診断メーカーより
「一緒にてるてる坊主を作るマエド」


 しとしと雨が降り続く窓の傍、机に向かって何やら熱心に手を動かしているマッシュを後ろから覗き込んだエドガーは、弟が作っている不思議な人形のようなものを見て二度ほど瞬きをした。
「何だそれは」
 問いかけに振り返ったマッシュは、エドガーを見つけて嬉しそうに破顔し、手の中のものを差し出してくる。
「これ、てるてる坊主って言うんだって。カイエンに教えてもらってさ、吊るすと明日晴れになるおまじないらしいぜ」
「へえ、なかなか可愛いじゃないか」
 マッシュがハンカチで作ったてるてる坊主は、青いペンで目が描かれていた。何かを思いついたエドガーは、マッシュに作り方を尋ねて隣に椅子を並べる。
 丸めたハンカチをもう一枚のハンカチで包み、首の部分を糸で縛って吊るせるように、顔には青いペンで目を描き、そして後頭部に当たる場所には同じく青いペンでリボンを描いた。それを見たマッシュが吹き出し、黄色いペンを取り出してふたつのてるてる坊主の頭に色を塗る。
 誰かによく似たてるてる坊主たちを窓枠から吊るした二人は、顔を見合わせて微笑んだ。
 明日はきっと晴れるだろう。捻れた糸がくるくる回り、雨粒を背景に双子のてるてる坊主がキスをした。

(2018.03.04)