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西表島旅行記

9/3 その1

この日の午後、旦那がひと足先に東京に帰ります。
朝は宿の近くでかつ「西表島らしい」場所へということで、浦内川の遊覧船(別名ジャングルクルーズ)に乗ることにしました。
遊覧船乗り場まで宿のバンで送ってもらいましたが、途中に「イリオモテヤマネコ飛び出し注意」の看板がいくつか立っていました。

浦内川遊覧船乗り場手前にて
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遊覧船は20人乗りくらいの船です。
遊覧船乗り場はかなり河口に近い部分で川幅がかなり広いのですが、ここから上流へと向かっていきます。
広大な川面をマングローブと山々が取り囲む風景を、船に乗って低い位置から眺めると「ここはほんとうに大きい島なんだなあ」という感じがします。
写真も撮りましたが写真ではこのスケール感が表現できませんでした。

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遊覧船はそれなりの速いスピードで進みながらも、ときどき川のはじっこのほうに船を寄せ、係員が生えている木の説明をしてくれます。
私はイリオモテヤマネコを調べているうちにイヤでも西表島の自然について学ぶことになってしまったので、そんなに目新しい話はなく「写真で見た植物の実物を確かめる」といった感じでしたが、やはり南国の植物は面白い形をしています。
以前この川の遊覧船の前をイリオモテヤマネコが泳いで渡ったということがあるそうなので、目を皿のようにして周囲を眺めていましたが、さすがにそんなものを見ることはできませんでした。

30分ほど船で川を遡り「軍艦岩」というポイントで船を降ろされました。これ以上は川幅が狭くなり遊覧船では行けなくなるのです。
軍艦岩というのでもっと大きいものを想像していたのですが、軍艦というほど大きくはなく、幅2〜3mくらい、川面からの高さが1〜2mくらいの四角くそそり立つ岩でした。

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ここから係員が案内してくれるのかと思ったらそうではなく「12時半に船で迎えに来るのでそれまでに戻ってきて下さい」と言われ船は帰ってしまいました。
あまり複雑な道はないとはいえ、地図も渡されず滝までどのくらい歩くのかも教えられなかったのでちょっと不親切ではないか…、と思いましたが、私はガイドブックを持っていたのでとりあえずみんなが歩くほうへとどんどん歩いて行きました。
人がすれ違うのがやっとという程度の幅の狭い、緩い山道がずっと続いています。天気は良かったのですが山道はずっと日陰で、日陰だと空気が冷たくあまり暑くありません。
観光客の中にはヒールのあるサンダルやビーチサンダルをはいていたり、半袖短パンの人などもいましたが、そんなに急ではないとはいえあの山道をヒールで歩くのではちょっと辛いのではないかと思いますし(以前はもっと悪路で、今は整備されて歩きやすくなってはいるようですが)、あまり服の露出度が高いと草や毒虫にふれてかぶれたりするのではないかと思います。稀にですがハブが出ることもあり得るのに、そのあたりは全く注意がないんだなあとちょっとびっくりしました。
これだけ自然の豊かな、言い換えればいつ何が起きるかわからない場所なのですから、もう少し観光客に注意を促すような「教育」があってもいいのではないかと思うのですが。

ヤマネコアイコン浦内川ヤマネコ看板コレクション(写真)はこちらをクリック

日陰は涼しいと言いつつもやはり山道、歩いていると汗がだらだらと流れます。30分ほど歩いたところで「マリユドゥの滝」が見られる展望台に到着しました。
汗をかいた体に滝から吹いてくる風が心地よいです。
ここで旦那とふたりで記念写真を撮ったのですが、現像してみたらふたりとも服が汗べったりになっていて「記念写真」にしては美しくないので笑ってしまいました。

展望台から見たマリユドゥの滝
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そこからまた15分ほど歩いて、今度は「カンピレーの滝」に着きました。ここは滝というよりは「川の中に段々がある」といった感じです。
河原が平らな岩になっていてところどころに「ポットホール」と呼ばれる丸い穴が空いているのですが、その中におたまじゃくしがたくさんいました。
ここの河原は日当たりがいいうえに下が平らな岩なのでジリジリと暑く、すぐ退散して通って来た道を引き返すことにしました。
日曜日だったせいかそれなりに観光客がいて、途中でおそらく後続の船から降りてきたであろう人達と何人かすれ違いました。

