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【番外編/イリオモテヤマネコの出てくる漫画】

イリオモテヤマネコがメインの題材とは言いがたいが、イリオモテヤマネコが登場する…という漫画を紹介してみました。ここで紹介した以外にも「この漫画にも出ている!」というのをご存じでたら、ぜひご一報下さい。

ピンギーマヤー
(全3巻)
山本邦一:原作 さいとうかずと:作画/秋田書店/1990年5月30日発行(1巻)
pingi1.jpg 週刊少年チャンピオンに掲載されていた漫画です。
イリオモテヤマネコとイエネコ(アメリカンショートヘア)のハーフ(作品中では「ハイブリッド」と称していますが…)の仔猫「ピンギーマヤー」が活躍するという話で、「ヤマネコ版”銀牙 ”」みたいなものを目指して描いたのだと思いますが、これがかなりトホホな話なのです。

ピンギーの父親はイリオモテヤマネコ、母親はアメリカンショートヘアなのですが、父親が「イリオモテヤマネコの子孫を絶滅させないため」に飼い猫である母親をジャングルに連れてきたという設定からしてかなり無理があります。
はっきりいって、この原作者はイリオモテヤマネコについて、あまり詳しいことはわかっちゃいません(笑)。まあ漫画ですから細かいところは置いておくとしても…全体のストーリーもかなりめちゃくちゃです。

西表島に突然現れた怪物にピンギーの父親は重傷を負わされ、兄弟は殺されます。父親はケガで動けない所を島にやってきた「臨界期博士(りんかいきはかせ)」(すごい名前…)につかまり連れて行かれます。
ピンギーはイリオモテヤマネコの長老に「この島の生態系に異常が起きている。お前ならこの異変を救えるかもしれない」と言われ、人間の乗る船に隠れて島を出ます。(なんのために出るのか謎なのですが…。)
旅の途中でピンギーの家族を傷つけた敵である「スーパーラット」(鼠だけに猫に恨みがあるようです)に何度も攻撃を受けますが、対馬ではツシマヤマネコ、東京ではイエネコとともに立ち向かいます。
このスーパーラットはマッドサイエンティスト・臨界期博士が「旧生物の生態系・食物連鎖を狂わせ、新種生物の支配者になること」(なんでそんなことをしたいのかよくわからないんですが…)を目的に作り出したものなのですが、ピンギーとの闘いに破れ、臨界期博士も研究所の爆発(!)とともに姿を消します。
ピンギーは無事父親も連れ戻し、話は終わるかに見えたのですが、なぜかピンギーは主人公(人間)の少年(そんなものがいたのです。影が薄くてめったに出てこないのですが)とともに東京に行くことになります。

しかし東京での生活になじめず家を出たピンギーは、観葉植物の乗ったトラック(西表島の植物と同じにおいがするからだそうで)に乗って山形に着きます。そして東北地方を点々とするピンギー。(寒くないんでしょうか?)
そして突然西表島に帰ってきたピンギーは(かなり話の流れに無理があります)、西表島で残虐な殺戮を行っているオオヤマネコに遭遇します。ボブキャットとアメリカンショートヘアの血が流れているというオオヤマネコ(なんか弱そうじゃありません?)は臨界期博士の作り出したハイブリッドで、なんとその脳は臨界期博士のものでした(おいおい…)。ピンギーはオオヤマネコと闘い、瀕死の重傷を負いながらもオオヤマネコを倒します。 たまたま西表島に来ていた主人公の少年は、ピンギーの闘いを見守ってから「幸せに暮らせよ、ピンギー」と言って島を去っていきます…(はあ?)。完。

登場人物、ストーリー、設定、いずれもかなりチグハグな「トンデモ本」の部類です。またこの漫画に出てくるネコの顔が妙に人間っぽいんですよ。ピンギーはまだネコっぽいんですが、脇役の猫達の顔、かなりコワイです。作画者は動物を描くのは苦手なんじゃないでしょうか。(動物漫画なんか描くなと私は言いたい…)
イリオモテヤマネコ好きの方にも、そうでない方にもオススメできない一冊です(笑)。

