マッシュは優しい。 どんな時も自分を犠牲にしてさえ俺のことを第一に考えてくれる。マッシュと再び向き合うまで、無償の愛などというものの存在を信じはしなかった。 今は、分かる。この優しさは偽善ではない。マッシュが本心から俺を労わり慈しみ、愛してくれていることが息苦しいほど伝わってくる。 「あ、あ、……あっ……」 マッシュは俺の嫌がることを決してしない。 「あっ、だめ、だ、ああ、」 俺の言う「駄目」が駄目じゃないことをよく知っている。 「んっ、んん、うっ……ん、マッ……」 俺が本気で抵抗したのならマッシュはすぐにでもその手を放してこの身体を自由にするだろう。 マッシュは優しい。俺の望むことをしてくれる。 「マッシュ、ああ、アッ、もう、ああっ……」 マッシュが作り変えたこの身体をどうすれば俺が満足するのか、その全てを理解してマッシュはありったけの愛を注ぎ込む。 頭の中が真白に染まり、この世に溢れるありとあらゆる余計なもの、体裁だとかしがらみだとか古き良き伝統の重みだとか、日頃頭を占める全てのことから解放されて、涙と涎を垂れ流して快楽に震える四肢をだらしなく投げ出す。目を覆いたくなるような浅ましいこの姿を、丸ごと抱き締めて受け止めてくれる太い腕が愛し過ぎて苦しい。 もしもその手を離されたら、この心は正気を保てるだろうか。──いや、とっくに正気など失われていた。頭のおかしくなったこの俺を、優しいマッシュが宝物を守るように囲っている。 「……も、離して……くれ……」 絡みつく腕の力強さは変わらない。 優し過ぎるマッシュ。決して俺を責めず、追求せず、ただ大きく包んでくれる無言の熱でどろどろに溶かされていたい。 どうかこのまま、偽り続ける俺を息が出来ないくらいに抱き締めて離さないで。 |