ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION
吉野大作
「深夜横浜の場末のキャバレーで」 松田裕之
ストイックなアーティストが好きだ。インタビューとかで余計なことを喋られると興醒めだ。吉野大作・・・彼はメディアへの異常に少ないアーティストの一人だ。これほどまで長い活動歴を誇りながら、これ程までに知られていない人も居ないんじゃないかと思うぐらいに。いいのか?それで?とも思うが。かく言う私も正直彼がどんな人か全く知らない。
横浜国大出身で高橋源一郎と寮で一緒だったとか、河合塾で漢文を教えているとか、くだらないことは多少知ってはいるが・・・。しかしながら何故だが大作のCDは何枚も持ってるから不思議だ。いつ頃から彼の音楽を聴きだしたのかもはっきり覚えていないが、定期的に引っ張り出しては聴いている。
一般的にはオルタナティブで通っているが、彼の音楽を一言で括るのは難しい。フォークありサイケデリックありプログレもありかな。ただし一貫して言えるのは、深夜横浜の場末のキャバレーが似合いの音楽・・・決してメジャーな場所でやられるべきではないと断言できる。フリクションを更にディープにしたと言えば解りやすいか。それがいいのである。アングラなんてちんけな言葉は使いたくないが、バーボンでも飲みながら紫煙立ちこめる猥雑な空間の中で一人じっくり楽しみたいね。こういう音楽は。
プロスティチュートや後退青年の頃の退廃的な音は非常に取っつきにくいが、慣れてしまえば実に格好いいのである。オルタナティブというジャンルの中では圧倒的に音楽的クオリティも高い。この手のジャンルはキャッチコピーが大袈裟で今まで騙されたーなんて人は是非聴いてみて欲しい(いや、実際よく騙されるのだが)。日本オルタナティブ・ミュージックの最高傑作と名高い「死ぬまで踊り続けて」はもちろんお勧めだが「後ろ姿の素敵な僕たち」なんかも入門用としてはいいだろう。
しかしなんと言っても初期の傑作「ランプ製造工場」はフォークだが必聴の1枚。泣ける。
吉野大作「ランプ製造工場」 JCUR018 日本晴record |
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シンプルなアレンジのアコースティックな楽曲は心に響く。 懐かしいけれど現代的でも充分に格好いい。必聴の一枚。 |
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吉野大作&プロスティチュート「死ぬまで踊り続けて」 22WXD133 徳間コミュニケーション |
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日本オルタナティブ・ミュージックの最高傑作と名高い名盤。 じっくり聴いていただきたい。 |