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ヤマネコの長老とピンギーの会話シーン。
「必ず仕返しをする」のがヤマネコの独特の性質だなんて…知りませんでした(笑)。

Bバージン
(12巻、13巻)
山田玲司/小学館/1996年10月5日発行(12巻)
virgin1.jpg 週刊ヤングサンデーに掲載されていた漫画です。
全15巻のうち、イリオモテヤマネコが出てくるのは12巻と13巻です。

【全体のあらすじ】
(私は12巻と13巻しか読んでいないので、あらすじは資料からの抜粋です。)
生物オタク、カメが大好きな主人公(住田秋)は高校の同級生の女の子(桂木ユイ)に一目惚れして、なんとかモノにしようと「根暗オタク」なルックスを大改造。大学入学時には美少年に変身して、すっかりモテる男に。しかしユイには女たらしと誤解され、なかなか想いが伝わらない…。

【西表編(とついているわけではありませんが)のあらすじ】
ユイを賭けて、サッカー部のエース、モトミと秋はサッカーで勝負をした。
秋が勝負に勝ったにも関わらずユイはモトミを選ぼうとする。しかし怪我をしてサッカーができなくなったモトミの元へ、モトミの別れた彼女がやってくる。ユイはそれを知って身を引き、石垣島へ傷心旅行へ。
秋はユイが石垣島に行ったことを知り、追いかけて行く。 ユイの泊まるコテージを訪ねた秋だが、応対したのはたまたまユイと一緒に旅行していた、ユイをうとましく思っている女子大生(レイナ)だった。
ユイがどうも秋を好きらしいということを聞いているレイナは、秋とユイを会わせたくないために「イリオモテヤマネコの生きたやつを持ってくればユイが会うと言っている」とでまかせを言う。

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それを真に受けた秋は、イリオモテヤマネコを捕獲するために奮闘する。が、当然のことながらなかなか見つからない。そうこうしているうちに、ユイの姉のはからいで秋はユイと夜の森で再会し、今まで誤解されていたことを言い訳するが、ユイは秋が信じられないと去っていこうとする。
その時秋はサキシマハブに噛まれてしまう。ハブの毒が回りもうろうとする秋だが、やっとお互い本音で話すことができたふたりは一緒に暮らすことを約束する…。

というわけで、イリオモテヤマネコは話のキーでありながらちょっとしか出てきていません。
しかし、主人公はイリオモテヤマネコを捕獲することを営林署に許可を得ているらしいんですが、そんな理由で許可が下りるわけない!でしょう(笑)。(だいたい許可するのは営林署じゃないのでは…。環境庁(当時)じゃないですかね?)
主人公がカメオタクだけあって、セマルハコガメも登場するのですが、カメを守るためとはいえ、主人公はカメをしっかり持ってます。作品中に「天然記念物の密猟は重罪です」とありますが、天然記念物は触るだけでもいけないんですよ〜。
作者はそれなりに西表島やイリオモテヤマネコのことを調べて描いたようですが(ピンギーマヤーの作者よりはよっぽど詳しい!)、まあ、漫画だけあって細かいところはテキトーですね。 しかし作中に出てくるイリオモテヤマネコ、似ていません。(笑)。
あずまんが大王
(4巻)
あずまきよひこ/メディアワークス/2002年6月25日発行(4巻)
azuma1.jpg 2002年5月まで、コミック電撃大王に掲載されていた漫画です。2002年8月現在、東京テレビ系でアニメも放映しています。
あずまんが大王は基本的には4コマ漫画なのですが、ときどきストーリー漫画のようにもなっていたりします。内容は…女子高生なごみ&ナンセンス系青春グラフィティー(?)といったところでしょうか。

