ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



ヒルビリーバップス

「クラスにいたカッコいい奴」
  SHINGO

ヒルビリーってのはアメリカ南部地方の山地で歌われてた民謡のこと。それに1950年代頃出てきたリズム&ブルースとジャンプブルースをミックスさせたのがロカビリーってわけだ。ロックってのは全てここが元祖になってるんだけど、その「ヒルビリー」って言葉をバンド名に使うだけあって、メンバー達はかなりのロックマニアだったのだろう。それはアルバムに随所に登場するオールドロカビリーカバーの選曲のシブサと愛着溢れるプレイにもあらわれている。

しかし、彼らはいわゆる単純なロカビリーバンドではない。そのルックスを見てもわかるがイカニもロカビリアンっぽいのは辛うじてベースの川上剛ぐらいである。その他のメンバーはどちらかといえばアイドルグループっぽい・・そう、あのチェッカーズのような雰囲気だ。

なかでもボーカル宮城宗典のルックスは、爽やかでナイーブな優等生のようだ。勉強ができてスポーツもそこそこ、センスが良くて友達も多く、素直だけど自分の芯はしっかりもってる、もう「どうがんばってもコイツには勝てん」って思わされるけど憎めないカッコいい奴って、どこのクラスにもいたのでは?宮城はそんな雰囲気を持っていて、彼らのオリジナル曲を聴いてみると校内でのそんな風景が目に浮かぶようだ。

そして、彼らの曲が単純なロカビリーになっていない理由に、彼らがロカビリーを愛するとともに忌野清志郎を敬愛していることも挙げられるだろう。RCサクセションの名曲に「トランジスタラジオ」というのがあるが、あの曲で表現されている爽やかでのんびりとした学園生活の一コマはヒルビリーバップスの曲が連想させる風景に似ている。実際彼らの曲には清志郎やチャボからプレゼントされた曲もあるからね。

   このようにロカビリーをベースにしつつも、いろんな要素を詰め込んで彼らは順調に活動していたが、ミニアルバムを含む3枚のオリジナルアルバムを残した後、ボーカルの宮城が突然の自殺。大事なバンドをまた一つ失ったと残念でならなかったが、宮城が死んで数ヵ月後に日比谷の野音で行われた追悼ライブに集まった多くのミュージシャン達の顔ぶれを見て、みんなに愛されて、そして送られた宮城の魂とともに私の彼らに対する思いも成仏したように思えた。

その後、新しいボーカルを迎えて2枚のアルバムを残してからバンドは解散したが、私にとっては宮城のボーカルあってのヒルビリーであり、新生ヒルビリーバップスの作品はほとんど耳にしていない。あれから13年経った現在も私の携帯プレーヤーでは、彼がいた頃のピュアヒルビリーバップスのロカビリーサウンドが鳴り響いている。

宮城クンよ、そっちでも歌ってるかい?


☆これを聴け!☆

Hillbilly Bops 「BOP!BEST!BOPS! 1986〜1988」 Hillbilly Bops 「BOP!BEST!BOPS! 1986〜1988」  KTCR-1282〜3
宮城がいた頃の名曲達を集めた2枚組ベスト盤。オリジナルの名曲に加え、未発表のオールドロカビリーのカバーも多く収録されている。かっこいいゼ!!


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