診断メーカーより
『好きな人の手作り料理を美味しそうに食べている双子』のはずが…


 探し回った兄の姿を一番いて欲しくなかった場所で見つけてしまった──気まずそうな顔をした兄の前には崩壊したキッチン。黒焦げのフライパンに沼のような臭いがする鍋、謎の七色スープ。マッシュが頭を抱えてため息をつくと、エドガーは口を尖らせて言い訳を始めた。
「だってお前、俺が料理当番の時いつも勝手に作っちまうじゃないか、それで今日は先回りして」
「それはこうなるからだよ……、これ、何?」
「魚と煮込み料理とスープ」
「何をどうしたらこんなものができるのか知りたいよ……」
 エドガーはまだ何か言い返そうとして、恐らくは言葉が見つからずに断念した。マッシュは料理とも言えない残骸を確かめ、リメイクすら余地がないと判断する。
「俺、作り直すよ。いいね?」
「……分かった」
 渋々返事をするエドガーはどこか淋しそうで、兄なりに努力をしたことは理解しているマッシュの胸が痛む。また大きく溜息をついて決意した。
「……こっちは俺が食べるから」
 マッシュが廃棄物を指差すと、エドガーの顔が輝く。マッシュは胃薬に全てを託すことにした。

(2017.10.04)