ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
JAPANESE ROCK ARTISTS SECTION
ピラニア軍団
「誰が呼んだかピラニア軍団」 SHINGO
芸能界の長い歴史の中ではミュージシャンが映画・ドラマに出演する、また逆に役者が歌を唄いCDを出す、という例は数え切れないほどあります。“音楽”と“演技”というものは一見畑違いのモノのように思えますが、どうも“表現する”という意味において多くの共通点があるようで、「それはちょっとやめたほうがよかったのでは??」という物もありますが、まるでそれが本職であるかのように素晴らしい作品を残したヒトはたくさん居ます。
“役者が歌に挑戦する”という、それこそ無数にあるパターンの一つですが人気俳優が歌を唄うといった従来のモノとは明らかに色が違い、いわゆる“大部屋俳優”といわれる人たちが何を血迷ったか音楽アルバムを作ってしまった、それがこの作品「ピラニア軍団」です。
「遠い昔の話になってしまいました。三角マークの映画会社、東映が不良性感度の高い魅力的な作品群を製作・公開していた70年代を語る上で、絶対に無視できない集団がいます。ほんの極僅かな期間でしたが、鶴さんよりも健さんよりも文太兄ィよりも松方のお兄ちゃんよりも、東映ファンを熱くさせた脇役・悪役・殺られ役集団、ピラニア軍団です。」(
〜ピラニア軍団魂鳴り止まず〜 http://shibuya.cool.ne.jp/team_masa/piranha/ より)
“コワモテ”なんて言葉がありますがこの人たちはそんな言葉で言い尽くせないほど“コワイ”です。“個性豊かな集団”なんて表現がありますがこの人たちのはそんな生易しい“個性”ではありません。“キラリと光る演技”なんてコトをよく耳にしますがこの人たちの演技はそんな“こじゃれた”ものではありません。不器用なほどひたむきに、ただただ泥臭く、ひたすら力強く、“カッコ悪く”主役に殺られていきます。
こんな人たちに“歌”を歌わせたのは“恨み節”の三上寛。全曲作詞作曲。そしてアレンジャーは“世界の教授”坂本龍一。バックを努めるは村上ポンタ秀一氏をはじめ後藤次利、村松邦夫、斉藤ノブなどの超豪華メンバー。このメンバーの価値を知ってか知らずか、このバックに乗ってピラニア達が歌うは、報われない稼業を自嘲しつつ逞しく笑って生き抜く日々を吐き捨てるような“怨歌”。
音楽形態は紛れもなく“演歌”なのでありますが“男汁”で三日三晩煮しめたような強烈な侠達が搾り出す腹の底からの叫びはまさしく“ROCK”なのであります。
問答無用。トドメにピラニア達の目を覆うような風貌をご覧ください。そしてこのピラニア達の発するキッツ〜イ男汁の香りにまみれたいと思うヒトだけ、一度聴いてみましょう。誰も「ついてこい」などとは言いません。
ピラニア軍団「ピラニア軍団」 Pヴァインレコード PCD-1492 |
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誰が呼んだかピラニア軍団。1977年の最初で最後の作品です。 オススメは7曲目のソレカラドシタブシ。 助け人、渡瀬恒彦の合いの手(ヒヤカシ)が泣かせます。 |