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行きはどこまで歩けばいいのかわからなかったので、あまり周囲を見渡す余裕がなかったのですが、帰りは時間に余裕があることがわかったので周囲に生えている植物などを観察しつつ歩きました。
体が黒と黄色の縞、しっぽが鮮やかな青色をしたトカゲがいるのを何度か見かけましたが、これは「イシガキトカゲ」だったようです。うちにある「チョコエッグ※」の「ニホントカゲ」と良く似ているので、近い種類でしょうか。
(※チョコエッグとは、フルタ製菓が発売している「日本の動物シリーズ」という小さな模型が入っているチョコのお菓子のことです。小さいのによく出来ており、我が家では全72種類を集めるためにえらく散財してしまいました。この中にイリオモテヤマネコもいます。)
その後「イシガキトカゲのしっぽ」だけがうにうにと動いているものも発見しました。トカゲのしっぽって切った後もほんとにいつまでも動いているんですねえ。旦那が拾って私に持たせてくれましたがまだしばらくうにうにと動いていました。

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余談ですが、浦内川観光をされる時、西表島の植物や生物に興味のある方は「浦内川遊歩道ガイドブック」(300円)を事前に購入されることをお勧めします。コンパクトですがこのあたりでよく見かける生物がまとまっていてわかりやすいです。
遊歩道の地図もあり、どこでどの動植物が見られるかもわかります。これを先に読んでいたら私ももう少しちゃんと観察できたのですが。
私は西表野生生物保護センターで購入しましたが、遊覧船乗り場近くの店でも売っていたのかもしれません。船に乗る前に宣伝してくれれば買ったのにと思うのですが…。(飲み物は向こうにないから事前に買ってくれ、というのはさんざん宣伝していたのに…)
もう少し詳しい市販の本なら「原色のパラダイス イリオモテ島」(横塚眞己人著/新日本教育図書)や「西表島」(吉見光治著/文一総合出版)をお勧めします。

私は以前観葉植物のリース会社に勤めていたことがあるのですが、西表島の植物は「観葉植物として見たことがある」ものがけっこう多いです。
「トトロの傘」のようなでっかい葉っぱをつけるクワズイモは、森の中に限らず集落の近くにもたくさん生えていました。
木の上に着生して生える「タニワタリ」も森の中でよく見かけました。
「直接幹に実がなっている」という変わり者のギランイヌビワを発見できなかった(単によく見てなかっただけですが…)のがちょっと残念です。

遊歩道を歩いている間、ずっとバックに蝉の声が聞こえていましたが、本土のセミとはずいぶん種類が違うらしく、あまり聞き慣れた蝉の声ではありませんでした。
この時期に鳴いているセミは4種類位いるらしいです。どれがどのセミやら聞き分けはできませんでしたが、どれもけっこうギチギチと「うるさい」鳴き方でした。

来た道を戻り船着き場の軍艦岩までたどり着いたのは12時ちょっと前でした。
私達の前に着いた客を乗せるための船が船着き場にいたので、それに乗せてもらい河口まで戻りました。

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遊覧船乗り場の駐車場の近くに、いくつかみやげ物屋とレストランなどが固まっているところがあります。
ここの「コートシャレープラザ」というのがヤマネコグッズで有名な店だと聞いていたので入ってみることにしました。

ヤマネコアイコン コートシャレープラザ近辺の写真はこちら

店内にはオリジナルのTシャツやステッカーなどがたくさん飾られています。どれを買おうかと悩んで見回していたら、イリオモテヤマネコの仔猫を人が抱いている写真が飾ってあります。
これはなんだろう?と思い店の人に聞いたところ、今年の6月14日にこの店を経営している方がヤマネコの子供が弱っているところを発見して保護したのだそうで、その時の写真が飾られていたのでした。
そんなに最近に保護された個体がいたことは全く知らなかったので、「私は実はヤマネコを見にきたんです」と名乗って?その時の話を伺ってみました。
(このみやげ物屋の道路をはさんで反対側のカフェも同じ経営の店で、そちらでお昼をいただきながら聞いた話も含めています。)

その日の夜、コートシャレープラザのご主人が、浦内橋を渡って祖納のほうへと車で移動している時に、道路でうずくまっている猫を発見したので近寄って見てみたところ、かなり衰弱していたのでそのままつかまえて連れ帰ったそうです。
弱っていたためかそんなには抵抗しなかったそうですが、捕まえる時には体は小さいのにトラのような「吠え声」を出したそうです。
その後西表野生生物保護センターに引き渡して「もう山に戻されたと聞いてます」と言っていましたが、翌日私が野生生物保護センターに行った時はまだこの個体はセンターの屋内ケージで飼育中でした。

