1Q84 読書記録 りょう99@笠原良太

下から書いてます。

単行本では全3巻ですが、文庫本では1巻が2冊づつになり6巻になっています。
これは単行本です。


■2012年9月4日
「1Q84」 BOOK3 10月−12月 村上春樹著 新潮社 単行本

青豆は死ぬのを思いとどまった。拳銃の引き金にかけた指の力を抜いた。
青豆は老婦人が手配してくれたマンションにこもっている。
すぐ顔も名前も変えてちがう場所で新しい生活をおくろうと考えていたが
そのマンションから見える公園で偶然にも天吾を見た。
青豆は今年いっぱいそのマンションにいさせてもらえるようにたのむ。
また天吾に会えるかもしれないのだ。

ふかえりの母は数年前に胃ガンで死去した。
父は「声を聴くもの」だった。預言者の役目を果たしていた。
娘のふかえりが「空気さなぎ」を書き、それがベストセラーになったことによって
声は彼に向かって語りかけるのをやめ、父親はその結果自然死を遂げた。
あるいは自然に自らの命を絶った。青豆が手をかけたわけだけど。
そして教団にとって、新しい預言者を獲得することが何より重要な使命になった。
声が語りつづけることをやめれば、その共同体は存在基盤を失ってしまう。

青豆は妊娠した。教祖に筋肉ストレッチをやり手をかけたときである。雷の日。
その子は天吾の子ではないかと実感する。
雷の日、天吾はふかえりと交わった日でもある。
青豆の子供が「声を聴くもの」になるのか。
その他に彼らが私を必要とする理由が思いつかない。
しかしいったいどのような理由で天吾と青豆のあいだにできる子供が
そんな特別な能力を身につけることになるのだろう。
あるいはリーダー(教祖)は、自分の生命と引き替えに自分を後継するものを青豆に託そうとしたのかもしれない。

青豆と天吾はあの公園のすべりだいで出会うことができた。
二人とも20年間求めつづけた感動の再会だった。
青豆と天吾は首都高の非常階段に向かう。今度は下から登ってみるつもりである。
非常階段はそこにあった。それを登り首都高に出た。月は一つだ。
1984年にもどってきたと思った。しかしエッソの看板の虎は逆を向いていた。反転している。。
しかし、今は青豆と天吾は一緒だ。おなかの子もいる。天吾もその子が自分の子だと信じる。青豆と天吾は結ばれた。
ここがどんな世界か、まだ判明していない。しかしどんな世界であれ私たちはとどまるだろう。
この世界にはこの世界なりの脅威があり、危険がひそんでいるのだろう。
そしてこの世界なりの多くの謎と矛盾に満ちているのだろう。
行く先のわからない多くの暗い道を、私たちはこの先いくつも辿らなくてはならないかもしれない。
しかしそれでもかまわない。進んでそれを受け入れよう。
どんなことがあろうと私たちは、このひとつきりの月を持った世界に踏み留まるのだ。
天吾と私とこの小さなものの三人で。

NHKの集金人は天吾の父親の意志というかが幽体離脱したものですね。

青豆の子がドウタか。。

天吾が小説をもってきてしまったことからまた月が2つになることが予想される。
詳しいことは忘れた。。2019/11/06

  