【イリオモテヤマネコ関連の話のあらすじ】
(#他にも登場人物はたくさんいるのですが、ヤマネコ関連の話は榊さんという登場人物に絡んで展開します。)
榊さんは背が高くてクールでボーイッシュな女子高生。しかし彼女は実はかわいいもの好き。猫が大好きで野良猫などをかまったりするのですが、なぜか嫌われて噛み付かれる始末。その彼女が沖縄に修学旅行に行った話が4巻におさめられています。
榊さんはイリオモテヤマネコが見たくて西表島に行くのですが、突然現れたイリオモテヤマネコの仔猫(作中ではヤママヤー、またはヤマピカリャーと呼ばれています)になぜかなつかれ、西表滞在中行動を共にします。しかし滞在期間はわずか1日、自分に唯一なついてくれたヤママヤーに涙ながらに別れを告げ、榊さんは東京へ戻ります。
そしてしばらくの時が過ぎ、榊さんはイリオモテヤマネコの交通事故死のニュースを知ります。写真を見てあの「ヤママヤー」の母ネコが死んだのではないかと心配していた榊さん。
そんな頃、榊さんとちよちゃん(榊さんのクラスメート)が一緒に下校している途中、いつも嫌われている野良猫達に突然取り囲まれ険悪な雰囲気に。今にも猫達に襲われそうな時、突然ヤママヤーが現れて野良猫達を追い払いますが、衰弱しているヤママヤーは倒れてしまいます。
榊さんはヤママヤーを慌てて獣医に連れていきますが、生命に別状はないと言われ、榊さんは自分を必死に頼ってやってきたヤママヤーを飼う決心をします。
しかし榊さんのお母さんは猫アレルギーのため、榊さんが大学生になりひとり暮らしを始める4月までちよちゃんがヤママヤーを預かることに。榊さんはちよちゃんの家に入り浸り、ヤママヤーと幸せな時を過ごします…。

なお、あずまんが大王は4巻で完結しており、高校卒業と同時に話が終わっています。(つまり、これ以降のヤママヤー関連の話はありません)

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あずまんが大王のファンの方に聞くと、みんな口を揃えて「ヤママヤーと榊さんの話は感動的だ」と言うのですが、私はこのストーリーには納得できないものがあります。
もともと漫画のことですからあまりシビアな突っ込みをするのはどうかと思ったのですが、これを「漫画ならではのつくりごと」としてではなく「本当にいい話」と思っている方も多いようなので、ここではあえて苦言を呈そうと思います。

お断りしておきますが、私はあずまんがが嫌いなわけでもなく、榊さんというキャラクターはむしろ気に入っています。だからこそ、私は榊さんがイリオモテヤマネコを東京で飼うという結末が、そしてそれが「感動的な話」としてまとめられているところに違和感を感じるのです。
というのも彼女は獣医志望で、大学もそういう学部に進学するつもりなんですよね。ただの「猫好き」なら「イリオモテヤマネコを飼う」という結末も(漫画としては)アリかもしれませんが…、仮にも獣医を目指している人間が、特別天然記念物を自宅で飼うという結論は例え漫画でもいかがなものかと。
野生動物は野にあってこそのものですし、イリオモテヤマネコの危機的状況を知っているはずの彼女は、イリオモテヤマネコの仔猫一匹を個人で飼うというのがいかに罪作りなことかわかっているはずです。なまじ榊さんは真面目なキャラクターとして描かれているだけに、彼女が出した「ヤママヤーを自宅で飼う」という結論がなんとも軽すぎる感じがするのです。これが別のキャラだったらそうでもないのでしょうが。
自分を頼ってきたヤママヤーを助けてあげたいと思ったのなら、ヤママヤーを西表に返し、榊さんがヤママヤーに会いに行くのが筋ではないかと思います。それじゃ漫画としてつまらん、というなら、せめて彼女が獣医志望という設定はないほうがよかった。

