剛の者レポート:平成12年2月24日(木)「久万にてスノーボード」
●スキーのシーズンが終わりつつある日、T氏とO氏、そして私の3名で、久万スキー場へ向かうこととなった。
ちなみにT氏は、「平成12年2月12日(土)小田にてスキー」でのT氏とは別人であることを申し添えておく。
ナイターということで、私は午後から休暇をいただき、T氏の車、ホンダ「ODYSSEY」で出発となった。途中でO氏と合流する。
O氏は、T氏の奥さんの兄。つまり義兄である。O氏は仕事柄、車を運転することが多く、同じ車に乗るにしても、ただ乗車するのではなく、運転していないと違和感があるという剛の者である。その為、行き帰りとも運転をお願いすることにした。
今回は、T氏、O氏ともスノーボード(以下、ボード)であるので、T氏に道具を借りて私もボードで滑ることとした。私は、ボードで滑るのは今回で2回目であるが、この2人はボード歴5〜6年という剛の者である。今でこそ、スキーヤーよりボーダーが多いが、5〜6年前と言えば、ボーダーを日本のゲレンデで見ることは、まず無かった。彼らは日本のボード先駆者の一人か、単なる新しい物好きである。
![]() |
●久万スキー場に午後5時頃到着である。 平日である為か、写真を見ていただいても分かるように、スキー客は疎らな感じである。そして雪質は、どちらかと言えばシャーベット状態だが、滑るには申し分ない。 さて、ボードをセッティングし、滑る準備が整うと、6時間用のリフト券を購入した。これで閉場の午後10時まで滑るのである。 さっそくリフトに乗り、滑り始める。私は初心者同然なので、真っ直ぐ滑ることさえおぼつかない。すでに、他の2人は先に行って影も形も見えない。私は置いてけぼりである。 とりあえず、前回滑った基本を思い出し、何度か転倒しながらも無事に滑り降りることができた。 |
|
| 久万スキー場 |
●何回か滑っていると、斜めにしか滑れなかった私だが、なんとかターンのようなものができるようになってきた。
・・・その時である。突然、雪面に足が取られ、体が舞い、叩き付けられる。意図しないボードのエッジ効果、「逆エッジ」である。このようにコースの中で何度転倒し、何度舞ったか分からない。
ただ、ニット帽で耳を覆っているにも関わらず、耳に雪が舞い込んでくる。ゴーグルの内側に雪が散る。パットで防護しているのに、打ちつけた箇所が痛む。・・・これほど激しいスポーツは無い。
雪上で意図せず自分の起こした粉雪に包まれながら、何度か大の字になって舞っていると、ふと、洗濯機で洗われるシャツはきっとこんな気分なんだろうと思った。
毎日、洗濯機の中で舞うシャツは、剛の者だ。
●これからボードをやる方には、特にお勧めしておきたいものがある。
膝、腰、後頭部等の防護用パット類である。これらを付けておくことを、強くお勧めしたい。打撲の衝撃は凄い。これ無しでボードをやることは、K−1選手の攻撃を素手で受け止めるくらい危険である。
すでにボードを始めている方でも、まだこれらを付けていない方は、付けることをお勧めする。
●開始から2時間程滑った午後7時頃、少し疲労が見えてきたので、久万スキー場内のレストランで夕食をとることにした。
私は、ここで頼む食事は「カレーライスうどん」と決めている。学生の時、奇異な目で見られながらも、食堂でよく「カレーうどん」と「ライス」を購入して、合わせて食べていたのを思い出す。懐かしい思い出である。
食事が済み、体が温まってくると、眠気がやってくる。
しかし、寝ている訳にはいかない。時間が惜しい。休憩の後、打撲で痛む体を押しながら、さっそく滑りを再開することにした。
| ●T氏は、今日のこの久万スキー場では、山へ向かって左側コース入り口の丘が良いポイントだと言う。 そこはリフトから降りて、コースに入る直前の盛り上がっている丘・・・と言うべきか、私にしてはちょっとした崖なのだが・・・そこからコース内へジャンプするのが、今日一番の楽しみであると言うのだ。 ジャンプの後は、ただ流すだけとこぼしていた。やはり長年滑っていると、このコースは、起伏に乏しいと思えてくるのだろうか、私にはこれでも十分だと思うのだが。流石、剛の者は違う。 きっと、T氏本人の人生も起伏に富んでいるに違いない。 |
![]() |
|
| 剛の者であるT氏 |
●T氏とO氏は、人がいないことを確認すると、この最初のちょっとした崖めがけてジャンプ体勢で進入する。そして嬉々として飛んでいくのである。
私が横から見ているに、1メートルはジャンプし、そのまま斜面に水平着地して下っていく。豪快さと爽快さを見せつけてくれる。流石、剛の者ならではである。
何度目かのジャンプだろうか、T氏はタイミングを見計らって、再びジャンプしようと進入していった。
私は思わず「あ・・・」と、言葉を漏らした。T氏は崖から空へ舞う瞬間、何かにつまずいたように前のめりに体勢を崩したのであった。そして空中でそのスピードのまま、本来ボードが水平であるべきところを垂直の状態になり、突き刺さるように静かに雪の中へ消えていったのであった・・・。
どう見ても、彼の新しいジャンプスタイルとは考え難い。・・・完全にジャンプ失敗である。
私はすぐさま崖まで這い寄り、覗き込んだ。すると、そこには散乱したニット帽やゴーグルを拾うT氏の姿があった。どうやら無事のようである。
こんなことがありながらも、何度もジャンプを楽しめるのは、やはり剛の者としか言えないであろう。
●滑り始めてだいぶ時間が経過した午後9時頃のことだった。
私がリフトに乗ろうとし、電子ゲートに腕を差し出す。しかし、ゲートは開かない。
まさかっ!?
すぐに、腕に付けていたチケットホルダーを確認する。
・・・リフト券(電子カード)が無い!
チケットホルダーの底が破れ、そこに有るはずのリフト券が無いのである。
どうやら、私の華麗なる雪上の舞いに、チケットホルダーが堪えきれなかったようである。
私は、うなだれながらT氏とO氏に事情を説明した。彼らは快く探してくれると言ってくれた。
しかし、私は無理であろうと感じていた。雪の中に埋もれたリフト券を探し出すことは容易ではない。しかも、あちこちで転倒した為、どこで紛失したかも見当が付かないのである。
閉場まで約1時間。どうするか。回数券を購入しようかと考えていた時であった。T氏が手を振りながら滑走して来るではないか。
なんとリフト券が発見されたのだ!
T氏曰く、「雪を掻き分けたら、運良く雪の中に緑色のものが見えたので、これや!って拾ってきた」そうである。
有り難いことである。何千円かの損失を防ぐことができたのだ。
しかし、どこに埋もれているかも分からない雪の中から、すぐ見付け出すとは、本当に運が良いとしか言えないであろう。
私は、ただただ、この剛の者に深く感謝するのみであった。
![]() |
●そして何回か滑った後、閉場の時間がやってきた。 疲労による筋肉痛と、打撲による痛みが混在した状態で、車に乗り込む。 動きの度に、思わず「よっこいしょ」と声が漏れる。これは寄る年波ではなく、痛みの為であることを断っておく。 車中、帰りの途中途中で睡魔に襲われるが、何とか事故もなく無事帰宅することができた。 疲れの中、長距離運転をしていただいたO氏には、この場を借りてお礼を申し上げたい。有り難うございました。 |
|
| 剛の者であるO氏 |
●今回のレポートはこの辺にしたいと思う。
それではまた。この試練の部屋にて。