ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



オックス 

「熱狂!絶叫!失神!」
  松田裕之

CDのセールスが何百万枚だろうと、東京ドームで連続何日間満員にしようとそんなのは数量的に「ふーん、凄いね。だから?」てな感じで、ことさら凄いとかなんだとかちっとも思わ無いのだが、これが「客が興奮のあまり失神した!」てえ聞くと、ええ!一体全体どんなことが行われたのか興味津々になってしまう。だって失神ですよ?失神。

「元祖失神バンド」オックス。失神と言えばオックス、オックスと言えば失神と伝説の如く語り継がれる、ある意味GS史上最強のバンドがかつて存在した。

赤く染めた髪にコスチュームは少女漫画から抜け出したような王子様ルック。まあ、今で言えばコスプレですが・・・。歌う曲も「スワンの涙」とくれば、当時の女の子達が熱狂するのも無理からぬ事でしょう。多分・・・。

何が凄いって、まず本人達が失神してしまうんですよ?そしてそれを見たファンが一緒に興奮して失神してしまい、会場は一種宗教的な集団失神状態に陥ってしまうのです!一歩間違えれば人民寺院ですが・・・。絶頂期の野口ヒデト(ボーカル)と人気を二分した赤松愛(オルガン)の失神合戦はそれはもう凄かったらしい。野口ヒデトが舞台にバッタリ倒れて失神して動かなくなったら、赤松愛はオルガンの上に駆け上がり、そこからステージの下に気絶して落ちたり。彼らのもっとも有名な「失神曲(!)」であるストーンズのカバー「テル・ミー」では2人が交互に失神しあって代わる代わる歌ったらしい・・・圧巻である。

もっとも彼ら自身が歌う必要はあまり無かったのかも。なにせ「ガールフレンド」のライブテイクでは半分は客の大合唱ですよ?きっと本人達は失神していたのでしょう。

ライブでの「テル・ミー」の演奏自粛、教育委員会からの失神自粛勧告まで出させたスキャンダラスな熱狂は「カルトGSコレクション(ビクター編)」などのライブ音源が絶対のお勧め。

今後失神バンドは現れるのだろうか?いや、現れて欲しい。一度でいいから失神するほどの熱狂を体感したいぜ!

オックス 「COMPLETE COLLECTION」 オックス 「COMPLETE COLLECTION」 VICL-60945〜6
オックス 「VINTAGE COLLECTION」  VDR-25185  ビクター音楽産業
オックス入門用としては最適だが、熱気が伝わってこないのが惜しい。
しかしGSファンなら抑えるべき1枚。
VA「カルトGSコレクション(ビクター編)」 VA 「カルトGSコレクション(ビクター編)」
全てのGSファンが聴くべき素晴らしいオムニバス。カルトなどと書かれて退いてはいけない。ダイナマイツ、モップスのクオリティの高さや、オックスの熱狂を体感して欲しい。


Back

Top