても続編と言う意味合いでは無く、デジタル・リメイクとでも言うのか・・まー何にしても嬉しい音である事は確かである。そう!嬉しいのだ!

そして「チューブラベルズ3」も有るが、コレは全くの別物。
「3」に関してはマイクオールドフィールドの小作群と関連しているので別記しよう。

ちなみに「チューブラベルズ」はオーケストラ・バージョンも存在する。ある意味コレも良い!

Mike Oldfield 「Tubular Bells」 マイク・オールドフィールド 「チューブラベルズ」
Mike Oldfield 「Tubular Bells」VJCP-17516
Mike Oldfield 「Ommadawn」 マイク・オールドフィールド 「オマドーン」
Mike Oldfield 「Ommadawn」VJD-23003
Mike Oldfield 「Tubular Bells 2」 マイク・オールドフィールド 「チューブラベルズ2」
Mike Oldfield 「Tubular Bells 2」WMC5-531



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