ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



EP-4

「曖昧な赤子」 
 松田裕之

そもそもEP-4って何よ?辞書にも出てないし。検索すれば出てくるのは「EP-4枚ゲットしました〜♪」等と無関係なアホHPにしか引っかからないし。もしくは英語のワケワカランところとか。何かの略なの?暗号?洋楽なの邦楽なの?いつ頃の人なの?カセットブックって何?だいたいどんな音楽なのよ?・・・・

EP-4のファースト「制服・肉体・複製」は書籍扱いのカセットテープとして販売された。未成年だった俺は書店でレジに持って行く勇気が無かった。それに「制服・肉体・複製」でしょ?どうせオカマの格好した奴らがマネキン人形を電動ノコギリで切ったりするような前衛芸術家気取りのバンドなんでしょ?くだらん。と勝手に想像したりしていた。

その後レコードが出るの出ないので揉めてる間に、どうやらこのバンドはファンクをやっているらしいという事が分かった。丁度その頃じゃがたらを聴いてたから、うんうん、ファンクっていいんじゃない?てな訳で「マルチレベル・ホラーキー」と「昭和大赦(リンガ・フランカ1)」をほぼ同時に買った。かなりの期待を持って。

しかし安物のステレオから流れてきた音はかなり想像と違ったもので、当時、音楽的知識に関して白痴だった俺の脳髄は瞬時に「YMOもどきの単なるニューウェーブじゃないかぁ!」などと、今となっては赤面ものの判断を下してしまい、数年もの間レコードラックから取り出されることもなかったのであります。ああ、恥ずかしい。

数年後に聴いたEP-4は素晴らしかった。「EP-4、という名は、健康獲得という効用に背反する絶対毒を常に癒着させている、ヴィタミン剤に似ている」と藤原新也は「昭和大赦」のライナーに書いている。まさにヴィタミン剤がごとく、飲んですぐ効果が現れる様なものでなく、後々年を取ってからその良さが確認出来る。そしてその毒も。佐藤薫と川島バナナという強烈なヴィタミンを今も摂り続けてる俺は果たして健康を獲得できたのか?それとも毒にやられてのか?もう少し経ってみなければ分からない。

EP-4 Multilevel Holarchy EP-4「マルチレベル・ホラーキー/Multilevel Holarchy」
有名な1983.5.21事件でメジャー、インディ同時発売を狙ったEP-4だが、アルバムタイトルの問題からインディからこちらのみ発売された。佐藤薫主導によるライブテイク集。
EP-4「昭和大赦/Lingua Franca-1」 EP-4「昭和大赦/Lingua Franca-1
当初のアルバムタイトル"昭和崩御"がレコ倫に問題になり、やむなく発売延期(後にリンガ・フランカXとして書籍扱いでタイトル及びジャケットは日の目を見る)。ジャケットは藤原新也の東京漂流より金属バット殺人事件の犯人宅の写真(裏表見比べると良い)。川島バナナ主導のスタジオ盤。




Back

Top