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ジャニス・イアン / シンディ・ローパー  

「告白」
  Pantetsu

世の中が未だバブルで浮かれている頃、世界的に有名な新宿二丁目のゲイバーやホモバーに夜な夜な通っていた。店のママ(当然、男)からは「あんたも3ヶ月で、こっちの世界の仲間入り」と言われていたが5年以上通っても全く染まる気配も無かったし、当然、努めてホモやオカマに成ろうとしていた訳では無いので、女性の肉体に魅了される自分に変わりは無く、現在も尚ごく普通のただのスケベオヤジでいる。。

告白するが私には「女性に成りたい願望」が有る。肉体的にも精神的にもと言うか「性」として「女」に成りたいと思う時が有るのだ。その願望は「オカマ」になる事とは絶対的に違うもので、女性の様に着飾りたい訳でもなく、性の対象は絶対に男に向いてい無いので、サウナや銭湯など、男の裸が溢れている場所に居ると異常に不快に成るし、アダルトビデオなど男のケツが出てくるので嫌いだ。とにかく男の裸体は不快なのだ。では対象が女性なのであれば私の願望は別性での同性愛と成ってしまうのだが、現実には起こりえない事なので、そこまで考える事無く、ただ純粋に女性の性に憧れているだけで終るしかない。

元々、男の世界的な物に興味が無いし聞き入れる体勢も無いので、私の勘違いなのかもしれないが、男が男に向けた告白的音楽は存在していないように思う。しかし、女が女に向けて唄われる歌は多い。女が女の歌を唄っているのだ。

そんな歌が余りにも素晴らしい時、私は女性の性に嫉妬し、女に成りたくなる。男である以上、絶対に理解の出来ない同姓にのみ許される世界観の共有なのだ。これは女性アーティストだけの特権なのだろう。おそらく、あらゆる世界で存在する特権なのだろう。

私はジャニス・イアンの「愛の回想録」やシンディ・ローパーの「ナイト・トゥ・リメンバー」などのアルバムを聴くと特別にそう思うのである。こんなに素晴らしいアルバムから、男であるが為に何となく仲間外れにされている様な気になってしまい、自分も女だったら・・・と思うのである。又、ジャニス・イアンの「愛の回想録」は告白である。自己啓発とか自己総括とか・・・そんな感じで自己を告白する事によって自分の性を見つめ直している。その手の音楽はジョン・レノンや友川かずきの様に血の出るような痛みを伴う場合が多い。

しかし、ジャニス・イアンは淡々としているのだ。もしかしたら男には、その痛みが感じ取れないのかもしれない。女性が聴くと、これもまた血の吹き出るような歌なのかもしれない。要するに女性特有の血の臭いは、絶対に男には解らないのである。

Janis Ian 「Between The Lines 」 ジャニス・イアン 「愛の回想録」
Janis Ian 「Between The Lines 」
TOCP-7042
流れるようなメロディに乗せて、淡々と語られる女心。男として女の性に嫉妬すら覚えてしまうほどに切なく狂おし程に美しい楽曲の数々は、時代世代を問わずして伝わる力を持っている。名曲「17歳の頃」「一晩だけの恋人」は抱しめたくなるほどに息詰まる告白である。間違いなくジャニス・イアンの最高傑作である本作は、季節の変わり目に聴くと効果は大きい。女性による女性の為の貴重な一枚。
Cyndi Lauper 「A Night To Remember 」 シンディ・ローパー Cyndi Lauper 「A Night To Remember 」
ESCA-7621
ビジュアルとキャラクターが先行してデビューしたためブームも去り本気になった本作あたりから日本国内では正当な評価が得られていない感も有るが、本当のシンディの姿はここから始まる。全編に渡り切り裂かれるように切ないラブソングを全身全霊を込め表情豊に歌い上げる本作は、女性であるシンディが女性に向けて語りかけているが、男が聴いても泣けるアルバムだ。しかし、何度聴いても「Unditional Love 」は良い。説得力の有るシンガーの入魂の一枚。ちなみにエリック・クラプトンやリック・デリンジャーがギター弾いてる。


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