これは後で西表野生生物保護センターの人から聞いた話ですが、この個体(W-70という識別番号がついているオスです。)が保護された時はかなり衰弱していて、すでに蠅がたかっているような状態だったそうです。発見があと一日遅かったら死んでいたかもしれないということでした。
どうやら親にはぐれた(おそらく親が死んでしまった)のではないかということで、仔猫があと一匹いるのも目撃されていたので捜索したのですが見つからず、しばらくして田んぼのあぜ道で死体で発見されたそうです。死因はわかっていませんがおそらく餓死ではないかということでした。

今までにも親からはぐれて保護された仔猫というのは何匹かおり、”沖縄こどもの国”で飼育されていた「ケイ太」もそうです。しかし仔猫の時に保護されて、野生にうまく復帰できたヤマネコはまだいないようです。
ケイ太は人慣れしたために野生には戻せないと判断され、死亡するまで沖縄こどもの国で飼育が続けられました。
また1997年に親(メス)が交通事故に遭ったために保護された仔猫は順調に育ったものの、野生復帰の2ヶ月後に死体となって発見されてしまいました。死因は不明で、発見された時は川に漬かっていたそうです。(西表野生生物保護センターで販売している冊子「イリオモテヤマネコBOOK」の表紙に写っているのはこの猫です。)
1996年7月に交通事故に遭って重傷を負い、奇跡的に助かった仔猫は今でも若干の後遺症が残っており保護センターの屋外ケージで飼育が続けられています。
人為的な事故がなかったとしても、ある程度の割合の個体はなんらかの原因で死んでしまうのが野生の厳しい世界の現実なのですが、今保護されている仔猫はぜひとも元気に野生に復帰してほしいですね。

(後日注)
この時保護されていたW-70は順調に回復して野外ケージに移されていたのですが、10/9に死亡してしまったということを八重山毎日新聞の記事で知りました。
死因は消化菅に餌の鶏肉の羽毛が詰まった状態(腸閉塞)だそうです。
こういったケースは初めてだそうで、本当に野生生物の飼育というのは大変なことだと思いました。

ヤマネコアイコン

さて、話をコートシャレープラザに戻して。
店の方いわく「夜に出歩けば道路などでヤマネコを見られることはけっこう多いですよ。”イリオモテヤマネコ飛び出し注意”の標識がある所は以前目撃されたり事故があったところなので、そのあたりを探すといいと思います。」とのことでした。
結局ここではヤマネコの顔のアップのイラストが入ったTシャツを1枚と、「イリオモテヤマネコ飛び出し注意」のステッカーを2枚購入しました。
ここのTシャツはすべてオリジナルでイラストレーターの方にお願いして描いてもらっているものだそうです。

私の「ヤマネコ恋患い」のきっかけを作った本の著者である横塚眞己人さんの撮ったイリオモテヤマネコの写真が店内に飾ってあったので「この方はこちらの店によくいらしていたんですか?」と聞いたところ、店の方は横塚さんは写真家というより自然学校?のようなものの講師として生徒さんを連れてこの店に来ていたとのことでした。

コートシャレープラザの近くにもいくつかみやげ物屋が並んでおり、そちらも見たのですが、そんなにヤマネコグッズは多くなかったので特に購入したものはありませんでした。
私はイリオモテヤマネコの容姿に特に惚れているので、デフォルメされたデザインのヤマネコグッズには興味がなく、ひたすらリアルタイプのものばかり探していました。
ヤマネコのぬいぐるみも大中小と売っており、毛皮の模様の感じなんかはけっこう似ているのですが、顔が似ていないのが難点で(目が丸すぎる、目の回りの白いふちどりが太すぎる!)結局購入しませんでした。もう少し似ていたら絶対に買ったのですが。

コートシャレープラザのカフェでお昼を食べて店の人と話をしていたのですが、浦内川は引き潮の時が一番面白いそうです。
干潟にカニやトビハゼなどの生物が現れ、それを狙って鳥たちも現れるので、生物が好きな人ならぜひ見てほしいとおっしゃっていました。
残念ながら引き潮の時間まで滞在するほど時間がなかったので見ることはできなかったのですが。

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