湖水地方への旅 

 6月の最後の週に湖水地方に4泊5日で行ってきました。
 学生時代の旅のように宿の手配などもせず乗車券なども当日買っての出発です。列車はロンドン・ユーストン駅から出発。
 かなり早めに予約していれば、£15くらいのチケットがありましたがMEは予定をがちがちに決めるのがいやなのと、このあたりで突然天気がよくなったのとがあって、あわただしく出発しました。チケットは£41.65(約7500円)(往復一月オープン)。
 しかし、出発前に一つトラブル。15分前くらいに掲示板に案内が出て、待ち構えてた人たちが乗り込んで落ち着いたところで「下車しろ」とのアナウンス。皆大きな荷物をぞろぞろ抱えて、元来たホームを戻っていきます。聞いてみると「火事があった」とか言ってるんですが、ちゃんと出発できるの〜って不安になります。10分くらいで、また「戻っていいよ」ってなことになって、結局なんだったの?という感じです。列車は結局10分くらい遅れて出発。車内はあまり冷房が効いていなくて、水ばかり飲んでました。
 結局湖水地方への入り口オクスンホルム・レイク・ディストリクトに着いたのは予定より一時間近く遅れました。そこからローカル線でウィンダミアへ。 車窓からの景色も、のどかな感じになり、イギリスでは珍しい天気のよさと相まってわくわくしてきます。
 安旅を心がけるMEはウィンダミアのインフォメーションでYHを予約。そして、そこで食料調達。夏季はウィンダミアの駅からYHまで無料のバスが出ています。(YHから駅までは有料)ガイドには徒歩50分とありましたが、このバスを利用したほうが賢い気がします。ここのYHはバスを出しているくらい、確かに少し外れたところにあります。けれど、高台になったテラスから湖と山々を望む眺めが素晴らしい!!
 MEは早めの夕食のあと、少し周りを散歩して、このテラスで暮れゆく湖を 眺めていましたが、正に時がたつのを忘れるという感じです。夕日に光る湖面、流れていく雲、そしてバックには羊の鳴き声など空気の悪いロンドンとは大違いです。
 YHもなかなか奇麗。日本人のおばさまの団体も安いということで泊まっておられましたが、満足されていたようです。
 次の日はここから、アンブルサイドに出て、グラスミアへ向かいました。 ここで、少しお薦めのコースを。YHからバスを使うには安いけれどお金がかかるので、宿の人に聞いた歩くコースなのですが、言われたとおり車も人もほとんど通らず、ウィンダミア湖の眺めを楽しめたのが、宿を出て左に曲がって進むコース。道は単純で曲がり角には標識があるのでまず迷いません。アンブルサイドまで一時間かかると言われていたのが、写真を撮り、景色や花に足を止めつつ歩いていたら一時間半もかかってしまいました。重い荷物を持っていても、歩く価値のあるコースだなぁ、とMEは思いました。(いわゆるハイキングコースでは全くありませんが)
 アンブルサイドからはグラスミアまでバスで。湖水地方を周るバスの周遊券があるので、それをゲット。運動が嫌いなMEにはもってこい!?グラスミアはその景色の美しさとともにイギリスを代表する詩人ワーズワースが暮らしたところとして有名です。
 彼の暮らしたダブ・コテージも、当時の質素な暮らしが垣間見れて興味深かったです。日本人観光客がほとんどだったのには驚きました。グラスミアの町は、湖水地方にあるということで、観光客ずれしているはずなのに、山々のせいでそういう手垢がついた感じを強く受けないのは不思議な感じがしました。
 といいつつお店もチェック。ジンジャー・ブレッドで有名なお店もありますが、ここのウイスキー入りマーマレードが安くておいしかった。この地方の味なのかパン屋などでもこのジャムはよく見たのに、ロンドンではまだ見つけていません。
