ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION



カルメンマキ&OZ

「日本のジャニス?」 
   Pantetsu


日本の「ジャニス ジョプリン」と言えば解りやすいのだろうか・・・海外アーティストを引き合いに出すような形容はカッコ悪いが、確かに解りやすい。でも絶対「金子マリ」の方がソウル感でジャニスなんだけど・・・まーそんな事はどうでもいい。マキが和製ジャニスって事にしておこう。

中学生の頃にカルメンマキ&OZの「空へ」の発売CMらしき物をラジオで聴き、初めてそこに洋楽ロックから脱皮した音を感じた。まだまだ日本のロックが暗中模索の時代だが、「空へ」は私が、和製ロックに大きく興味を持ち始めるきっかけとなる曲だった。

冒頭には良く使われる言葉を記したが、カルメンマキはジャニスでは無い。ジャニスの唱がソウルを基調としているのに対して、カルメンマキは演歌だ。(「演歌もソウルじゃん」と言われれば確かにその通りだが・・(笑)デビュー当時の天井桟敷とは別人のハードロックなカルメンマキがココに居る。

 定番と言えば「私は風」を含む「OZ 1st」であろうが、私的にはOZの最高傑作は2枚目。「カルメンマキ&OZ 2nd 閉ざされた町」、この作品はLA録音、録音スタッフも日本人ではない。しかし、湿り気はたっぷりである。イントロが終わると一曲目の「崩壊の前日」が始まる。このアルバムの特徴だが、地を這うようにドライブするBASSは一曲目から全開し、溜めまくるリズムは咽返る様に緊張感を作り出す。歪んだギターはシングルコイル特有の攻撃性を放ち、オルガンのグリスに絶叫が重なった瞬間このアルバムの呼吸を感じる事が出来る。

ロックバンドの醍醐味は「煽り煽られ」その中に瞬間的に生まれる呼吸の一致に有ると思う。アルバム全体としてはスローなナンバーが多く「プログレ演歌」の感も有るが、ハードロックファンにも満足して頂けるほどに各楽器はドライブしているので、早いリズムは疲れるがヘビーな音を聴きたい時には最適かと思われ、息が詰まるようなリズムの溜め感を一度経験していただきたい。

その後のカルメンマキは「ナイトストーカー」「5x」など、ハードロック、ヘビメタ方面に突き進み、それなりの作品を残すが、バンドとして完成度が高いのはとにかくこのOZ時代である。 休日に、ヘッドホンで爆音の中のOZのリズムに体を任せる。緊張感溢れるスローでヘビーなナンバー、この流れはかなり気持ちいいです。 なんてったって楽曲アレンジが大袈裟で、ハマル人には傑作。呼吸です。

カルメンマキ&OZ 「閉ざされた町」  Kitty KTCR-1518
全編に渡りドラマチックかつ重厚な音で、リズム本来の人間的呼吸が神秘的な開放感を作り出し、まさにOZの最高傑作と呼ぶに相応しい作品となっている。全てのパートの息吹にむせ返ること間違い無し。
カルメンマキ&OZ 「OZ III」 Kitty KTCR-1519
名曲「空へ」を含む本作は、前作「閉ざされた町」とは正反対の爽やかな音で幕を開ける。私的には若干物足りなさを感じる部分もあるが、とにかく名曲「空へ」が収録されているのだ。ただそれだけで十分に素晴らしいアルバムである。


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