ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION
はっぴいえんど
「風の中で」 松田裕之
「サイレンススズカは風の中を走ってるんだね。」と誰かが言った。
1頭だけ別のレースを走っているかのような次元の違う走り。1998年はまさにスズカの為の年だったと言えよう。中山記念から始まる重賞5連勝は全て逃げ切り。金鯱賞では実に11馬身もの大差を付けた。そしてなんと言っても毎日王冠。後に凱旋門賞で2着となり”世界の”と言われたエルコンドルパサーと有馬記念を2連覇することになるグラスワンダー等並み居る強豪に影をも踏まさず持ったままのワンサイド勝ち。本当に彼は風の中を走っているみたいだった。沈黙の日曜日さえ来なければヨカッタのに・・・
かつて「日本語ロック論争」なるものがあった。ロックは英語じゃなきゃ駄目、日本語はロックに向かないという概念が結構根深かった訳で、ウッドストックとかカウンターカルチャーの影響がどっと押し寄せてきていた時代で、ある種の欧米文化へのコンプレックスや崇拝がごちゃ混ぜとなって、今では信じがたい論争が成されていたわけである。当時日本語のロックの象徴と言えばはっぴいえんどだった。彼らは否応なしに論争に巻き込まれるのだが、今となってみれば彼らは日本語ロックという存在を当然と認めた先の実験をやっていたのだから、ロックは英語じゃなきゃ駄目と主張する奴らと論争になるはずが無かったのであることは明白だ。次元が違うのだから。
はっぴいえんどは松本隆の詩の世界観によるところが多い。「風都市」に象徴されるキーワードは、都市の移りゆく風景を外側から切り取ったような印象を受ける。詞というよりは詩。結局3枚のオリジナルアルバムを残しただけで、「さよならアメリカ
さよならニッポン 」というメッセージを残してはっぴいえんどは解散してしまう。その終わり方は決して幸福な結末とは言えなかったけれど。
はっぴいえんど 「風街ろまん」 IOCD-40011 | |
細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂によるいわずと知れた スーパーグループの2ndアルバム。 松本隆の傑出した世界観がもっとも表現されている傑作。 |