ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



YMO

「日本音楽界のアダムスキー」
  松田裕之

アダムスキーというおっさんは、多分軽い気持ちで「円盤に乗せて貰って金星人に会った」なんて友人にちょっと吹いてみたかったんだろう。「なに言うてんねん!」てな突っ込みを期待しながら。

ところがその友人ときたら真に受けてしまい「ええっ!」などとことさら大袈裟に驚いて、他の友人などにも吹聴しまっくてしまい、友人まで信じ込んでしまったのだから始末に負えない。挙げ句、嘘には嘘を重ね当時の想像力では精一杯のなんともW.A.S.Pライクな金髪宇宙人の登場と相成り、多数の著書まで書き上げることになる。K君は火星に行ったと言うてたけどね。これは余談。

1970年代末のYMOの出現は日本音楽界に於いてかなり重要なエポックメイキングだ。円盤が襲来したぐらいの。既存のロックを愛する者達にとっては許し難いムーブメントであり、唾を吐き、テクノカットの少年を見つけては恫喝してうさを晴らすのであった。

急速に成長した経済はなだらかに落ちていくことは無いという原則と同じでブームなんて所詮は一過性、カテゴライズが完了した時点で急速な収束を見るのは明らかなのだが、熱狂というのは時代性とかもろもろの背景を持っているので、その最中にはなかなか終わりが来るとは思えないもんだ。夢の途中で起こされるのは真っ平ごめんだからね。

YMOの最大の誤算はあまりにも売れてしまったことだろう。本人達は至ってお気楽にロックだとかポップスの定石の逆を提示するための実験ぐらいにしか考えていなかったと思う。この3人のジョークをほっとけと言うのが無理な相談なのかもしれないが。

当時のニューウェーブだとかニューアカデミズムだとかの、何だか分からないけど新しい物を欲する時代的欲求の渦の中心に知らぬ間に据えられて、本人達はとっても息苦しそう・・・などと思っていた訳ですよ。イモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」を聴きながら。

Solid Steaet Survivor YMO「ソリッド・ステイト・サバイバー/Solid Steaet Survivor」
ソニー・ミュージック MHCL-205
世界を席巻したYMO-テクノムーブメントの代表的傑作アルバム。
これを聴かなきゃ始まらない。



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