"THINKING SOCIOLOGY" THEME :
ROCK MUSIC


「ドラッグっておいしいの??」        SHINGO

 
大阪発天才、中島らもが捕まった。
違法ドラッグに指定されて間もないマジックマッシュルームと大麻の不法所持という容疑であった。氏の極限までに捻じ曲がった根性と、社会常識を強烈に笑い飛ばし吊るし上げてしまうセンスに心酔し、多くの著作を読み漁った私としては、現在なんとも複雑な気持ちである。

そもそも、創作活動の世界でドラッグというものが果たしてきた役割とは何だったのだろうか。60年代の文学・音楽等は“ドラッグカルチャー”と呼ばれて、そこから多くの天才が産み出された。“セックス・ドラッグ・ロックンロール”なんていう言葉も生まれて、物を創る人間がもつ香りとして必須条件のようになっていたようだ。我が日本でも多くのROCK系ミュージシャンが、あたかもそれが登竜門であるかのようにドラッグにのめり込み、そして逮捕された。

しかし、これでいいのだろうか。私はここで法に触れることがどうのこうのと正議論を打とうとしているのではない。“天才的”と呼ばれる創作者、もしくは創作がドラッグによって産まれることがいいのだろうか?と言いたいのだ。

この問題を考える時、「天才ってのはおまえら常人とは違う世界にいるんだよ!素晴らしいモノを創るために時には“ドラッグ”を燃料にしてケタ違いのモノを創るんだ!!天才にはそれが許されるのさ」的な発想が、受け手側も含めてあるように思えてならない。しかし本当の“天才”というのはそのようなモノに頼らなくてもケタ外れのモノを創造する人のことをいうのではないだろうか?自ら脳内麻薬をドバドバ分泌して、平気な顔でスゴイモノを創り続けていく人。私はこのような人を指してのみ“天才”という称号を与えたい。

こう考える時、らも氏は天才ではないという結論に達するわけだが、天才であろうとなかろうと氏の作品がおもろいということにはなんの翳りもないわけであるから、ここで数点の著作をご紹介しながら、きっちりと罪を償い終えた後にまた産みだされるであろう傑作を大いに期待したいと思う。

    「らもさん、大麻ってそんなにウマイんでっか??」



☆「今夜、すべてのバ−で」中島らも著    講談社 ISBN4-06-205259-8 C0093

主人公“小島容”は完全無欠のアル中患者。ある日緊急入院するハメになるが、本人は笑えない、しかし見るものは笑えずにおれない事件続出の闘病生活。著者自身の体験をもとに書かれた、面白く、そして悲しい長編傑作。 吉川英治文学新人賞受賞作。

☆「なにわのアホぢから」中島らも編著    講談社 ISBN4-06-205527-9 C0095

「なにがなんでも大阪がエラいんや」という発想で、浪速のアホ達が間違った視線でよってたかって大阪を賛美するまったくもってヘンな本。「大阪人って外国人?」なんてこと思わんといてくださいね。みんながみんなこんな人たちやないですから・・・・。



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