ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



キャ→

「ギャルズポップパンクのある種の到達点」
  松田裕之

古いライブアルバム、特にアイドルの物など聴くと「きゃー!!」などという絶叫とも悲鳴ともつかない声がバンバン入ってるわけですよ。これがまた最近のサウンドボードを通してあまり客の声が聞こえないライブ盤なんかと違って臨場感というか熱気が伝わっていいのでありますが、この「きゃー!!」なる声ですが、なぜゆえ「きゃー!!」なのか?という疑問が沸くわけですね。

普通声援を送るなら名前なりグループ名を叫ぶのが当然でしょう。それがなぜ驚いたように「きゃー!!」なのか?しかもそれが"黄色い"などと色つきで呼ばれるのか?謎が謎を呼ぶわけですが、そもそも本当に「きゃー!!」と叫んでるかも怪しい。擬態語・擬音語の類は表記上通例を用いるのが普通です。当ロック大学のごり松教授はよく「昨夜は女をヒイヒイ言わせた」などと仰られるが、私は今まで"ヒイヒイ"などと言う女を知らないし、寡聞にして聞かない。

閑話休題。で、結局ですね「きゃー!!」となぜ叫ぶかと言えば、強盗なんかに襲われて「きゃー!!」と叫ぶのと一緒で、本能が理性という検閲を通さずに言語中枢に届いてしまって、言葉にならない言葉として吐き出されたものが「きゃー!!」なんですな。きっと。

で、この話がなんでロックと関係あるのか?そりゃあ大ありですよ。ロックってのは既成の概念を壊したり、規制されることに怒りを覚えることを表現する手段の一つだと思うのですが、いつの間にやらお決まりの声援や手拍子。挙げ句の果てには座っている客に「しらける」などと暴言を吐く奴が現れるに至っては、もうこれは本末転倒。自由で居たいぜ〜♪とか歌われても阿呆くさくって聞いちゃいられないご時世で御座います。

ついでと言っては何だが、キャ→の紹介をしておこう。80年代の中盤から後半にかけて活動した女の子4人組のインディーズバンドである。「ピラニアBOY」はあの頃言われたギャルズバンドの中では名作中の名作で、ある種の到達点だと思う。必聴。コーラスでラフィン・ノーズのチャーミーやリップ・クリームのメンバー等も参加しております。・・・・って、オチはこれかい!カッコワル・・・。

キャ→ 「スラップ・ダッシュ」 キャ→ 「スラップ・ダッシュ」
名曲「ピラニアBOY」が収録されているだけでもう満足。
かなり完成度の高いポップパンクな仕上がりです。



Back

Top