ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION
CRACK THE MARIAN / クラック・ザ・マリアン
「ワルガキ・アメポパンク」 SHINGO
学生時代のいわゆる「不良」って奴にもいろんなのがいて、諸々の事情で社会や大人なんかを信用できずに、醒めて、ひねくれて、グレているタイプや、別に社会や親に反抗してるわけではなく、ひねくれてもいない、単純にカッコイイことに目がなくて「あの出で立ちは不良だわ」という目で見られたり、楽しいことを追求していくうち、結果的に法律のラインを知らぬ間に踏み越えてしまう、というタイプなどである。私がこの「CRACK
THE MARIAN」を“ワルガキ”と称しているのは上記の2つのタイプのうち後者のほうであり、彼らの作品に触れるとそういう匂いがプンプンとしてくる。
彼らはおそらく“札付きの不良”だったのだろうと思うが、私が「彼らは後者のタイプだから・・」などといったところで社会や学校からみれば不良は同じ不良である。まあ別に私は彼らの悪行を弁護するためにこの文章を書いているわけではないのでどっちでもいいのだが、このような彼らがかもしだすワルガキ的想いは、学生時代にみんなが多かれ少なかれ持っているモノであり、彼らの作品は日常のそんな想いを見事に明るく、屈託なく表現している。
これはほとんどの曲の作詞を手がけているボーカル花月(KAZUKIと読む)の天才的なセンスによるものであると思うが、この詞を50'sとパンクとギャングロックをシェイカーに入れて振り回したような、小気味いい弾けたサウンドにのせると最高に心地よい。そしてテディーボーイズとパンクスを上手く混ぜ合わせたファッションでオドケたポーズや笑顔を見せるルックスも、ガキ大将がそのまま大きくなったような印象で曲の持つイメージとぴったりだ。
そんなワルガキアメポパンクチューンの合間に突然"小さな恋のメロディー"のような、ロマンティックでどこかノスタルジックなロッカバラードなんかを混ぜてくるもんだから、もう涙がこぼれますよ、ホント。また「JEANIE
JEANIE JEANIE」や「OVER THE RAINBOW」なんかのスタンダードに彼らなりのセンスでつけた日本語詞をのせてサラリとカバーしてしまうところもなんとも言えない。そんな彼らだがそのワルガキぶりと素直さを弄ばれたのか、音楽業界の荒波に翻弄され、メジャーで4枚、インディーから1枚のアルバムを残して活動を休止した。
メンバー達はそれぞれ新しいバンドを結成し活動を続けているが、今も相変わらずのワルガキぶりだ。願わくば一生ワルガキのままで弾けたロックンロールを演り続けていて欲しいと、物分りのいい大人になってしまった私は心から願っている。夢を見させてくれ〜、ワルガキども!
☆これを聴け!☆
CRACK THE MARIAN 「BOP CATS」 TKCA-70214 | |
彼らの2枚目のアルバム。ワルガキぶり全開だ。ロックンロールスタンダード「JEANIE JEANIE JEANIE」も豪快にカバーしている。 | |
CRACK THE MARIAN 「VIVA LA SCANDAL PARTY 」 TKCA-30380 | |
相変わらずガチャガチャうるさい3枚目。「OVER THE RAINBOW 」をこう歌いますか・・。 クラックザマリアン版小さな恋のメロディー「I'm Sorry Good Night」も切なくて いい!! |