ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



CADILLAC / キャディラック

「テッズリーゼントのいかした奴等」
  SHINGO

“リーゼント”と呼ばれる髪型があるが、実際どんなモノのことを指すのだろう。本来は70年程前にロンドンの“リーゼント街”というところの若者の間で流行した髪形が発祥で、スタイル的には“ジェームスディーン”の髪型が最もオーソドックスなものだろう。その後、サイドを寝かしつけて後頭部のセンターに髪の毛が集った様がアヒルの尻に似ていることから“ダックテイル”と呼ばれたり、進化系としてシド・ビシャスのように逆立てた頭を“パンクリーゼント”などと呼ぶヒトもいる。

日本では、ちょっと悪そうなヒトがサングラスをかけていれば、それがただのオールバックであってもリーゼントと呼ぶようなヒトもいるようで、このようにそれが正統かどうかは別にして“リーゼント”と一言でいっても様々なスタイルがある。

そんな多くのリーゼントスタイルの中でも1950年代に現れた“テディボーイ”と呼ばれる不良達はニワトリのとさかのように天高く逆立てるリーゼントでキメており、それは“テッズリーゼント”と呼ばれた。

 この“テッズリーゼント”とパステルカラーのスーツにループタイ、ラバーソールという典型的なテディーボーイスタイルでキメた“いかした”3人組の50’バンドがCADILLACである。

地元静岡では押しも押されもしない人気バンドだった彼らは、様々なアマチュアコンテストにエントリー、コンテスト荒らしの異名をとった後、1985年にレコードデビュー。私が彼らを最初に見たのはその年のヤマハポプコンのテレビ放送だったが、オーソドックスにも程があるほどのストレートな50’ビートと(現にこの時に優秀曲賞を獲った曲が50'BEATという題名だった)、天高くそびえ立てたテッズリーゼントが印象的だった。この頃からこのテのフィフティーズ、オールディーズ系に目がなかった私は、即デビューアルバムを購入した。

と、ここまでは私が今まで出会った多くのバンドと同様であり、その場限りで聴かなくなったバンドも数多いが、なぜ今も私がこのアルバムを聴き続け、みなさんにオススメするのか。彼らの魅力はそのテッズ丸出しのルックスとわかりやすいオールディーズミュージックもさることながら、ボーカル米森正樹の“声”である。言葉では上手く表現できなくて恐縮だが、なにせ彼の声質と歌唱法はバツグンにこの手の曲にハマッている。なんとも心地よく耳に飛び込んでくるフィフティーズビートのこのアルバムは40分程度の収録時間で、むずかしい理屈はいっさい必要なくサラッと聴ける。休日出掛ける前の準備中のBGMに、また快晴の日のドライブのお供なんかに一度お試しあれ!そのドライブのクルマがキャディラックなら最高だけどね(笑)。


☆これを聴け!☆

CADILLAC 「CADILLAC」 CADILLAC 「CADILLAC」 AMCM-5029 
彼らのデビュー盤。「キャロライン」「HEY BILLY」なんて“イカニモ”って曲がズラリ。
85'ヤマハポプコン優秀曲賞「50'BEAT」も、もちろん収録。




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