ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION
MAGIC / マジック
「日本代表」 SHINGO
「ロカビリーって、演奏はかっこいいんですけどスリーコードで同じメロディーを繰り返すだけとか、他の曲と歌メロがよく似てたりね・・その点、日本の歌謡曲やポップスはちゃんとAメロ、Bメロ、Cメロとあってね、そこが好きなんですよ」
MAGICの"ウッドベース"担当、炭谷貴士サンの言葉である。
はい、おっしゃるとおりです。わたしもまったく同感ですよ。「それで、歌謡曲やポップスのもつきれいなメロディーを、ロカビリーのアレンジ、演奏でやりたかったんです」MAGICのバンドスタイルはこの一言に表されるとおりであり、ロックンロールスタンダードやロカビリーが大好きで、そして歌モノに弱い私は、当然のごとくMAGICの魅力にとりつかれた。
MAGICがデビューした1990年ごろはストレイキャッツの再結成を契機にネオロカというのがちょっとしたブームで、両腕にびっしりとタトゥを彫り込んだお兄さんたちのバンドが世界中で活躍していた。ネオロカといってもその大部分は昔ながらのロカビリースタイルだったので(それはそれで私は好きですけどね)。
MAGICのその音楽性がディープなロカビリアンたちに圧倒的に受け入れられたのは私としては意外だったが、とにかくMAGICは日本でのそのムーブメントの中心であった。オリジナルは徹底的なポップメロディーにウッドベースを前面に押し出したロカビリーサウンド、そしてライブなどで演るオールドロカビリーカバーの選曲には抜群のシブさが光り、後に発売された伝説のロカビリアン、リーヴァイ・デクスターとのコラボレーションアルバム(※1)のカッコよさは、まさに日本代表といえるものだった。
しかしこのアルバムが出た後ぐらいからだんだんとロカビリー色が薄れていき、ちょっとアダルトなバンドに変貌していった感があって私自身のMAGICに対する熱は急激に下がっていった。そして解散したことも、かなり後になるまで知らなかった始末だったので、本当のMAGICファンからすればいいかげんなファンこの上なく、このように他人にオススメする文章など書ける身分ではないのだが、それを承知でMAGICに触れたことのないロックンロールファンに敢えてオススメしたい。 ポップメロディとロカビリーサウンドが絶妙のバランスを保っていた“ROCK
A BEAT”の素晴らしさを。
☆これを聴け!☆
MAGIC「リーヴァイ・デクスター&MAGIC」 MECR-30046 |
|
オールドロカビリーの名曲を渋くチョイスし、強力なネオロカビリーチューンとして蘇らせ た強力な一枚。ディープなロカビリーファンも納得、ロカビリー入門編としても絶対の名作。 | |
MAGIC「天使のジェラシー〜MAGIC Best Collection」 MECR-30038 |
|
初期のBEST盤。ロカビリーと歌謡曲をミックスさせた“ROCK A BEAT”に触れるならこの一 枚から。 |