リクエストより
『27歳×17歳のマエド』
『邂逅』の二人の別バージョンみたいな寸止め詐欺


 細い指が弱々しく肩に縋り付く様がいじらしく、その手を取って口付けてから首に掴まるように誘導してやると、白い肌を羞恥で薔薇色に染めたエドガーがおずおずと腕を回してきた。
 潤んだ青い瞳を縁取る睫毛が不安げに揺れ、しかしじっと見上げる視線はマッシュから逸らされることはなかった。とろんと蕩けた目で夢見がちにマッシュを見つめるエドガーの表情は完全に陶酔のそれで、優しく甘やかしてやりたい気持ちがマッシュの心を擽る。
 軽く力を込めれば折れてしまいそうな細い首に口付けると、吐息と共に仰け反った白い喉が目に眩しく映る。震える身体は全く抵抗する気配がない。あと一歩踏み出してしまえばこの細い肢体を抱き込んで本当に過ちを犯してしまう──マッシュは悩みながらも、この可愛い姿をした愛する人から目を離せなくなっている事実を前に葛藤する。
 ああでも、これ以上は。身体を起こそうと力を込めた腕に、エドガーが甘噛みするように爪を立てた。
「……やめないで」
 赤らんだ頬に涙を湛えた瞳で懇願され、息を呑んだマッシュは脳裏に過る姿に顔を顰め、口の中で「ごめん、兄貴」と呟いた。

(2017.09.17)