 この日はグラスミアのYHに一泊。中心部からこれまた少し離れた(といってもこちらは歩いて15分くらい)ところですが、清潔感はありました。窓際で冷えてくる山の空気を味わいつつ手紙を書いているとカサカサって音がして 見てみるとなんと鹿!あわててカメラを取りに走って逃げられてしまいましたが、湖水地方では色々な動物が見れます。馬、牛、羊、ウサギ、リスなどなど。
 3日目はバスチケットを最大利用。まずケズウィックまで出て、街をぶらぶら。それから77Aのバタミア湖畔も通る環状線で山中の町から石切り場のようなところまで様々な顔を持つ湖水地方を堪能。この路線(というかケズウィック自体も)は日本人はほとんど利用しないらしくバスの運ちゃんが客が一人だったせいもあって、険しい山道を器用にハンドルをさばきつつ色々話しかけてくれました。
 けれど、この日は既に天気が崩れていて、山中を行くとき、「もしここで、バスが故障して運ちゃんにも見捨てられたら、わたしは死んじゃうなぁ。」などとアホなことを考えるくらい寂しいところをたくさん通りました。
ホークスヘッドYH  ケズウィックからはまたアンブルサイドに戻って、そこから今度はホークスヘッドへ。このあたりはピーターラビットの産みの親ベアトリクス・ポターの住んでいたところとして有名ですが、MEがここに行くことにしたのはホークスヘッドのYHが素晴らしいと聞いたので。
 このあたりは冬になると膝近くまで雪が積もるそうで、厳しい自然を感じさせられます。けれど人々はとっても暖か。ベアトリクス・ポター・ギャラリーの係の人はにこやかに世間話をしてくれるし、インフォメーションではYHへの道を聞いたあとバスが出るまで荷物を預かっておいておげるから町を見ておいで、って言ってくれて。
 さらにバスが来た時、わざわざインフォメーションの建物から出てきて、バスの運転手にわたしをYH前で降ろしてくれるよう、頼んでくれました。YHへは歩いても行けますが、バスだと大きく迂回して20分、徒歩でだと最短コースで20分というところです。
 そしてYHは期待通り。ちょっとお屋敷風な建物に湖を望む広い庭。次の日にロンドンに帰るつもりだったのを、変更して2泊することにしました。
 残念だったのは口蹄疫の影響で、フットパスなどが完全に立入禁止だったこと。ここの宿が湖沿いにあるので、柵の向こうに行ってみたかったのに、どこにいっても禁止の札が・・・。と近くに住んでいるご夫婦に湖岸に出る道はないのか、と聞くと、ない、と答えたあと、自分達のプライベートの湖に面した庭を見せてくれました。こういった暖かい心遣いにたくさん遭ったおかげでホークスヘッドはお薦めの地域です。
 4日目はまずコニストン経由でウルバストンへバスで。ガイドもなく来てみるとウルバストンは結構都会だったので、コニストンに戻って、少しお茶。ここも日本人を見なくって、4日ほど滞在していたっていう日本人女性から 「日本語が恋しくなった。」って声をかけられました。こういう状態になった時、すぐ日本人って外見でわかるって便利ですね。この日もまた湖近くをぶらぶら散歩。
 5日目は電車・バスの接続が悪いせいもあって、一日かけてロンドンに帰るという感じでした。
 YHでの朝食は全ていわゆるイングリッシュ・ブレックファーストというもの。口蹄疫で騒がれている正にその地方でソーセージを食べている自分がちょっとおかしかったです。ちなみにノーマルなイングリッシュ・ブレックファーストはソーセージに目玉焼き、ベーコン、豆のトマト煮、シリアルといったものですが、ベジタリアンだとソーセージなどのかわりに温めたトマトとハッシュポテトでした。朝に肉を食べる習慣のないMEにはベジタリアンメニューのほうが馴染みやすい気がしました。
 口蹄疫で楽しめない時期だったとはいうものの、MYUと違ってトレッキングとかをしないMEには実は大して違いはなかったのかしら、と思いつつ、中々楽しい思いをした旅行でした。



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