ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



沢田研二

「空前絶後の歌謡ロックスター」
  松田裕之

樹木希林はドラマの中でポスターに向かって絶叫し、石野真子はライバルだと歌った。全盛期の沢田研二はまさに「別格」だったと言っていいだろう。ザ・タイガースの時は人気絶頂のアイドルだったが、ソロとなってからはアイドルなんて軽く超越したスーパースター(この言葉も重みが無くなっていく)となったのである。

あまりにも長くトップで居続けた彼の音楽性を書き出すとキリがないので「酒場でDABADA」以降の歌謡ロック路線に絞って言えば、その完成度の高さは言うまでもあるまい。オールウェーズ〜渚のラブレターバンドを経てエキゾティックスとなったバックバンドの出す音も素晴らしい物があるが、たとえどんな有名な作曲家が書こうが、いったん沢田研二の手に入ってしまえば彼独特の物となってしまうから不思議だ。卓越した歌唱力と歌い方によるものなのか?現にカラオケで沢田研二の曲を彼以上に上手く歌える人は少ないし、例え崩して歌ったところで彼の世界観を越えてる人も滅多に居たもんじゃない。案外こういう人は少ないもんだ。 

他の追随を許さないステージ衣装は細部までこだわりがあり、化粧は勿論、ほくろにダイヤを入れたり、ゴールドのカラーコンタクト等々。まったくこれほど気障の似合う人は他には居ないってぐらい格好いいのだから仕方がない。よく現在の所謂ビジュアル系と比較されることがあるが、そんなもん決定的な差があるに決まっておる。まずは当然時代背景。現代と20年以上前ですよ?くどくど説明しなくても自明の理というものでしょう。それと沢田研二は男にも圧倒的に支持されているという点である。スタイル・クールにミステリアスな私生活。彼の凋落が写真週刊誌の台頭と密接に関係しているのは頷ける。魔術が科学によって白昼に晒されるのは白々しい。

「A面コレクション」は必携。伊藤銀次プロデュースの「G.S I Love You」も悪くないが、お勧めは「彼は眠れない」。彼の最高傑作と呼べるアルバムであろう。

沢田研二「A面コレクション」 沢田研二 「A面コレクション」 H75P20082 ポリドール
3枚組全44曲まったく無駄な曲無し。ジュリーワールドを堪能できる。
沢田研二「彼は眠れない」 沢田研二 「彼は眠れない」 TOCT9586 東芝emi
名曲「ポラロイドGIRL」を含む沢田研二の最高傑作と思われるアルバム。歌謡曲とかロックだとかそういう次元を越えた良さがある。



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