背骨をつ、つーと指でなぞられてびくりと肩を竦めると、背後から含みのある艶っぽい笑い声が聞こえて来た。
 兄のペースに乗せられてはいけないと腰に力を入れて踏ん張るが、背中を弄る指がいつしか手のひらになり脇腹を辿って臍周りを擽りだした時点ですでに下半身が白旗を上げていた。
 あにき、と余裕のない声で振り向こうとした途端に背中にどんと大きな衝撃を受け、足蹴にされたことに気づいて体が硬直する。
「振り向くな」
 命令調で短く囁かれてしまえばどうしても逆らえない。唇を噛み、兄に向けたままの背中をぐっと丸めて刺激に耐える覚悟を決める。
 ふっと笑いを含んだ吐息が首筋にかかり、思った以上に近くに兄の顔があることを悟って首から上の熱に目が眩む。
「いい子だ」
 臍を悪戯するようにくるりと指先で撫でたその手が、そろそろと下に降りて茂みを掻き分けて来た。来る、と体に力を入れて身構えるが、しなやかな指はするりと太腿に移動して足の付け根を行ったり来たり、もじもじと腰を揺するとまた首筋に吐息が笑い、降参とばかりに天を仰いできつく目を瞑った。

(2017.08.22)