笹百合(ささゆり)
道の辺の草深百合の後もと言ふ
妹が命を我れ知らめやも
(柿本人麻呂歌集より)

 万葉集に歌われた百合の種類は、実のところ、よくわかっていません。笹百合は、三輪神社にゆかりの花で、万葉人に親しまれた百合としては、最初にあげてもいいのではないでしょうか。
6月17日、三枝(さいくさ)祭は、別名「百合祭り」と呼ばれます。
 本社三輪山でとれた笹百合の花を、酒樽に飾ってお供えする古式ゆかしい神事で、文武天皇大宝年間(701〜703)に始まったと伝承されています。

本州中部以西から九州に分布し、山地の草原に自生しますが、栽培のむつかしい種で、自生地も少なくなっているそうです。ごく淡いピンクの花は、清楚で美しく、ほのかな芳香があります。風向きによって、ふわっと香るのですが、その香りは妖艶で、ふと、三輪山伝説の活玉依媛(いくたまよりひめ)を思い出します。


HOMETOP