まあ、そもそもイリオモテヤマネコが人になつく、という設定からしてかなり漫画的ではあるのですが、作中の”嘘(というか間違い)”と思われるところにもあえて突っ込んでみようと思います。
  1. 野生のヤマネコが人に寄ってくることはあり得ないし、ましてや人になつくことはまず考えられません。(小さい頃から育てていれば別ですが…)
  2. ヤマネコを連れて西表島を観光していたらつかまります(笑)。
  3. イリオモテヤマネコの個体識別は素人には難しいので、交通事故の写真を見ただけで一度見たきりの猫がわかるとは思えないのですが。
  4. イリオモテヤマネコはとっても臭いので、抱いたりなでたりしていたらとんでもない臭いがうつるはずです…。
  5. ともちゃんがヤママヤーにひっかかれていますが、野生動物にひっかかれるのはかなりヤバイです(どんな病気がうつるかわからない)。病院に行ったほうがいいでしょう。
  6. ちよちゃんは真冬の屋外でヤママヤーを飼っていますが、東京の冬の寒さはイリオモテヤマネコにはかなり厳しい条件です。(下手すると死ぬかも?)せめて屋内で飼ってあげよう。でも臭いんですけどね(笑)。
それはさておき、ヤママヤーのデザインはデフォルメされているとはいえ、なかなかイリオモテヤマネコの特徴をとらえているところには感心しました。
あずまんが関連のキャラグッズは結構出ているので、ヤママヤー関連グッズももっと出してほしいものです。
BLACK JACK ブラック・ジャック
「オペの順番」
(文庫版9巻)
手塚治虫/秋田文庫/1993年8月20日発行(9巻)
bj1.jpg 手塚先生の名作、ブラック・ジャックにもイリオモテヤマネコが登場しているのはみなさんお気付きだったでしょうか?私は友達から教えてもらうまで気付いていませんでした…。

【「オペの順番」あらすじ】
西表島の近くの小島にリゾートにやってきていたブラックジャックは、西表島から出発した船に乗り帰途についていた。
ところが船中で密猟者が捕まえたイリオモテヤマネコが暴れだし、閉じ込めていた箱から逃げ出す。閉じ込められて気が立っていたヤマネコは船中にいた赤ちゃんに噛み付き重傷を負わせる。慌てた密猟者は持っていた銃でヤマネコをしとめようとするが、狙いが外れてやはり船中にいた代議士の腹部に弾が当たり、さらに逃げ回るヤマネコも銃弾に倒れた。

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ブラックジャックは知らん顔をしていたが、医者だということを知っている島の人がそのことを知らせたため、いつものように法外な治療費をふっかけてヤマネコに噛まれた赤ちゃんと銃弾に当たった代議士の手術を引き受けることになった。
倒れているヤマネコと、ふたりのケガ人の傷の状態を確かめたブラックジャックは、なんとヤマネコから手術をはじめる。次に赤ちゃん、そして最後に代議士の手当てをして、1匹と2名はなんとか事なきを得た。

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しかし代議士は大金を払ったにも関わらず手術を後回しにされたことを恨み、裁判でブラックジャックを訴える。ブラックジャックは怪我の緊急度に応じて手術をしただけだと言うが、非人道的なことをしたとして有罪となる。しかし閉廷後ブラックジャックが代議士に渡したカルテには、代議士が進行しているガンであることが書かれていた。
その後代議士からはガンの手術をしてほしいという依頼が来るが、そこでブラックジャックが出した条件はお金ではなく、訴えを取り下げることと代議士が計画していた(自然保護を考えていない)西表島の観光開発プランを白紙に戻すことだった。

この話は「週刊少年チャンピオン」1983年10月14日号に掲載されたものです。
1983年というと「人かヤマネコか」の議論が西表島で起きた数年後で、人とヤマネコの共存についていろんな問題点が噴出していた頃です。手塚先生はこの問題をいったいどう見ていたんでしょうね…。
しかしかのブラックジャック大先生にイリオモテヤマネコが手術してもらっているとは!(笑)
ところでブラックジャックは、たびたび西表島の近くの小島にリゾートにやってきているようですが、いったいどの島なんでしょうね。西表島からモーターボートでその島に行っているらしいのですが…。
手術されたイリオモテヤマネコは、ブラックジャックがしばらく預かっていたようなのですが、話の最後にピノコ作のカレーを食べさせられています。ちょっとかわいそう?(笑)

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