|| 社 会 科 ||

おこめ
声の出演/TARAKO
キーワード「おこめ」を中心に、歴史や流通、世界と広い範囲で学習する総合プログラム。
ここでは社会科としてくくっているが、お米の成長や構成も学ぶので理科の要素も含んでいる。
今年度トリトリプレゼンツ学校放送大賞受賞番組である、実は。
昨年春、この番組が始まったときはどうなることやらと心配だった。一年間おこめだけでどうするつもりだろうかと。
どうするもなにも、伝えられることはたくさんあって、現状の米作りから歴史、そして世界の米作り、お米の敵(害虫や環境汚染)、お米の挑戦(アイガモ農法などの新しい農法・品種改良)、お米の未来(減反・後継者問題)など多種多様に、一年間とても几帳面に作られていた。
また学校放送は、もちろん生徒に米作りを体験させることも提唱する。インターネットで各地の学校がわがの田の稲じまんをしたりする。
そしておいしいお米の炊き方の回ももちろんあった。炊飯器とハカマ釜ではどちらがおいしいか?とかいうようなことをやっていた。世界の米料理を紹介したりもする。
色んな学校放送を足したような番組ではないか?
新しい米作りを提案している東北のある農家を紹介した回が、非常に印象的だった。
そのおじさんはラクしてできる米づくりを確立した。
おじさんは言う。「米づくりは土だ」と。
土づくりには前の年から準備をするが、森から取ってきた菌を多く含んだ土に色々まぜて攪拌し、ビニールハウスで発酵させる。この土を撒いた田を耕して苗を植えるが、その後は刈り入れまで何もしない。他の田が雑草を取ったり害虫駆除の農薬を撒いたりしている間、おじさんは庭の木を剪定してたりしてヒマそうだ。来年のための土作りもこの頃下ごしらえをする。
土がよく肥えているので、米も育つが雑草も凄まじい。
雑草をとるのは米の養分を奪われないようにするためだが、おじさんの田の土は「質がいいから」雑草も育てても余りある養分が含まれているのだそうだ。農薬を撒かないので害虫もいるがその天敵の鳥や虫もいる。水から下は色んな生物が生き、微生物が生まれ、豊かな土をさらに豊かにしていく。
この農法を、遠方から見学に訪れる農家の人もいるが、「考え方が違う」と首をふる人もいた。
しかしおじさんのラクチン農法は、少しずつ実践する人が増えている。年をとり、後継者もなく、しかし田はあるし、米づくりが好きだという夫婦が紹介されていた。同じようにほったらかしで、おじさんと同じ時期に刈り入れをした。夫婦の「今年もよく獲れた」という明るい笑顔がとてもよかった。この農法だから高齢者でも生産できるのである。
もちろん放っておいたのだから、普通の田よりはやや収穫量が少ないし、刈り入れ時に雑草がトラクターにからまってしばしば機械がとまる、ラクをして作ったのだからおいしいかどうか心配、などあるのだが、おじさんは精米されたお米を嬉しそうに触って「こりゃぁいいお米だよ」と言った。
このお米は通信販売のみで販売しており、すでに全ての米に買い手がいる。これが高い高い。自然に育てたという付加価値がどれだけ需要があるかの表れである。

まだまだ頭の柔らかい子供たちがこんな番組を見て、大人にはなかなかできないこと(たとえば↑の農法なら、合理的なら手を抜いても良いということ)をどんどん切り拓いていってほしいと思う。



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