ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



THE STREET BEATS / ザ・ストリート・ビーツ

「本物の“強さ”と“優しさ”」
  SHINGO

“男臭い”バンドである。“女に理解されることを拒絶している音楽”と言っていいのかもしれない。

ビーツのデビューは1988年。この頃日本ロック界は空前の“バンドブーム”で、次から次へとバンドが溢れ出し、節操なく誰も彼もがデビューしていた。私はこの風潮にかなり違和感を感じており、ビーツについても「しょせんこの中のひとつだろう」ぐらいにしか思っていなかった。音を聴く機会もなかったし、聴こうとも思っていなかった。

しかし後年、意外なところで彼らの音楽に触れることになる。私は仲間内では有名な“マンガ好き”である。音楽が好きなのと同じくらい“マンガ”が好きなんである。ある日見つけたのが“CROWS”ってマンガ。不吉で嫌われ者のカラス(CROW)のような不良少年達のケンカと友情の物語で、これが熱くてかなり面白い。

これを描いてる高橋ヒロシってヒトが単行本の中でしきりにビーツをすすめてる。その他にもモッズや寅さん等、私の好きな物を多くすすめていたので「いっちょ聴いてみようかな」と思って聴いてみた。

「何で今まで聴かなかったんやろ、あ〜損した!」正直そう思った。とにかく“熱い!”。世の中にはロックバンドは山程いて“熱いフリをしている”バンドは星の数だろうけど、ビーツには数少ない“本物”の熱さを感じる。

そして圧倒的に“優しい”。ガンバレガンバレって気持ちを言葉にすること、甘い言葉をかけることはたやすいが、それがうわべの言葉である場合、それを一番感じるのはかけられた本人であり、それは自分が苦しければ苦しいほど敏感に感じるものである。ビーツの歌詞はすべてリーダーのOKIが書いているが、彼はガンバレなどとは決して言わないし、甘い言葉などはもっての外だ。嘘のない、力強い思いをブチまけ、見せつけてくれているだけである。

自分の弱い部分、思い悩む姿もかまわずさらけだしてくれる。これは強い人間にしか出来ない。そして本物の“優しさ”というものは“強い人間”だけが持ち得るモノである。彼の詞が直接自分に語られているものでないことは百も承知だが、本物の“強さ”と“優しさ”と“熱さ”に触れたとき、ヒトは力が湧くものである。

音はパンクを基調にしたストレートなロックンロール。近年はアコースティックも多用し、さらに音楽性の幅を広げている。モッズの森山達也、スタークラブのヒカゲ等、私に力をくれるアーティストは数人いるが、彼、ビーツのOKIも、私に力を与えてくれるかけがえのないアーティストとして一生大事にしていきたい。いささか宗教論、哲学論的になってしまったけれど、キミが少しでも“熱い”ものを持ってるならだまされたと思って一度聴いてみなって。魂を揺さぶられること間違いなしだから。


☆これを聴け!☆

THE STREET BEATS 「BEST MINDS」 THE STREET BEATS 「BEST MINDS」 VICL-40201〜2
4曲入りシングルとの変則2枚組ベスト盤。ビーツ入門編には最適かも。
シングルの一発目「十代の衝動」は名曲。
THE STREET BEATS 「RED HOT BLOOD」 THE STREET BEATS 「RED HOT BLOOD」 UMCK-1058
昨年の10月にリリースされた最新アルバム。さらに“強さ”と“熱さ”を増したOKIの詞世界が大爆発だ。



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