■2012年9月3日
「1Q84」 BOOK2 7月−9月 村上春樹著 新潮社 単行本

「空気さなぎ」はベストセラーになった。
ふかえりが作ったものだが天吾が手を加えたものだ。手を加えた天吾はあぶない。
「空気さなぎ」は教団「さきがけ」のことを書いたものであり、パンドラの箱をあけてしまったようだ。
天吾とつきあっていた彼女は失われた。
ふかえりは身を隠した。ベストセラーを書いた17歳の少女が失踪したと話題になった。
ふかえりの父親が「さきがけ」のリーダーのようだ。
元締めの老婦人がことを運んで青豆とリーダーが接触できるようにとりはかった。
青豆はリーダーに筋肉ストレッチングをすることになりリーダーに会った。
リーダー(教祖)はすでに病んでいて青豆に殺されることを知っていてそれをのぞんでいた。
教祖は青豆のこともすべてを知っていた。
教祖を殺せば天吾は助かるが青豆はリトルピープルによって厳しく罰せられる。
教祖を殺さなければ天吾はリトルピープルによって排除される。青豆の脅威はなくなり罰せられる理由はなくなる。
天吾が存在しない世界では青豆は生きている意味もない。天吾と青豆が出会う可能性は永久に失われてしまうのだ。
青豆の選択は二つだけだ。青豆が死に天吾が生き残る。天吾が死に青豆が生き残る。
1984年にとどまっていればこんな選択をせまられることはなかった。
天吾が青豆のことをずっと思い続けていたという事実を知るすべはなかった。
1Q84年に運ばれてきたからこそ、青豆はその事実を知ることになった。
天吾と青豆の心がある意味では結びあわされているという事実を。
青豆は教祖を望み通りアイスピックで殺した。大きな雷が鳴っていた。
青豆は仕事を終え老婦人が用意しておいたマンションに身を隠した。顔も整形してちがう名前でちがう場所で生きていくつもりである。
ところで1984年が続いていれば「さきがけ」は存在しなかったのだろうか。(謎)

一方、天吾は「空気さなぎ」に手を加えたことでやっかいな立場に立たされていた。
そこへ行方をくらませていたふかえりが訪ねてきた。一緒に「空気さなぎ」を書いたから協力しようと。
ふかえりと天吾は関係をもった。ふかえりは言った。「しんぱいない、わたしはにんしんしない、わたしにはせいりがないから」
大きな雷がなっていた。
ふかえりは十歳のときに父親に犯された。
そして、その行為をとおしてリトルピープルを彼の中に導いた。
ふかえりが、「知覚するもの、パシヴァ」であり、
その父親が、「受け入れるもの、レシヴァ」だった。
そしてその男は特別な声を聴き始めた。
彼はリトルピープルの代理人になり「さきがけ」という宗教団体の教祖のような存在になった。
その後、彼女は教団を離れた。
そして、今度は「反リトルピープル」のモーメントを担うようになり
天吾とチームを組んで「空気さなぎ」という小説を書き、それはベストセラーになった。

空気さなぎでは、ドウタはマザの代理をつとめる
ドウタはマザの心の影。
ドウタはパシヴァ(知覚するもの)の役目をする。
知覚したものをレシヴァに伝える。
ドウタが目覚めたときには空の月が二つになる。
実体(マザ)、分身(ドウタ)。実体のない彼女たちには生理はない。

青豆はたぶん、ふかえりと天吾がこしらえた「反リトルピープル的モーメント」の通路に引き込まれてしまった。
そのモーメントが青豆をこちら側に運んできた。
空気さなぎからドウタが生まれ月は二つになった。
そして1984年は1Q84年に変わった。
古い世界は消え、もうそこへ戻ることはできない。

ふかえりがパシヴァで、天吾がレシヴァ。
つまりふかえりが知覚し、天吾がそれを受け入れる。
ふかえりは、天吾がレシヴァであることを知っていて、あるいはレシヴァの素質を持つことを知っていて
だからこそ天吾に「空気さなぎ」の書き直しをまかせた。
ふかえりが知覚したことを、天吾を通して本のかたちにした。

公園で、空に月が二つ浮かんでいることに気づいた天吾。
空気さなぎに出てくる世界と同じだ。自分が書いた月と同じだ。
青豆はマンションから見える公園のすべりだいの上にいる人に気づく。月を見ているようだ。天吾だ。間違いない。
青豆はマンションから出て公園にいってみるがもう天吾はいなかった。

青豆は1Q84年の世界に入ってしまった所へ戻ってみることにした。
仕事にむかうときに首都高が渋滞していてタクシーを降りて非常階段から降りたのである。
しかしまた首都高に乗ってそこへいってみると非常階段はなかった。戻る道はないのだ。
青豆は拳銃を口に入れて引き金にあてた指に力を加えた。

天吾は病院に入院している父親の見舞いにいく。父親の意識がもどらないのだ。
父親は検査のため他へ移動すると
その父親がいたベットのくぼみに空気さなぎができた。中には10歳の青豆がいた。
そのうち空気さなぎと青豆は消えてしまった。
天吾は思った。「青豆を見つけよう、この世界で」

ふかえり(深田絵里子)、教祖(深田保)だと思う。。    

  

■2012年9月2日
「1Q84」 BOOK1 4月−6月 村上春樹著 新潮社 単行本

同時進行する二つの物語。
一つの物語は、青豆という女性の話でインストラクターみたいなことをしている。
もう一つの物語は、天吾という男性の話で予備校の数学の先生をしながら小説家をめざして小説を書いている。
二人の小学生時代のこと、青豆の家はキリスト教の団体だと思うけど証人会というのに入っていて日曜になると家をまわり宗教活動をしていた。
天吾の家は父親がNHKの集金人をしていて日曜になると父親の集金につきあわされていた。
青豆も天吾もそれがイヤでしょうがなかったが、たまにすれちがうことなどもあり似たもの同士という感情をいだいたかもしれない。
青豆の宗教のため給食の時に声を出してお祈りをしなければならなかった。みんなひいた。
また青豆が科学の授業でいじめられそうになったときに天吾が助けてあげたことなどがあった。
青豆は天吾が好きになりこの人だけを一生愛そうと思った。
放課後二人きりになったときに青豆は天吾のそばにより10秒ほど手を握った。
天吾もそれが忘れられなかったようである。
青豆13章の終わりに、青豆がお祈りの言葉をいい、小学生の時に天吾の手を握った少女が青豆だとわかり二つの物語は一致する。

青豆には裏の顔があった。必殺仕事人みたいなことをしていたのである。資産家の老婦人が元締めをやっている。
老婦人は虐待にあった女性、幼児、少女を保護していた。
青豆は女性を虐待した男をアイスピックで殺していた。細いアイスピックで後も残らないし自然死だと思われた。
ある日青豆は自分のいる世界が狂いだしているように感じた。
警察官の制服や銃がある時をさかいに変わり、過去に知らない大きな事件がおこっていた。そして月が二つ見えるようになった。
どうやら青豆は1984年から1Q84年という摩訶不思議な世界に迷い込んだようである。
知らない大きな事件は、農業コミューン「さきがけ」という団体からわかれた武闘派集団「あけぼの」が警察と銃撃戦を繰り広げたというものだった。
「あけぼの」は解体されたと思うけど「さきがけ」は残りやがて宗教法人となった。
「さきがけ」のリーダーは幼児虐待を繰り返していた。
「さきがけ」から老婦人のもとへのがれてきた少女もいた。少女は子供が産めない体になっていた。少女は言った「リトルピープルがやってきたから」
老婦人は「さきがけ」のリーダーを消さなければと思うが大きな団体なのでなかなか手がだせそうもなかった。

一方、天吾は、ふかえりという少女が書いたとされる「空気さなぎ」という文章に手を加え新人賞をとらせた。
ふかえりも「さきがけ」からのがれてきたようだ。ふかえりの両親は「さきがけ」にいるようであるが連絡はとれない。
ふかえりの父親が「さきがけ」をたちあげた気がするけど今では遠ざけられているようである。
「空気さなぎ」にはこんな文章がある。「リトルピープルが空気さなぎを作りあげたとき月が二つになる」
リトルピープルが「さきがけ」のリーダーのことなのかなんなのかははっきりしない。
しかし、ふかえりは言った「リトルピープルがやってきたから」と。
「空気さなぎ」もリトルピープルも「さきがけ」のことを書いたようである。
ふかえりの現在の保護者戎野(えびすの)は「さきがけ」にゆさぶりをかけて膠着状態をゆさぶろうとする。

青豆と天吾の二つの物語は関係しながらすすんでいるようである。